シーン4 アイマスクしてたら分かんないよね?

 じゃん! と言うわけでもってきました、あーいまーすく!


 目が疲れたと言ったらこれよね! 電動蒸気ホットアイマスクだよっ! 加圧もできるやつ。お値段9800円! 私もFPSをぶっ続けで一晩やったときは目がしょぼしょぼするもんね。そんな時はこれに限りすぎる!


 ついでに色々やっちゃうよ! 私が考える絶対的なお疲れ癒しセット、ふるこーす! さぁさぁ、超絶有能彼女ちゃんである私がぜーんぶマルっと癒してあげちゃうからキミは今すぐそこに横になるのじゃー!


(間)


 BGM:リラックス的なもの


 ぬっふっふ~、どうかな? どうです? どんな感じ~?

(演出:耳元)


 うん。何も見えない。目は温かい、音楽も心地いい? うんうんそうだねー。

 でも解せない事もあると。そう、そうだよね。


 今キミは目隠しさせられてるだけじゃなく、手枷をはめられてる。でも安心して、ちょっと怪しいお店で買ったふわふわ手錠だから。あ、力づくはやめてね。キミの力で暴れられたらすぐ壊れちゃう。


 そのうえで、しっかりやわらかなゲーミングチェアに横になって、隣には彼女である私が居る。で、その彼女は私、ゲーミング彼女なの。


 なら何をするか……、わかるよね?


 そう。これもゲームだよ。題して『尋問ゲーム』!


 私とキミだもん。何はともあれゲームにしないとね。


 説明するよ。まず、キミはスパイ。尋問官は私。


 今から目隠しをされて動けないキミに色々するよ。もちろんそれは怖い事じゃなくて、気持ちいい事や、ちょっとこそばゆいだけのもの。


 それでその中で、私はキミに色々質問をしちゃうワケ。キミは秘密を守らなくちゃいけない。ぜーったい、質問には黙秘してね。あ、声が出ちゃうとか、逆質問とか、関係ない言葉は良いよ。反応は聞きたいし。


 じゃあ、すたーとぅ(演技:からかうような怪しい感じで)


 まず第一問。キミの名前は?


 え? 知ってるだろうって? うーん、そうだけど、キミの口から聞きたいなぁ……。黙秘? うんうん、ちゃんとルールわかってもらえてうれしいよ。


 じゃあ、尋問開始するね(演技:耳元)


 ふ~っ(耳に息吹きかけ)


 あはっ、ビクってした。もっとしちゃお。


 ふ~、ふ~。


 あれ、ちょっと耐性ついて来たねぇ……。なれちゃったんだな、うんうん。


 じゃこれは?


 それ、ふにふに~~。


 え、なにされてるの? って? ふへへ、キミの腕をもんでるんだよ~。下から上に順番にぃ。そして、さらに先に進んでぇ。鎖骨にとうちゃーく!


 ねぇ、胸元はだけてるの分かる? さっきドサクサ紛れでボタン外しちゃったんだよネ~、そこからホラァ、胸板ついーっと。


 ふへへ、またビクってした。え、こそばゆかっただけ? うーそーだー。ちょっと気持ちよくなっちゃったりしてなぁい?


 と言う所で、第二問。キミの彼女の名は~? ネタは割れてるんだ。愛する女がいるだろう?


 うん。うん。ええ、僕にそんなヤツは居ない? ええー、そうなの? 本当に~?


 いつもいつも一緒にゲームしたり、いちゃついてる愛しの彼女が居るだろー? うりうり~。


 むむー、吐かないか。これは頑固なスパイだなァ。じゃあ別の手だ。


 ちゃーちゃちゃ~、ちゃーちゃちゃー。唐突なBGMからの~。


 おお、この広大な大地の果てに魔王が居るのだ。我らの望みはただ一つ、勇者として魔王を打ち倒すのじゃ。運命に選ばれた勇者よ、偉大なる旅にいざ往かん~♪


 え何が始まったのかって? RPGゲームの勇者の旅立ちだよぉ。王様のコールだよぉ。わかってないなァ。で、勇者と言うのが、この子。


 ちょんちょん、やあ僕勇者。やや、ずいぶんと広い土地だなァ。ちょっと歩いてみようかな。とことことこ~、


 ん? 何してるのって? 勇者くん、あ、私の指だよ。うん、人差し指と中指で足みたいにしてるの。それで君と言う大地を旅しているわけ。


 む、こんな所に砂漠があるぞ。なだらかな砂丘だなァ。おお、ちょっとうねっているぞ。流砂だ~♪ だが負けないぞ。それゆけ~。


 てこてこてこ~。ふへへ、キミのお腹、結構ごつごつしてるねぇ。やー、たーくましいなぁ。


 ん? わーかーるでしょ? いまキミのお腹を登ってるの。

 あ、待って待って、膨らませないでよ~、勇者くん跳ね飛ばされちゃう。


 それてくてく~。おお、今度は岩山だぞぉ。なだらかだけど、ごつごつしているな。風も吹いているぞ、飛ばされないように注意だ~。


 ――むむ、ここが頂上か、何やら小さな岩が……、きゃあ!


 ちょ、ちょっとぉ! なんで急に動くのぉ?


 え、今乳首に触ろうとしただろう、って? ええー、そりゃ触るよォ。せっかく山登ったんだから、頂点まで昇らないと。


 え、それはマジでやめろ。気持ちいいっていうか、怖いしやだ? ムードもクソもないのに、触ろうとすんな? 


 えー、じゃあムードがあればいいのかよー? さーわーりーたーい、もっとさーわーらーせろー!


 ってあれ? 何で手自由になってるの? で何でホットアイマスクも外してんの?

 え、なんで私の肩をもって、座らせようとするの? え、え、ええ?


 逆襲? 攻守交替!? 今度はお前がスパイだぁ! ってえ、ええええ~!

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