0434:マーカス辺境伯領・最東の城砦都市ガーゴバル

 現状空いているモリヤ隊の誰か……となったらミアリアとアリエリが動けそうだとなった。ここは……オベニスの守りを考えて、ミアリアにはオベニスに残ってもらうことにした。未だ戦力的には最高峰だしね。


「鑑定」にレベルの表示は無い。


 だから、まあ明確なレベルアップって無いんだけど、日々の訓練、討伐などで能力値がジワジワと上がっていくのは確実だ。なので、強敵と戦い、それを打ち破るのが一番能力が上がるんだろうと思う。階位持ちの悪魔の人をぶっ殺すとか……そんな機会そうはない。まあ、頻繁にあったら困るし嫌だし。


 そう考えると、俺のスキルは……なぁ。反則だよなぁ。


 とりあえず、イリス様とファランさん、そしてミアリア。さらにミスハルもしばらくはオベニスに常駐するということなので、自分たちが帰ってくるまでは問題は起こらないだろう……と思う。


「一緒に行きたい」


 まあ、我が儘領主様は健在だけど。


「イリス様には、紅武の娘たちを迷宮の浅い階層で慣れさせて欲しいわけですし。訓練もしてもらわなければですし」


「むむむむ」


 やはり、彼女の中で迷宮はかなりウェイトを占めるらしい。


「これってアレですよね、いたしてからになってますけど、オーベ師と実家へハネム……むぐぎゅ」


 現役厨二賢いヤガシラがまた火種になりそうな事を言い始めたので途中で止めた。


 ハイノルドであるオーベさんの故郷巡りツアーは、俺とオーベさん、そしてアリエリで向かう。正直、それなりに距離はあるし、蛮族が蔓延っている地の様だが、俺達ならまあ、問題無く辿り着けるだろう。


 オベニスよりも東の領は現在かなり悲惨な状況となっている。

 

 単発とはいえ蛮族たちの夜襲、奇襲を受けて、ボロボロになっている。


 文明圏として維持出来ていない街、都市も多い様だ。オベニスを始め、王都や西の領からの支援でなんとかなっているという。


 東へ抜ける道は、最短距離だと東はサビエニ辺境伯領のレスビニを抜けるのが一番最短距離となる。が。このレスビニ近辺は蛮族の出没が異様に多く、何かと面倒らしい。情報部からのアドバイスで北からの踏破を目指す。


 北のマーカス辺境伯領、さらにその東のガーゴバルという都市まで……文字通り一日で駆け抜けた。オベニスからここまでは赤の街道の名残が残っている。


 所々剥がれ土が露出しているが、多分、赤いコンクリートのようなモノで舗装されている……二車線道路ほどではないけれど……10メートルくらいの道幅は非常にしっかりしている。

 なので普段は馬車の行き交いも多いというが……現在は蛮族の襲撃を恐れてかほとんどの流通が止まっている様だ。


 ガーゴバルはオベニスと同じく城砦都市だ。城門での身分チェックはかなり時間が掛かった。さりげなく理由を聞くと「蛮族の手下が都市に入り込むのを防いでいる」んだそうだ。


 うーん。蛮族を見たことが無いからなぁ。まあ、手下って言うのは協力者か。そういう人もいるんだな。というか、蛮族ってヒームなのかな? オリジナルの種族なのかな? 類人猿だとかだと判りやすく野蛮でイイ感じなんだけど。


 街で宿を取った後、近所の酒場で情報収集を行う。


「蛮族共め……うちの村は全滅したんだ……」


「辺境伯様は大規模掃討を行うって話だぞ」


「冒険者ギルドでも動員をかけてるらしい。逃げだそうとするヤツは強制依頼で縛られるらしい」


 とりあえず、村が襲われた……と話していた冒険者らしい若者に近づく。


「あの。ちょっと話を聞かせてもらって良いですか?」


「なんだ、お前」


「私、行商人をしているんですが……蛮族について教えて頂きたくって。ご存じの様でしたので」


「ああ?」


「これで……いかがでしょう?」


 とりあえず、十G貨幣を五枚。テーブルに乗せる。


「何が聞きたいんだ?」


 若干緩くなった表情と態度。まあ、相手は既に酔っ払いだ。口は軽い。


「蛮族ってヤツラは……我々と同じ、ヒーム族なんでしょうか?」


「……着てる服がボロボロだからな。すぐに判るんだが……中身は……ヒームなのかもしれねぇ。同じ種族だと思いたくねぇが、あれはノルドじゃねぇし、ガギルでもねぇ。魔物……にもあまり似たヤツァいねぇ。何よりも動物や魔物と違って多人数で複雑な連携した攻撃をしてきやがるし……」


「し?」


「無駄に賢けぇんだ。うちの村にだって、最低限の守備隊はいた。狩人もそこそこいたしな。にも関わらず全滅だ」


「それは……確かに。バカでは出来ないですね」


「ああ。大抵……囮のヤツが大きく騒いで気を引いて、その裏から攻めて来やがる」


「それに気付いていたなら」


「そうするとな。次はいつ襲撃するか判らなくしやがる。朝攻めて来たり、月の無い夜に攻めて来たり」


「確かに。完全に作戦行動を行っている感じですね」


「そうだろ? 俺はそれを辺境伯様の騎士団に報告したんだが……「蛮族など我々が出向けば一瞬で吹き飛ぶような雑魚でしか無い」と耳を貸しやしない……」


「そうでしたか……貴方の献策を一切聞かず……ですか」


「報奨金が欲しくて言ったわけじゃねぇんだ。何とか仇を取って欲しくて言ったのによぉ」


 若者が涙ぐむ。悔しいだろうが……まあ、これくらいの情報は辺境伯騎士団となれば当然得ていることだろう。完全に蛮族と馬鹿にして、何一つ情報収集せずに力押ししようと思っている……わけじゃないだろうし。


 あ。でもなぁ。そういえば。スライムの九大悪魔の一人、アルバカイト伯爵、通称スライムダゴンどろどろさんに騎士団の大半を喰われたんだっけ? ……正直、アレはどうにもならないとはいえ……間抜けだよなぁ。その間抜けっぷりがこっちに伝わってるわけじゃないよなぁ。


 あ! そうか。やべ。忘れてた。ここは辺境伯は辺境伯でも「北」の辺境伯だった。あの時全滅したのは東のサビエニ辺境伯の騎士団か。ここはマーカス辺境伯領。完全に騎士団も別物だ。なら大丈夫……かな?







-----------------------

おすすめレビューに★を三ついただけるのが活力になります!

ありがとうございます!

さらに、おすすめレビューにお薦めの言葉、知らない誰かが本作を読みたくなる言葉を記入して下さると! 編集者目線で! マネージャー目線で! 

この小説が売れるかどうかは貴方の言葉にかかっていると思って!

やる気ゲージが上がります。お願いします!


■最新宣伝です。

31歳から始める能力付与者[1]

-マッサージで天下は取れるのか? 取れそうだ-

第一巻絶讃発売中であります。


カクヨム近況ノートに紹介画像があります。


詳しくは自分のX(旧Twitter)にリンクがございます。


よろしくお願いします。


■宣伝です。原作を担当させていただいております。

無料です。よろしくお願い致します。


[勇者妻は18才 第1話] | [ゆとり]

#Kindleインディーズマンガ で公開しました。

Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒

「直リンしちゃいけないんですってググってね」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る