第10話 「天才だ!」
「誰が君にそんな自信を与えたんだ?恥をかくのが怖くないのか?」
陸洋は表情を変えず、内心では楚歌を愚か者と罵っていた。
彼は龍霊丹の薬方を書き上げ、楚歌に手渡した。
楚歌はその薬方を林長老に渡し、目で合図を送った。
陸洋が薬方に何か細工をしていないか確認しておいたほうがいい。
「これは確かに龍霊丹の薬方だ。間違いない。」
「龍霊丹の錬成技術は特殊だが、この薬方自体は珍しいものではない。間違えることはない。」
それを聞いて、楚歌は一安心した。
薬方が正しいのであれば問題はない。
陸洋は楚歌が疑わなくなったのを見て、声を上げた。
「それでは始めよう!」
「初級錬丹師の試験に従い、君には一時の時間しかない。」
一時は三品丹薬を錬成するための通常の時間だ。
「掌門」という言葉で圧倒されていた林長老は、突然閃き、陸洋を一網打尽にする良いアイデアを思いついた。
「お前、終わったな。」
林長老は咳払いし、教室の学生たちに向かって話し始めた。
「皆さん、普段ならこの時間には授業は終わっていますが。」
「この初級錬丹師の試験は、いずれ皆さんも経験することです!」
「ですから、今日は残ってこの試験を見学し、試験の経験を積んでください!」
「たった一時の時間、皆さんにとって何も損はないでしょう?」
「もちろん、これも全て陸洋のおかげです。皆さん、陸洋に感謝しましょう。錬丹師の試験を事前に見学する機会をくれたのですから!」
なんだって?
教室全体が大騒ぎになった!
完全に爆発した!
「おい陸洋、お前一人で楚歌を困らせるために、なぜ俺たちまで巻き込むんだ?」
「一時もどうやって過ごすんだ?誰がこの気持ちを理解できる?」
「授業を終わらせてくれ!陸洋、お前のせいで貴重な時間が無駄になるんだ!」「陸洋、本当にありがとうな、マジでお前をぶっ殺したくなるよ!」
「陸洋、今日は教室から生きて出られるとは思わないことだな……」
全員が陸洋に殺気立った視線を向け、生きたまま食いちぎろうとしているかのようだった!
陸洋は同級生たちの悪意に満ちた視線を感じ、異常を察知し、体が本能的に震え始めた。
楚歌はその光景を見て、笑いをこらえ、背後で林長老に向かって親指を立てた。
「林長老、この恨みの引き方は見事だ!」
……
小型錬丹房、錬丹試験。
楚歌は龍霊丹の薬方を見て目を閉じ、瞑想に入った。
システムから教えられた錬丹の記憶は非常に膨大であり、解決策を見つけるための時間が必要だった。
……
見つけた!
そういうことか。
龍霊丹の特殊な点は、その材料の一つである「龍蛇果」にあった。
多くの人は龍蛇果の果肉が熱性であることを知っているが、果核は冷性であることを知らない。
果肉と果核を分けて処理することで、より良い効果が得られる。
この特別な処理により、龍霊丹の薬効は四品に近づき、三品の価格で提供することができる。
そういうことか!
楚歌は悟った。
システムから教えられた技術がなければ、誰が果肉と果核を分けて処理するなんて思いつくんだ?
ああ、陸家の連中以外には。
奥義を理解した楚歌は、真剣に錬丹を始めた。
……
半時後、楚歌は錬丹房から出てきた。
半時で出てきたのか?
これは難しさに気づいて、諦めたのか?
陸洋は心の中で勝ち誇っていた。
林長老も無念のため息をついた。
「龍霊丹は私のような錬丹宗師でも錬成できない。楚歌ができるわけがない。時間を節約するために諦めるのも賢明な判断だ。」
学生たちは楚歌が出てきたのを見て、授業が終わる希望を見た。
「やっぱり楚歌は賢明だ、自分ができないことを知っていて、早めに諦めてくれる。こうしてみんな早く授業を終えられる。」
「楚歌、君の大義に感謝するよ!」
「早く授業を終えよう!今すぐ陸洋をぶっ殺したい気分だ!」
林長老は前に進み、楚歌の肩を軽く叩いて慰めた。
「失敗は怖くない。困難に挑む勇気があるだけでも立派だ。」
楚歌は林長老の言葉を受け流し、手に持っていた丹薬を見せた。
「林長老、この龍霊丹の品質を見てください。合格かどうかを確かめてください。」
楚歌の手にある丹薬を見て、林長老の目は一瞬で輝きを放った。
「これは……」
「龍霊丹か?」
彼は丹薬を手に取り、じっくりと観察し始めた。
その時、陸洋は信じられない表情で楚歌を見つめていた。
自家製の龍霊丹は最もよく知っている。
あの丹薬は確かに龍霊丹のようだった……
しかも、極上品質の……
しかし、そんなことがあり得るのか!
「天才だ!」
「これは天才だ!」
林長老は驚嘆の声を上げた。
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