第15話 黒煞道人

【ピン!境界向上カードが開かれました!】

カードの中央に狂ったように転がる境界の名称を見つめる。

楚歌は心の中で祈った。100回もじゃんけんに負けたから、この運は十分に貯まっているはずだ。

築基に達しなくても、煉気大圓満でもいい。

欲張らない。

本当に欲張らない!

【おめでとうございます、主人。境界が築基初期に向上しました!】

一瞬にして、楚歌の体は無形の力に強く打たれたようになり、全身が震えた。

これはこれまでに経験したことのない強大な感覚だった。

体内の力が湧き上がるとともに、楚歌の肌は淡い光を放ち、神秘的なオーラに包まれたように見えた。

その光は服を通して、彼の体をまるで玉のように輝かせ、温かみのある光沢を放っていた。

彼は自分の意識がさらに鮮明になり、周囲の環境や微細な変化をよりよく感じ取れるようになった。

これが築基というものか?

この感覚……

素晴らしい!

事実は証明された。100回のじゃんけんは無駄ではなかった!

煉気と築基は一つの大境界しか違わないが、その差は天と地ほどある。

築基期に達することで、修行において本当に門を開けたと言えるのだ。

今日は本当に豊かな一日だった。

その時、懐にあった一枚の符に一筋の霊力が波動した。

林長老がくれた伝音符だ。

林長老が何か伝えたいことがあるようだ。

楚歌は伝音符に一筋の霊力を注ぎ、林長老の伝えたメッセージを感じ取った。

「楚歌、お前は錬丹術の才能があるが、境界が低すぎる。」

「明日、私の洞府に来い。しっかり訓練して、お前を早く築基に到達させよう。」

「その時、再び掌門に会わせてやる。」林長老は私を助けようとしている。

もちろん、彼にも私心がある。

重要なのは最後の一言だ。

自分が築基したら、彼は自分を連れて掌門に会いに行くのだろう。

林長老が実はただの従順な犬だと認識した楚歌は、彼の小さな計画を完全に理解していた。

もし明日、林長老が私がすでに築基しているのを見たら、どう思うだろう?

楚歌は笑みを浮かべた。

……

青雲宗、洛青瑶の寝室。

今日、楚歌に公然と恥をかかされたが、洛青瑶はこの件を気にしていなかった。

彼女の目には、楚歌はまだあの従順な犬に見える。

ただ、婚約を破棄された後、怒り狂った従順な犬だ。

彼が「もうお前を好きじゃない」と言ったのも、自分を怒らせ、復讐しようとしただけだ。

そして、彼がこのように過激な方法を選んだのは、まだ自分を好きだという証拠だ。

しかも、楚歌が初級錬丹術を習得したとしても、彼女の目には入らない。

彼の煉気三重の実力は柳飄然とちょうどお似合いだ。

そう思うと、洛青瑶は心の中で笑った。

今、彼女にはもっと重要なことがある。

玉佩の中に住む神秘的な老爺さんだ!

この玉佩は、彼女が数日前に宗門を散策している時に偶然拾ったものだ。

その時、玉佩がかすかに光を放っているのを見て、何かの霊器だろうと推測して持ち帰ったのだ。

まさか玉佩の中に強力な老爺さんが住んでいるとは思わなかった。

初めて会った時、彼は一瞬で彼女の実力を一段階上げてくれた。

煉気五重から煉気六重に突破したのだ。

次に、老爺さんは自分の身の上を語り始めた。

彼は元々、錬虚境の正道の頂点に立つ高手だった。

しかし、魔道修士の奇襲を受けて重傷を負い、神魂が玉佩に逃げ込んだ。

玉佩は幾度も転々とし、青雲宗にたどり着いた。そして洛青瑶が玉佩を拾った時、老爺さんの神魂は目覚めたのだ。

さらに老爺さんは、自分の存在を他人に話してはいけないと言った。さもなければ、彼に大きな危険が及び、洛青瑶自身も無実の巻き添えを食らうかもしれないと。

洛青瑶は老爺さんの身の上話を信じ、彼のために神魂を養う霊薬を探すためにあらゆる手段を講じた。

「老爺さん、あなたが必要とする丹薬をいくつか見つけました。」

洛青瑶は玉佩を両手で捧げ、恭しく言った。

「本当か?」

「ケケケ~」

玉佩の中から不気味な笑い声が響いた。

同時に、一筋の虚ろな縮こまった影が玉佩からゆっくりと現れた。

老人の顔は土色で、皺が深く刻まれている。

魔道の頂点に立つ黒煞道人は、たとえ本体が重傷を負い破壊されても、神魂を引き抜いて玉佩に隠すことができた。多年にわたり青雲宗に潜んでいた。

今、彼の神魂はついに目覚めることができた。

目覚めた彼がまず行ったのは、洛青瑶という若い娘を完全に騙すことだった。

彼女を正道の人間だと偽り、霊薬を探させたのだ。

「ありがとう、小娘。」

黒煞道人が袖を振ると、空中に浮かんでいた多くの丹薬がすべて彼の口に吸い込まれた。

丹薬が神魂に入ると、黒煞道人は自分の霊魂が燃え上がるのを感じた。

「いい薬だ!」

この霊薬はしばらくの間、自分を支えるのに十分だ。

極度の興奮を隠し、黒煞道人は真面目な顔をして洛青瑶に問うた。

「小娘、何を望む?」

洛青瑶は黒煞道人に熱望する眼差しを投げかけた。

「私は強くなりたいです!」

黒煞道人は頷き、法訣を掻き立て、洛青瑶に一筋の光を放った。

光が体に宿り、洛青瑶は自分の霊気が膨れ上がり、沸騰し、桎梏を破ってまた静かに戻るのを感じた。

何と不思議な感覚だ。

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