第17話 一夜で築基
「昨日はまだ煉気三重だったのに、今日はもう築基だと?」
「この子は何をほざいているんだ?」
彼は目を見開いて楚歌を叱りつけようとしたが、楚歌の身に築基修士特有の霊気の輝きを見た。築基修士の体からは独特な輝きが放たれ、それは体内で修鍊された霊気が漏れ出しているものであり、彼らの修行の成果を直観的に示すものだ。
この輝きは淡い朝の曙光のように柔らかく、そして美しく、何とも言えない生命力を帯びている。
本当に築基したのか?
林長老は信じられなかったが、彼の目には確かに築基の光が見えていた。
「本当に築基修士になったのか?」
林長老は疑問の声で尋ねた。
「茅塞が開き、一朝にして頓悟し、築基へと踏み入った。何が不可能なのか?」
楚歌は高らかに答えた。
彼には確信があった。
古来、確かに一夜で築基を成し遂げる修士が極稀に存在した。
彼らは神級の体質を覚醒するか、至上の功法を頓悟し、短時間で大量の霊気を吸収して煉気の桎梏を突破し、築基に至ることができた。
だからこそ、こうして堂々と自慢しても問題はない。
この時、林長老の顔にはさらに疑いの表情が浮かんでいた。
「どうやって一朝にして頓悟を成し遂げたのか?」
楚歌は言葉を濁し、悩んだふりをして、最後にはため息をついて言った。
「これは我が家族の極秘事項です。どうかお許しください、師匠。」
楚家の極秘事項だと?
林長老はうなずき、楚歌を理解した。
楚家は玄天大陸で有名な一流家族で、きっと何かしらの頂級功法か神級の丹薬を提供したのだろう。そうして楚歌は一夜で築基を成し遂げたに違いない。
そしてこの特別な修行資源は、絶対に外部に漏れてはいけないものだ。
修仙の世界は非常に危険で、宝を持っていれば必ず悪狼が寄ってくる。
「楚歌、お前は正しいことをした。」
「これは楚家の極秘事項であり、家族の存亡に関わるものだから、誰にも言うべきではない。師匠でさえもだ。」
「師匠はお前を責めはしない。」
自分の演技がこんなにも上手いとは、楚歌は内心で大喜びした。「ありがとうございます、師匠!」
林長老は満足してうなずき、次の計画を考え始めた。
まず、楚歌が築基した以上、装っていた高人の姿勢はもう必要ない。
第二に、楚歌が一夜で築基を成し遂げた理由を話すことができないのならば、彼のために言い訳を考えておかなければならない。
煉気三重から一夜で築基に至るということは、たとえ宗門の『大事報』に載らなくても、確実に『八卦報』には載るだろう。これがホットな話題になるのは間違いない。
宗門の『八卦報』の購読量は『大事報』の何倍もある。
その時、たくさんの人々が楚歌に一夜で築基を成し遂げた秘訣を尋ね、彼に習おうとするだろう。
これをうまく対応しなければ、楚歌に危険が及ぶ可能性がある。
それならば……
すべて私が引き受けよう!
これは私がやったことだ!
私は生涯をかけて新たな七品丹薬を作り出し、それで楚歌を一夜で築基させたのだ。
この丹薬の名前を「七彩琉璃丹」と名付けよう。
そうすれば、宗門の注目はすべて私に向けられる。
もちろん、掌門の藍夢璃も含めて。
これで楚歌は安心して修鍊に専念でき、外界からの干渉を受けないだろう。
師匠として、弟子のために犠牲を払うのは当然のことだ。
林長老は心中の計画を打ち明け、楚歌はその話に呆然とした。
実際には……
師匠、恐らくあなたが自分で自慢したいだけでは?
特に掌門の藍夢璃の前で目立ちたいのでは。
しかし、こうすることで確かに自分にとっては何の悪いこともない。
師匠の夢を叶えるのも悪くない。
それに越したことはないだろう。
ただ、楚歌にはまだ心配事があった。
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