ニンカツその二十六「令嬢騎士とローパー」

「どこかなどこかな出ておいで~♪ 敵は撃殺! 美人は誘惑! 《オレたち》無敵の『オカシラ』様だ~♪」

「オイコラやめろ。へんなテーマソング作るんじゃない!」

「いいじゃん。誰も聞いてないって」

「すぐ側に居るかも知れないだろ?」

 手持ちの食料を食い尽くして、余裕の出てきた《オレたち》だが、外見は小学生程度のまま活力エネルギーを温存している状態だ。

 自然回復を待ちつつ、いざとなれば魔力と気合いで補うしかない。

――あああ……っ。あっ。あ……ぁ!

「いや、待て。何か聞こえた」

「ああ、向こうも『歌ってる』な。この悩ましい女の声は、聞き覚えがないぞ」

「オレもだ。てコトは、ナリア、サシャ、ベルガ、ジェビじゃない」

「ザン・クとラピスは男だから、こんな風に可愛く『歌わない』だろうしー」

「オイコラやめろ。想像しちゃったじゃないか!」

 ザン・クとラピスが喘ぐ様子が浮かび、思わず顔をしかめる《オレたち》。

 テントの一件から、どうにも二人の関係について、妄想が捗ってしまう。

「ともあれ消去法で行くと、コレはテリーヌだな」

「へぇ……あのお嬢様が、なんでこんな色っぽい声を上げてるんだか!」

 油断なく壁を登って天井に張り付き、声の元へ向かう《オレたち》。

 罠が仕掛けられやすいのは床だ。

 手足に鋭い爪、体重を軽々と支える膂力を持つ《オレたち》なら、壁や天井を伝う方が安全で、敵から身を隠し不意もつける。

――うぁっ! い、いやっ、もうっ!

――おりれない、おりれませんのぉっ!

 次第にはっきりと聞こえてくる女の喘ぎ声を頼りに、その姿が見えるところまで近づくと、怪物の触手に全身を絡め取られた、全裸の美少女の姿があった。

――ぐちゅるっ、ぬぢゅっ! ぢゅぷっぢゅぷっ! ぢゅぷっぢゅぷっ!

「ああーっ! あーっ! だめぇっ! またきますのっ! 来るっ! 来るっ! くるぅううっ! んひぃいい~っ!」

 シミ一つない純白の肌に朱が差し、汗と粘液で淫猥にぬめる。

 不気味に明滅する筒状の怪物の触手は、貴族の令嬢に相応しい豪奢な裸体を弄び、隅々まで這い回って卑猥な先端部を潜り込ませていた。

「テリーヌだ。美人だと思ってたが、スタイルもなかなか良いなー」

陸巾着ローパーに捕まって、体液と魔力を吸われてるんだ。エロい」

 天井からガッツリ覗き込み、《オレたち》はローパーの習性を観察した。 

「んぁああっ! あっあーっ! また奥までぇ、突き上げられますのぉ~っ!」

 太ももの付け根に開く蠱惑的な空隙に、肉蔓が蠕動しながら潜り込む。

 振幅の激しい掘削運動にごぽりと花密が溢れ、淫猥な音を立てて床に落ちた。

 四肢を拘束し、指と指の間まで這い回る舌端めいた触手に、テリーヌはびくんっ、びくんとつま先を引き攣らせる。

 うねり狂う触手の表皮には、柔肌を刺激する大小の顆粒や瘤、ヒダが無数に浮いていて、エラをの如く節くれ立つ肉ヅタは、獲物を無限に悦ばせる凶悪な淫具そのものだった。

 剣技で鍛え、礼儀作法で形を整えられた砲弾型のおっぱいをねっとりと押し上げ、揉み絞り変形させた触手たちが寄せた胸の谷間を這いずり、悩ましく吐息を漏らす半口へと鎌首をもたげた。

「くへぇ……っ。あ、いやっ! 口はもうだめ、だめ、入ってこないでっ! んんんんんっ! んぷぁっ、ぬぷぉっ!?」

 上品な口紅を薄く引いた唇に無理矢理ねじ込まれ、口腔内をかき混ぜる触手。

 秀麗な美貌が無残に頬を膨らまされ、口の端から泡立つ涎をこぼし、下品な嗚咽が漏れるのを止められない。

「ぬぷぷっ、んぷっんぷっんぷっ! んんんん~っ! ぐぷっ! んぶぇ……っ」

 触手の表皮に浮いた無数の顆粒が、乙女の敏感な場所をこする度に。

 貴族令嬢にして気高き女騎士は長い縦ロールの銀髪を振り乱し、ふわとろの柔らかな二つの胸の膨らみを重たげに揺らして身悶えた。

「頭にがつんと来る蜜の匂いだな。流石に貴族様のはお上品だけど」

「ローパーは獲物を発情させて高ぶった魔力や、生命力に溢れた体液を吸うんだ。かなりのテクニシャンで疲れ知らず、粘液には強い催淫効果がある」

「なるほどな。すげぇ。前後どっちもあんなに咥え込んで、めくれ返ってるぜ」

「ぬぶぶぶっ! ほぶっ! むぐぷぉっ! んっんっんむぅ~っ!」

 コルセット要らずだろう、細く括れた腰が折れるほど仰け反り、優美な曲線美で描かれたハート型の臀部を波打たせるテリーヌを眺めつつ、《オレたち》は油断なく周囲を見渡した。

「ぐぇぷっ、えぶっ、ぬぷぁ……っ! わたくしのナカでぇ、太くて長くてカタイのぉ、ぐぷぐぷって、膨れてますのぉ……んひぃっ!」

 女騎士の全身を這い回り、勢いよく潜り込んでいる十数本の触手が。

 一斉に粒や瘤を膨らませ、脈動しながら踊り狂う様に、《オレたち》も何かの予兆を感じて息を呑む。

「んぐぅっ! ふぁああっ! あ~っ! ダメ、ダメです! ダメですわ! ダメですのぉっ! ナカは、ナカはっ! だめぇええええぇ~~っ!」

――どびゅううううっっ!!

――ぶびゅ! ぶびゅ! どびゅびゅっ!

――びゅるるるっ! ぶびゅ~っ!!

「あ~~~~~っっ!! あ~~~~~っっ!! あはぁあああ~~~っ!!」

 すさまじい勢いで白濁した乳液をぶちまけられ、全身をドロドロに汚され尽くして、騎士令嬢が恍惚にのたうち回る淫靡な痴態。

「うぶぇ……げふっ、んぼぉ……っ。おぶっ、げへぇ……っ」

 見栄も恥も外聞も消し飛び、注がれた粘液を吐き出す不様な牝騎士のアヘ顔に。

 《オレたち》は興奮に上擦った声で呻く。

「もう少し、見とくか?」「そうもいかないだろ。でもなー」

 もっと見ていたい、そう躊躇する《オレたち》だった。

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