第12話
「ところでこれは何をしとるんじゃ」
「待ち合わせをしているんだよ」
「何のじゃ?」
「電車」
「でんしゃとはなんじゃ。それとこの賽の河原のような風景はなんじゃ。ここは地獄か何かかの?」
「電車っていうのはね簡単に言うと人がたくさん載れるかごみたいなものだよ」
「そうか!そんなものがあるんじゃな」
少し疑いながらもクウちゃんは納得した。
「それとここは多分きさらぎ駅で電車が来てもその電車も何らかの怪異である可能性がある、さっきソラちゃんが死ぬことになった石も多分別の怪異だし、この空間のものはすべて怪異だと思ったほうがいい」
「そ、そうだね安心してたけどま、まだ安心するのは早いんだよね。」
「とりあえず電車には乗ろうここはさすがに危険すぎる」
「少し賭けだけどここにずっといるよりは希望があるよね」
そうこうしているうちに電車がやってきた。
乗客はおらず古びた車内は少しかび臭い。蛍光灯も一部切れかけている者もありなんだか懐かしさを感じる空気だ。
アナウンスで「きさらぎを超えますと次は“■■■■”です」ということを聞き本当にきさらぎ駅だった答え合わせがされた。
電車の中で次の駅に泊まるまで各人は少しの取り決めをしてからだべっていた。
それは絶対に終点まで乗らないということだった。怪異が重複していることもあるのでこの列車が何者でも終点まで乗るとさすがに危険だということで、降りれそうな駅があれば降りるということだった。ゆめちゃんとくうちゃんは短期間であったが親子の様に仲良くなってクウちゃんを膝にのせて話している。ナナちゃんはショックで独り言を言いながらリストカットをしている。かくいう私はこの列車の正体について、この空間からの脱出、ソラちゃんの事などを考えていた。
アナウンスが聞こえる「まもなく切り裂き~切り裂きです。切り裂きに着きましたら次は■■■に止まります」
また次の駅が聞き取れなかったがそれは皆そうだった。
この怪異については有名過ぎてみんな知っているだろう。そうあれだ。これが夢だったら脱出することも叶っただろう。だがこれは夢ではなく現実だ。
駅に電車が止まり扉が開く。電車に80cmほどの鎌をもった猿が入ってきた。
ドアの方にいた私は左手と太ももを切り裂かれた。致命傷ではないみんなは無事だろうかあまりに急な出来事で自分の事で精一杯だった。幸いどこも切り落ちてはいない。
痛みに耐えつつみんなの方を見るとななちゃんは右肩を怪我していたが持っていたカッターで一体仕留めることに成功していた。でかした!とガッツポーズをした。右手が痛んだ。
ゆめちゃんとソラちゃんに関しては心配する間もなく無傷で二体仕留めていた。鎌を三本手に入れた私たちは、次の襲撃に備えた。
ゆめちゃんが心配して「こっちに座ったほうがいいよ」と言ってくれた。私は足を引きずりながら席移動した。たまたま救急箱を持っていたナナちゃんと手当てをしあった。
ゆめちゃんは持っていた塩分チャージのラムネをソラちゃんにあげている。ラムネをもらってうれしそうにしているソラちゃんは年相応で私たちと変わらないように見えた。
またアナウンスが聞こえる「まもなく首絞め~首絞めです。首絞めに着きましたら、次は終点はいのまえに着きます。お乗り換えの方は4番線に到着の◆◆方面■■逝きにお乗り換えください。
終点のアナウンスが流れたが、まともそうな駅名で少し安心した。
駅に着くとまた先ほどの様に猿が入ってくると思いきや、違った。最初に乗り込んできたのは烏帽子をかぶったこの時代に似つかわしくない格好の男だった。次は私の両親、ゆめちゃんのおばあちゃん、ナナちゃんのお父さんだった。
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