第11話

「ここはどこじゃ?おぬしらは誰じゃ」

「クウは蹴鞠をしておったはずじゃが、母上、父上どこじゃ」

今にも泣き出しそうなソラちゃんを3人で子供をあやすようにして落ち着かせて少し遊んであげた。遊び疲れて眠ってしまったこの子の状況を3人で話合った。おそらく脳をシェイクされたことによる記憶喪失だろうということでまとまった。


親指を吸いながら眠っているこの子は今はソラちゃんではなくクウちゃんなのでそう呼ぶことにして、また石を倒してしまうと大変なのでゆめちゃんがおんぶをして連れていくことになった。

ゆめちゃんが眠っているクウちゃんを起こさないようにおんぶして、また駅に向かう。ふと空を見てみると星の位置が変わっていないことに気づいた。ここはずっと夜らしく時間の流れからは隔絶された空間の様だった。駅に着いた頃やっとクウちゃんが起きた。

「ここまでおぶってくれてありがとう。あの父上たち、どこか知らんかのこんな烏帽子をかぶっとるんじゃが」手でジェスチャーをしながら説明してくれた。

「ごめんねみてないや。」

とゆめちゃんが答えた。

「そうか。ところでおぬしら名は何というのじゃ?」

「わ、私はなな。」

「ゆめ、よろしく」

「もえですよろしくお願いします」

「うむ!みなよいなじゃの」

ソラちゃんの素直さは生来のものなんだなあとひしひしと感じ、記憶喪失でも変わらないなと安心した。このまま記憶が戻らなくても4人仲よくしよう、そう思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る