第2話 中年サラリーマンの転生

目の前が真っ暗になったと思ったら、かすかに光が見える。

これが死後の世界なのか?どんどん明るくなっていく。

そればかりか、何かノイズが聞こえる。

そのノイズもどんどん大きくなり、しっかりとした人の声が聞こえてきた。

赤ん坊の泣き声も聞こえている。


「お母さん、元気な男ですよ」


かすかな光から眩しい光になり、目が慣れた時、目の前に年配のベテラン女性看護師の溢れんばかりの笑顔と、感動しているのであろう20代前半の女性看護師が号泣している。


「あれ、俺死んだんだよな・・・これが走馬灯ってやつか?」


「わあ、可愛い・・・うれしい・・・」


ん?どこかで見た顔だな。誰だったか?あ!!おふくろだ。小学校1年の時離婚して

それっきりだからよく顔を覚えていないが、こんな感じだったと思う。


「お父さんも抱っこしてあげて」


年配の看護師に言われるまま俺を抱っこするおやじ。

ちゃんとこいつは立ち会っていたのか、そんなことするタイプには思えなかったが。


「うわ~、ちっちぇ~。猿みたい」


そう、こういうやつだった、俺のおやじは。


走馬灯のわりにはやけに時間の流れがゆっくりだ。走馬灯って5倍速みたいなものだと思っていたけど。


でもしゃべろうにもしゃべれない。立とうとしても立てない。

ただ、泣くことしかできない俺はよく考えてみた。


「これってもしかしたら、転生ってやつでは?でも赤ん坊の時の俺に戻っただけなので、転生ではないのか?ただの過去に戻っただけか?赤ん坊の時の記憶がないので

この状態が過去と同じだったのかも解らない。


この際、転生でもなんでもいい。もう一回俺の人生を生きてやろう。





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