0462:助けちゃったから

 厄介な人を抱え込んでしまった。


 まあ、でも、モルエア達が自分達と重ねてしまったのも判らないでもない。



 更に言えば、あの姫様は瀕死だった。あそこまで追い詰めなくても良いだろうに。武人であるのなら、首を刎ねてやれば良いだけだ。


 殺せなかった理由があったんだろうな。庶民には絶大な人気があったみたいだし。病気と偽って監禁していた理由が。


 因みにイリス様に確認したら、余り興味が無い感じで、良いようにする様にと命じられた。まあ、今は迷宮探索準備で忙しいからね。興味はそっちに集中か。


 モルエアとパルメスは、もしも俺だったら、助けたのではないか? と、思ったらしい。俺ならって手を貸したと。うん。ごめん。確かに俺がその現場にいたらそう判断してたかもなぁ。甘いからなぁ。その辺。


 でもな~別に何でも助けちゃうタイプではないんだけどなぁ。俺はもう、嫁ズや、紅武女子、さらにオベニス領の人達だけで手一杯、お腹いっぱいなのだ。


 ここから先、人助けをするとしたら、それは確実に打算だ。そりゃ特別なケースもあるだろうけど、それ以外は計算の上で行動すると思う。


 だからこそ、オブルイットの森域からの帰り道、モールマリアとイガヌリオの戦線に介入したのだ。


 あの不意打ちで一体何人死んだのだろう? あの時俺は、将来「多分確実に」という予測だけで、それを理由に力を振るったのだ。実際に術を使ったのはオーベさんだが、やらせたのは俺だ。


 あれだけでも、地獄行きは間違いない。博愛主義者が鼻で笑うレベルの偽善者だ。


 ってまあいいか。家族の中でも秘密は必要だ。隠しておいた方が良いことも中にはあるだろう。


 で。まあ。助けて来た以上は無視はできない。そもそも、彼女は死ぬ寸前だった。これ、あと一日遅かったら死んでたんじゃないか? というか、助けた時点で俺以外に治せなかったんじゃ? というくらい酷かった。


 手足を縛られ、その上で腹などの胴体を鈍器で叩かれた様だ。しかも、ソレが原因で死んだと判らないように、拷問後、適当に外側だけ癒しの術を掛けた痕跡もある。


 肋骨はボロボロ、内臓もちぎれ、内出血もあり。それを術で抑えていた。大したことのない癒しの術の使い手が、中途半端に癒すと、こんな状態になるのかと、勉強になった位だ。


 部位欠損は無いものの……まあ、とにかく、なんとか生きている……生きながらえているという状態だった。


 それを一つ一つ修復していった。


 紅武女子の持っていた家庭の医学的な電子書籍は、術を使う際の基礎知識を底上げしてくれた気がする。劇的な効果アップは判らなかったが、なんか、前よりもイイ感じに治せてる。


 でも。一番効果が高かったのは英霊の泉から汲める水……だ。


 まあ、ただの水じゃ無いからね。多分、ハイポーション以上、エリクサー未満なヒーリング効果のある癒しの水、RPGなんかで有名な水薬だ。

 これ、前に居住区階層に設置して失敗し、消去した後、モギ部屋の一室を増設して、そこに設置してある。魔力の高い、さらに癒やし効果まである水の湧く泉は、何かあった時に無いと困る。実際、そこまでスゴく沢山湧くわけでは無いので、それを片っ端からタンクに貯水している。


 まあ、うん、アレだ。某マンガの有名な回復カプセルじゃないけれど、あんな感じで……プールにして浸かったら……身体は癒えるだろうなぁ……と思っただけなんだけどね。


 実際、この回復ポーションを強引に飲ませることで、内臓の回復は異様に早まった。飲ませるのが大変だったけど、それは水の術で操作して、強引に押し込んだ。口移し……とかよりもちゃんと飲ますことができる。


 内臓はぐちゃぐちゃで、内出血が酷かったりもしたので、それは「身体に害をなす液体」として処分した。多分、出血した直後だと、ただの血液となって排除することが出来なかったと思う。生死の境目くらいまで追い込まれていたからこそ、腐りかけていたからこそ、その血液が敵だと判別出来たのだろう。


 今回ので判ったのは、俺の使える癒しの術は……なんていうか、結構面倒くさい。本を読んだところで、生半可な知識しかないからね。医者じゃ無いし。


 それでも、この世界の薬師や治癒師と言った専門職の人に比べれば、医学&人体の構造の知識は豊富なので……歪なのだろう。


 俺の使う癒しの術は、イメージが大切な魔術の世界では脅威的な癒やし効果を発揮してくれている。まあ、向こうの世界での基礎知識のおかげなので、多分、紅武女子の中で癒しの術が使える娘は、そのうち同じレベル、いや、俺よりもイイ感じで癒せるようになると思うけどね。


 丸々二日掛けて……身体的には治った……と思いたい。というところまでこぎ着けた。これで意識が戻るかどうかはまだ判らないのだが。


 もしも……目が覚めて……彼女……そのまま放置ってワケにもいかないよなぁ……。


 復讐とかしたいとか言い出すんだろうか? うちが関われるのは身体を癒やすところまでだ。それ以降は自分でやってもらうしかないかなぁ……。


 現状、国際的なアレは、領的に余裕がないものな。交渉一つだって難しいだろうなぁ。


 というか、面倒……。







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