シーン2 隣でささやく彼女はどうですか?

 SE:ムードのある音楽

『そう。先輩だったのね……。私の運命の人……』


 そう。先輩だったのね。私のうんめいのひと……

(演出:『』書きより、棒読みで)


『でも、もうだめよ。もう遅い。だって今の私は混沌のにえ。もう先輩の側には居られない』


 でも、もうだめよ。もう遅い。だって私はもうこんとんのにえ、にえ? ――ねぇ、にえって何だっけ?


 うん。うん? あ、そういう? なるほどー、難しい言葉だ。捧げものかー、アマネちゃん、闇墜ちしちゃったもんね。


 うん。予想はしてたよ。だってキャラデザ黒髪で、最初から影のある感じだったし、散々、恵まれない家庭環境とか匂わせあったもんね。しかも超ナイスバディ! ロリ貧乳が多いこのゲームで、これだけどちゃしこボディさせてたらそれはそういう担当だってわかっちゃうよ! いわゆる不憫担当? かわいそ枠? でもこういう子が一番人気になったりするんだよ! そしてグランドルートで完膚なきまでに報われたりして!!


 ……え、この状態は何だって? 


 ぶー、ぶー、見、て、わかるでしょー? キミの膝の上で、ゲームの朗読!


 すんばらしいゲームのセリフを、キミの彼女である私の超かわいい声で、膝の上で! 耳元で! 朗読してあげちゃおうってワケ!


 どう? 私のアテレコ! アマネちゃんのかわいそ可愛い感じが出てなかった!?


 え、とんでもない棒だった? 没入感が死んでた? そ、そんなぁ~~。


 ううう、結構イケてると思ったのになぁ~。割と練習もしてるんだよ? これからVtuberとか、歌ってみたとかもしたいなと思ってるから!


 今のところ芽は無いな、って? むー……、私はキミの彼女だぞ! キミが推さないでどうするのっ! 未来のすたぁを生み出すのはキミの声援!


 うん。うん? それよりも気になったことが? え、そうだよ? 言ってなかった? 私最近ゲーム配信始めたんだ。あ、もちろん顔出しはしてないよ? そこは安心して。いくら私だって身バレとかはヤだし。


 でも顔出しなし、声だけだとリスナーさんの集客がイマイチなんだよね。だ、か、ら、お金たまったらアバター作ってもらってVの者になろうかなって! これはその予行演習も兼ねてるの。


 アバター出来たら、毎日ゲーム配信するんだよ! ほら、私ってゲーム狂信者じゃない? 狂信者、つまりファナティック! ゲーマーズファナティックだよ!


 あ、また『で?』 って顔してるぅ! もっと興味持ってよォ。キミの彼女の話だよ!?


 え、うん。そうだね。(演技:すんみたいな落差)確かに叫んで自分の話ばっかりしてちゃ、キミの癒しにはなんないね……。


 うーん、難しいなぁ。そもそもお疲れがちなキミを私の得意分野のゲームで癒してあげちゃおー! ってとこから始めた企画だったんだけどなぁ。


 これじゃあ、キミを癒せないよぉ……。どうしよう……。


 普通に横に居てくれたらいいよ?


 騒がしくしてても構わない。私がゲームをしてるのを見てるだけである程度癒される……って、えー、えー。それって。(演技:ちょっと照れた感じ)


 ふふふ、えー、やだぁ。キミ私のこと好きすぎぃ? それって私と言う至高な女の子が、キミの側に存在してたらいいって事だよね? 全肯定だね? 肯定ペンギンちゃん系彼氏なんだね!? 


 やだ、もぉー! キミってば、私にデレデレすぎぃ!


 あ、待って待って! 何で背中おすの? ナンデ部屋から出すのぉ!


 気が変わった? 寝るから帰れ――って、ご、ごめーん! 調子に乗りすぎました! 静かにゲームしてるから、一緒に居させてよぉ!


(間)


 ふう。やっと許されたぁ……。

 わかったよォ、静かにゲームやってるよォ……。


 (SE:カチカチカチ)


 あ、そういえばなんだけどさ。


 このゲーム、ジャンルは恋愛シュミレーションゲームなんだけど、実は18禁なんだよね……。うん、いわゆるえっちなシーンのあるゲーム……。


 ねぇ、キミ。

(演出:声接近)


 今からそういうシーンに突入するんだけど……。

(演出:囁き)


 耳元で、アテレコ、要る?

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