0465:氷纏
0464話、修正した新しい文章では無く、古い方の文章を掲載していました。既に修正済みです。竜種に関する記述です。申し訳ありませんが、確認下さい。
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風が大きな唸りを上げた。
風裂のちいさな刃が幾百、そしてソレが何度も繰り返されれば、空の支配者、飛んでいる巨大な龍を強制的に動かす事も可能なようだ。
そもそも。あいつは翼で羽ばたいたわけでも、滑空しているわけでもない。
「魔力」で何らかの術を使い、浮いているのだ。その状態で攻撃を受ければ、何らかの防御に魔力を割かねばならなくなる。
すると。当然その分、飛行の制御は甘くなり……。
ドガガガガガガガガガガガガガガガ!
大地が震える。魔力で浮いているだけで、実重量は結構重いのだろう。無事、城門前の拓けた土地へ墜とすことに成功した。何百もの風裂で斜め上から強引に下へ押しつけたのだ。
……叩き落としたはいいけど……ちっ案の定、何一つ傷は負っていない様だ。風裂くらいじゃ血の一滴も流せないってことか。
(お館様。お任せを)
アリエリ?
(イリス様の方は、ミスハルとモルエア、後から来るパルメスで大丈夫そうでしたので)
あ。そうなんだ……。まあ、そうか。
イリス様に加えてミスハル、モルニア、念のためにパルメス……それだけ必要な敵って……やっぱファランさんが言った通り、悪魔で伯爵級なんだろうな。
それこそ、俺が遭遇した中でこれまでで一番強そうだったのは悪魔であるスライム公爵なわけだけど、それをミアリア(現在出張中)は凌駕した。そのミアリアも、ミスハル、モルエア、パルメスの三人に囲まれればさすがに手も足も出ない。
というか、それにうん、イリス様いるしな……。
(イリス様、大丈夫ですか?)
(ああ、ミスハル達が手助けしてくれているから平気だ。そっちにいた龍は?)
(こちらでなんとかします。こちらにも、ファランさんに加えて、アリエリと後方支援でフリアラ、オルニアがいますし)
(任せた!)
(フリアラはファランさんの護衛。オルニアは念のため、オーベさん、フリージアさんの護衛で)
(はい)
(はい)
「んじゃ、アリエリ、行こうか」
「はい」
いつの間にか、アリエリが側にいる。スゲーな。うちの嫁。
火炎……ってことだから。その逆が良いわけで……。氷属性の術……氷纏か、氷を纏う術がある。
俺のステータスに氷属性の魔術の表記は無いんだけどね。でも多分、使える。はず。何となく。
まあ、風纏と火纏、水纏、土纏があるから……当然、氷纏もあるよね? ってことで生み出せばいい魔術なんだけど。
というか、基本的に、地水火風系の魔術は、全ての属性で~
・その属性を纏う術:風纏(風属性の場合)
・その属性を飛ばす術:風裂
・その属性を身体に宿す術:瞬発
・その属性で壁を作る術:風盾
の四つが基本になっていると思う。一つの属性を使えれば、全ての術が使える。うん。
実はちょっと前に……癒しの術が使えるようになった件のせいで、オーベさんとファランさんに
当然、調子に乗って、何度か試してみたが実際にはどうにもならなかった。
各属性の基礎魔術……訓練に使うと言われている術を頑張って訓練してみたのだが、さっぱりだったのだ。
火属性であれば火矢。水属性であれば水(少量の水を生み出す)。雷と氷は雷矢と氷矢。かなりしつこく鍛錬してみたのだが……どれも発動には至らず、諦めたのだ。
なんだけど。それとこれとがどう関係があるかといえば。
今俺が使いたいのは氷纏。氷属性の術だ。以前は確実に使えなかった。
以前……第四王国騎士団だったか……最初にイリス様が潰した騎士団で、自分の槍に火を纏わせた槍を使う騎士を見た。まあ、あれは火属性を持つ槍の魔道具だったのだけど。見た目は結構格好良かった。
で。実はついこないだ……出張から帰って来て、安心して毎日の訓練をしていた際に~単純にあれを思いだして、あの火を想像しながら、魔術を使ってみたら。「出来てしまった」のだ。基礎となる術、火矢が使えなかったのに。火属性の火纏もどき、が。
それ以来、火属性の術も使えるように成り始めてたりする。
なので考えた。もしかして……俺は、付与系の術がもの凄く得意なんじゃ無いだろうか?
というか、マッサージやアレで妻は強くなった。それは能力付与のスキルだ。
ああ、だから、正確には、俺は、能力付与に特化した人間なんじゃないだろうか? という仮説。
その後、色々と忙しくてイマイチ試していなかったのだが、今、早急に求められているのは氷。
氷を纏い、温度が下がって、霜が降りている刃……。
「出来た……」
アリエリの……ミスリル製の剣が……元々魔力に反応して青く光る剣が、青白く煙が漂っている。
「お館様……これは……」
「不慣れというか、初めてだからどこまで効果があるか判らないけど、氷纏の術を施した……感じかな? あいつ、どう見ても火属性だからさ」
「ありがとうございます。これで……斬り裂いてきます」
「うん、任せた」
目の前から……アリエリが消えた。
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