猫の恩返し2 said:猫さん

 「師匠ただいま帰りました。」

 「…」

 「師匠?」

 目お前では何が起こっている。

 そこには、師匠の死体とそれを喰い荒らしてるボスがいた。

 私はある日師匠から聞いた話を思い出した。

 「いいか、猫。ボスは穏やかでお人よしだが、年に一度人を食べないと死んでしまうんだ。そのことを覚えておくように。」

 そしてこうとも言ってきた。

 「ボスを止めることができるのは、死体かボスを食べるかのどちらかだよ。

だが止める代償として、食べたものは人喰いになりこの世をさまよう運命となるんだ。昔、狐の神が生きたいと言った者に対して授けた能力なんだそう。」

 思い出した私は、無我夢中でボスを喰いつくした。

 気が付いたころには、ボスではなく二つの頭蓋骨が転がっていた。

 ボスと一緒に師匠も食べていたことに今更気が付いた。

 遅すぎたんだ。

 そしてもう一つ気が付いたことが、性別が変わっていたんだ。

 どんどん、記憶が薄れていく。

 師匠との思い出も、自分が女であることすら。

 ただし、兎卯香。

 あの少女のことは、今でも覚えている。

 あの子に会いたい。

 

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