0436:月夜の森

 帝都、その中央のクレーター(白亜城跡)から……それほど離れていない東側……に、不自然な森があった。おかしい。そこまで木は生えていてもまあ……普通の太さ、普通のヤツだ。って詳しくないからよく知らないけど。


 それが……なんで突然、幹の太さが十メートル越え、高さも数十メートルは確実な重厚な森が出現するのか。植生おかしいでしょ、これ。絶対。


 って……あ。


 そういえば、オベニスの南、ドガル達と会ったイーズ森域もこんな感じで植生がクッキリしてたなぁ。思い出した。あそこと一緒か。


「ここが月夜の森?」


 オーベさんが頷く。とりあえず、森に入る前に食事を済ませることにした。周囲に誰もおらず、魔物もいない様なので収納に入れている小屋を出し、そこで済ますことにした。ちなみにスープやステーキなど、熱々のまま納められている。取り出すだけで、瞬間で用意完了なのだ。大鍋から小皿、取り皿によそって、冷める前に収納すればいつまでも温かい。


「私にとって捨てたようなものじゃが……そうじゃな……懐かしいといえば懐かしいな」


 食事をしながら、外を見ながら。オーベさんが呟く。ノルドの住む、暮らす森っていうのはこういう植生になるのだろうか? いや……もしかして……。


「ノルドの暮らす森の木って似てますよね?」


「ああ、ハイノルドの秘術じゃな。自分たちの暮らす森を生み出す。数十年かかるがな」


「そうなんですね……っていうか、数十年でこれほどの森が……」


「育つ様じゃぞ? その辺も術のひとつらしい。私は知らないが」


「へぇ……凄いですねぇ。さすが……ハイノル……あ。あれ?」


 忘れてた。あれ? オーベさん? そういえば、ハイノルド……じゃなくなったんじゃ……あれ?


オーベシェ・ミード

モリヤ 女 力168→245 躯222→429 器210→410 敏203→484 知310→620 精331→634


思考鋭敏

螺旋修復1(new)

脅迫2(new)

説得2(new)


杖術2→3


魔力制御8

→火3→6

 風5→6

 水3→5

 土1→3

 闇2→4

 召5→7


騎乗3→5

獣種従属(new)

獣種指示(new)


 うっは。すげっ。なんだこれ。パラメータ600台はイリス様の力とか躯と一緒で、人類の最高峰ということなんだろうか? っていや、違う。そう。種族=モリヤの件だ。


 さらにギフトも……何じゃこりゃってくらい増えてるし、レベルアップしてる。突っ込みたいギフトも多数。まあでも、今はどうでもいいか。後で、オベニスに帰還してからでも問題無いよな。多分。


「オーベさん、種族……ハイノルドじゃなくなって……ますよ……ね」


「ああ、多分そうじゃな。だが……その辺、完全に上位互換のようじゃな」


「上位互換?」


「私がしばらく我が主といたさなかったのは、種族名が変わることで何か不都合があるかどうか? を確認していたからなのだ」


 え? そうなんです? 色々とやることがあるので後回しで良いっていうのはそういうことだったのか。


「それで得た答えが、種族モリヤは、元になった種族の能力は一切欠けずに、新しい名前、新しい何かを与えられるということじゃな」


「そうなんですか?」


「そもそもな。種族名が変わった……というのは、我が主の鑑定でしか確認出来ない」


「ええ」


「さらに、我が主の鑑定は、神の記憶や世界樹の記憶にアクセスして情報を得るものではなくて、あくまで我が主の主観で変化するということじゃしな。つまり、根本的な種族という枠はそのままで、他の能力が付与されたと考えるのが正しい。ということで、私の種族はモリヤだが、ハイノルドでもあるのじゃ」


「なんかそれだと……モリヤの方がハイノルドよりも上の様な感じなんですけれど……」


「上じゃろうな。我が主の中では確実に。そこにどんな意味があるのかは良く判らんが……。ハイノルドは……一般的に、ヒームやガギル、ノルドよりも上位の存在と言われておるが」


「はい」


「まあ、ハイノルドが優れている……のは主に寿命的なモノ、それに耐える肉体くらいではないか? と私は考えている。この説を披露した時点でハイノルドの世界とは大方縁を切ったがな。寿命が長いというのは、長い間鍛錬が出来るという事じゃ。つまり本人のやる気が欠けなければ、他の種族よりも確実に能力値が上がる。ハイノルドが優れているとすれば、それはそれだけ鍛え、悩み考えたからじゃ」


「ああ、それは素敵な考えだと思います」


「お! そうか! 我が主もそう思うか?」


「ええ。生まれた種族で、血で高貴かどうかが決まるとか、上級か下級か決まるよりも、よっぽど素敵な考え方だと思います」


「その辺を理解しようとしない者も多くてな……」


「まあ、ですよね。それをプライドとして生きているような人もいるでしょうし」


「じゃな」


 ちなみに、こういうときアリエリはほとんど喋らない。同僚というか、モリヤ隊のメンバーとは結構話をするのに。黙々と食事を取っている。


 あ。こっち向いて笑った。美味しいらしい。





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