第5話 ★
その日は学校だったが休み、部屋で泣いた。
次の日学校に行くとどうやら転校生が来る様で教室はがやがやとしていた。
ゆめとナナに挨拶をする。
「おはよう!」
「お、おはよう」少しどもってナナが答える。かわいい。
「おはよう」相変わらずイケメンなゆめ。
山に猫を探しに行ったことを二人に話す。二人は良く一人で行ったねえと驚いていたようだった。
チャイムが鳴った。
「はい!皆さんおはようございます。朗報です!なんと転校生!しかもとてもかわいい!学校のマドンナ間違いなし!仲良くしてあげてね!さあ入ってきてください!」と元気な様子で先生が言う。いったいどんな子だろうか。
長い髪を存分に揺らしながら入ってくるお日様みたいなその子を私はしっていた。
「飛鳥井空じゃ!よろしくお願いな!」声でか!
私の目はついこらえきれずに涙を流してしまった。だめだ、止まらない。はにかみながら大泣きしている私をみてみんなは唖然としている。そりゃそうだ私だけがあの出来事を知っているんだから。発端のソラは目を丸くしてきょとんとしていた。すでに先生とは仲のいい様子のソラをみて私は嫉妬した。
そもそもなぜ学校にこれたのかも疑問だった。今まで小学校も幼稚園も来ていなかったのになぜ今になって中学校に来たのだろう。死んだはずでは。疑問が溢れて止まらなかった。そんなことを考えていると私に話しかけてくる人が2人
「さっきは大丈夫だった?すごい泣いてたけど。お茶飲む?おにぎり食べる?」
「も、もしかして知り合い?ど、どういう関係!?もしかして…」
「ただの友達だよ。一緒に猫を探してくれた子」
二人はソラのことがとても気になっているようで私も用があるし、他の生徒と仲良くなれれる前に話に行くことにした。
すると空はこちらに気づいたようでニコニコしていた。
昨日は本当にありがとう初めての事ばっかりで楽しかったよと伝えるとニコニコ笑顔で「うん、そうじゃな」とそらは答えた。
抱きしめた力いっぱい。
「生きててくれてよかった。もうあんなあぶないこと絶対にしないで、私は人が傷つくのが一番つらいから。もう離さないよ」と少し重めなことを言って。二人で大泣きした。一瞬ソラが昨日とは別人のように見えたがそんなことはお構いなしにお互い、「わしももう離したりせん。ずっと一緒じゃ。これからも。一生離すもんか。結婚してもずっと家族写真に写りこんでやるぞ」
「それなら、私は一緒のお墓に入るし、毎日お弁当もつくる。毎朝100回電話とメールする」
なんて学校なんてことを忘れて激重カウンターを浴びせあっていた。
その光景をみてゆめは
「ウーン純愛だねぇいいねぇ」と朝ごはんのトマトをかじりながら言った。
「お主、名は何という」
「ゆめ、寝てる時に見る夢の夢ね」
「ゆめ、か良いなじゃの」
なんてデジャブを感じるやり取りをした。
「もう一人のお主は名を何という」
「な、ななです」
「なななじゃな。変な名じゃの」
「あ、あ、ち、ちがいます、な、な、ななです。那由他の那に々で那々です」と紙に書きながら説明をした。
「まあめんどくさいのじゃなななと呼ぶの」
二人の紹介も終わったようなので私は一番気になっていたことを聞いた。
「どうやって助かったの。すごい音してたけど」
あの時の様に手を引かれて教室から出る。
階段の踊り場迄来るとそらが言った。
「助かってはないぞ。わしは確かに死んだ。もえのことも前のわしがしっかり日記をつけ取ったおかげで知っておる。見た瞬間にピンと来たぞもえじゃと」
「あの後わしは熊に食われた。食われると大変なんじゃいっとらんかったが不老不死なんじゃが熊の胃袋の中で治ったところから溶かされるからの普通は熊が死ぬまでは出れん。昔それを経験したと前のわしが日記に書いてあったのを見たことがある。日記で見るのと経験するのとは全然違うな、本当めちゃくちゃ痛かったしわしは完全な不死の代わりに再生がめちゃくちゃ遅いからの。まあ後ろをついてきてたあいつに助けてもらって何とかなったわい」
「あの人は何者なの」
「あいつはわしの眷属じゃなんかわしより強い。腹が立つわ」怒った顔も可愛い。私は話半分でずっと顔ばかり見ていた。恋をしたのは初めてだし、こんな気持ちは初めてだった。
休み時間終わりをつげるチャイムが鳴ったので教室に戻る。
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