とある猫の恩返し said:猫さん

 兎卯香と出会ったのは、私が任務で深手を負って倒れていた時のこと。

 彼女は突然私の前に姿を見せた。

 「大丈夫?お姉ちゃん」

 パッと見て4歳だろうか。

 私は組織にも性別のことを黙っているのに、なんっで分かった。

 そして何かを察したのか、私に木の実をくれた。

 「これね、アタシのお気に入りなの。」

 この子の手は何よりも誰よりも清く美しかった。

 私は、自分の師のもとへ戻り説明を終えて眠りについた。

 私の居た組織は常に下克上で孤児の私を支障が引き取ったのが全ての始まりだった。

 「師匠なんで私を引き取ったの?」

 「一目惚れだよ。生きようとする意志が目に宿ってたからね。」

 そんな夢を久しぶりに見た。

 師匠と朝食を済ませると大急ぎで外に出かけた。

 またあの子に会いたくなったんだ。

 それから毎日のように、彼女に会いに行った。

 ある日、彼女の父親から

 「君は、殺し屋だよね。お願いがある。もし私に何かあったら兎卯香を頼む。」

 「何言ってるんですか。」

 「猫君。これは宿命なんだ。」

 「私には到底…分かりました。では、私からの条件も一つ。彼女をください。あなたたちのことを捨ててでも、彼女だけは命を懸けて守ります。だから…」

 「ありがとう。そのようにしてくれて構わない。」

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