シーン6 オンラインでもゲーミング彼女
SE:カチ、フィーン PC起動音
(演出:エフェクトでボイチャ越しの感じ)
すー、はぁ……、わたしたちは監視されているっ!!
……ほんとだよ? 今こうやってボイチャしてるじゃない。個通だと思うじゃない? プライベート通信だと思うじゃない!
ちっちっち。あっまーい。中まろ屋の栗羊羹よりあっまーい。
(演出:どや感)
彼らの支配は、この広大ないんたーねっとの隅々まで広がっているのです! そこから逃れるのはもやは実質的に不可能。
その気になれば、キミの家に引かれている貧弱回線を盗聴する事なんか超いーじぃ。朝飯前を通り越して午前三時のお夜食くらいの気軽さでハッキング出来ちゃうわけ。
それを踏まえて、オンラインゲームの世界に踏み出そうとしているキミに言いたいことがあります! 厳しい事も言うと思うけどぜひ聞いて。きっとキミのためになる事だから!
そのいち!
個人情報は言わない事! 野良PTのボイチャで聞かれても、どこ住みだとか、年齢だとか、職業だとか、軽率に答えちゃダメダメ! 何が原因でストーカーが生まれるか分かんないからね。
そのに!
知らない人に声かけられてもホイホイボイチャで個通しない! あと、自分から個通をせがまない! ネットの世界には、若い女の子も結構いるからね。キミが浮気に走っちゃったら困るし……。あとトラブルの宝庫だから!
そのさん!
PCオンラインゲームを解禁したわけだけど、だからと言って、あと少しの間の週末ゲームの会を減らすのは絶対駄目だから! あれは、私とキミの大事な大事な二人だけの時間!
うん。
そんな事しないよ、って?
それどころか、オンラインでも私としかゲームしない……?
私に声かけられた時しか、パソコンも起動しない、か。
うーん、そこまでしなくてもいいけどォ。せっかくのハイスぺゲーミングPC使わないともったいないし、さ……。
あ、でもボイチャはほんとに私としかしないでくれる? うん、もちろんプライベートでって事。仕事でも使うんだろうし……。
うん。うん。キミが言うんなら信じるよ。
わかってる。我慢する。我慢するけど……。
あー、ハァ……。
それにしても落ち込んじゃうなァ。
うん。もちろんそれもあるんだけど、私のこと。
なんかさ、これじゃ私、超ド級激重のメンヘラ彼女みたいじゃん……。
カレ君が離れちゃわないか不安でしょうがないよわよわ女の子みたいじゃん……。
さっきから私、キミに色々言い過ぎじゃない?
……なんかごめんね。
うう。いつも愉快に明るく朗らかにゲーミング彼女! ってのが私のアイデンティティだったの。それなのにィ……。
え? 前からだよ、って? 以外と束縛ッキーで激重……って!?
ち、ちーがーうーの! 私はただネットの世界は変な人や、誘惑がいっぱいだから、君気をつけてほしいだけだよ!
ネットゲーミングの荒海に今まさに漕ぎ出そうとするキミに送る、先達からのアドバイスっ! ……のつもりだったんだけど。
まぁ、そんなウソ今さらだよね。
うん、ほんとはね。私今不安で不安でしょうがないの。
来月から出張で週末も会えなくなっちゃうなんて。だから、せめてネトゲぐらい二人っきりで邪魔されず……て思ったの。まぁ、メンヘラなのかな……。
(演出:いじいじしてる感じで)
大体ひどいよね。急に海外なんてさ。それも三カ月、長いなァ……。
うん。すぐだよって? 画面通話もするし、意外とすぐだよって?
そうかなぁ……。
ねぇ、向こうで可愛い女の子が居ても浮気しない? グラって来ないって約束できる?
そんな事絶対無い。か
うう、わ、わかんないよぉ。金髪の超グラマーのお姉さんが居るかもしれないじゃん。あるいは、褐色の儚げ守りたい系の美少女が居るかもしれないじゃん!
私ってば、別に普通の子だし、特徴ないし、多分絶対的にヒロイン力足りない……。海外の個性豊かな美少女に勝てない……。
え、十分個性的だって? かなり変わってる方?
そ、そうかなぁ。
うん。だから、出張中の間に、このゲームを一緒にしてくれるんだもんね。いつも一緒にだよね?
……絶対だよ? 嘘ついたら、怒るからね?
たとえ海外で数千キロ離れてたって、今はインターネットで世界中どこでもつながってるんだからね? 光ファイバー通信でびゅーんってキミの所へ行って、浮気してたらばしーん! って叩きに行っちゃうからね!?
むぅ、なんで笑うのぉ……。
うう。もうやめ止め! まだ先の事をうじうじ悩んでてもしょうがない!
それよりも今、この時を楽しまなきゃね。
私は、キミのゲーミング彼女、1680万色に輝く、最強無敵の癒し系なんだから!
じゃあ今日のゲームしよっか。じゃじゃーん! 今回はこの、大人気国産狩りゲーだよっ!
携帯ゲーム版ももちろん面白いけど、PC版はグラフィックが格別なの。
目くるめく、狩人の世界に君を誘っちゃうワケ!
さ、今日も一緒に、ゲームしようね♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます