0432:課題確認

「ということでですね……課題はいくつもありますね……」


 今回の迷宮探索試行で判ったことは


・戦力→多分、紅武女子のみでも、しばらくは問題なし。どこまでイリス様が関われるか判らないが、少なくとも一緒にいるうちはさらに問題なし。


・罠や敵の察知、探知能力→問題あり。気配察知の出来る者が一人、または数名欲しい。紅武女子の中でそちらに長けた者を鍛える? 方法は?


・臭い→新開発の光属性の術によってどうにかなった→が。俺がいないとダメなんじゃちょっとどうにもならない。毎回潜れるワケじゃ無いし。


・日程の問題→約十階層ごとにしか転移陣が出現しないということは、十階層を踏破するまで帰還出来ないということ→迷宮が深く、広くなればかなり時間がかかるはず。


・日程が長引くほど、問題が大きくなるモノ→食、衛生管理、疲労など。魔道具でどうにかなるかと思ったけど……。


 食べ物を産み出す魔道具なんだけど。魔石が動力源なので、迷宮で敵を倒しつつ先へってなれば、ほぼ無限に供給してくれる。食べるモノに困らない。最高! 

ですけどね。

 それなりに大きいし重い(自動パン焼き器くらいの大きさ)。少なくとも、一人のバックパックの半分は埋まる。

 10階層を一日で踏破できるんなら昼夜の二食を持ち込めばいいだけなんだけど。階層が広くなってきた場合の万が一に備えてなのかなぁ。

 まあ、最大の問題は味。ね。正直、マズイカ●リーメイトなんだよなぁ。お腹はいっぱいになる。でもさ。そうじゃないよね。


 よく考えなくても……自分が帯同出来れば解決出来る問題も多い。「収納」はそれくらい万能だし、「転移」も凄まじく便利だ。アレだろうな。茂木先輩にこれを渡した神様? は、自分自身で迷宮を攻略することを前提に用意したんだろうな。


「収納」も「転移」も迷宮、しかもこのオベニス迷宮の様に深い……異常なほど深い迷宮でこそ光輝く。


 とはいえ。当然ながら。常に俺が迷宮探索班に掛かりっきりというのは難しい。それこそ……一時的に平和……の様な状態ではあるが、現在もまだ、国の周囲では戦争中なのだ。というか、ザワザワしている。各所で綻びが起き、既に火が付き始めている。


 さらに、こないだのガギルの様に、伝染病や呪いなんかでとんでもないことになっているとなったら。俺が行かなければならない。迷宮専属は物理的に無理だ。


 心情的には……正直、俺はもう、あっちの世界に帰るつもりが無いからなぁ。何よりも無責任に嫁をもらってしまった。責任を取らなければならない。


 だけど。


 紅武女子のみんなは……帰してあげたい。同郷の大人としての義務、親心というヤツだ。妹はいなかったが、田舎の親戚縁者には彼女たちくらいの甥姪がいた。なので、迷宮に潜る手伝いを優先的にするのは吝かでは無い。


 って、迷宮最奥に、帰還方法が隠されていると確定しているわけじゃないんだけど。最低でも呪い解除は可能だろうっていう。


 が。それ以前に、オベニス領自体が危機や危険、さらにイリス様が領主、支配者では無くなり、この都市、さらに迷宮が自由に扱えなくなるのは非常に困る。


 特に妻と紅武女子のみに迷宮攻略させる……というある意味とんでもない俺の我が儘が通せなくなってしまう。


 迷宮って本来、上手く運営できれば領運営の上で、重要な収入源となる。まあ、魔石に始まって、魔物素材、薬草などの錬金素材、鉱物資源、迷宮品のオークションなど。迷宮が発見されればその近辺に街が出来るレベルで発展する事も多いと聞いた。


 なので、本末転倒とならないように、オベニスを守るという課題は俺にとって、いや、紅武女子にとっても最重要になるのだ。


「とりあえず、気配察知を鍛えたいですよね……ミスハル、訓練のやり方判る?」


「風属性の術に長けると身に付きやすい気がします」


 ああ、そうか。ノルドはそうか。風を使って周囲の状況を感知するってやり方もできるのか。それが最初にやれる訓練か。風属性の魔術って……「風裂」だよな。やっぱ。


「風属性の術って最初に「風裂」を使える様にしないとなのかな?」


「ええ。「風裂」「きりさき」……最初は風を動かすことです」


「紅武のみんなは……使える様になるかな?」


「大丈夫じゃ無いでしょうか? お館様と同じく、界渡りはあらゆる術やスキルを手に入れられるんですよね?」


「そう言われているみたいだけど……ね」


 俺も節操なくスキルや技、魔術を使える様になってるからなぁ。その噂は本当なんじゃないかな。ああ、それに、八頭さんは自力で既に火属性の術を使える様になってるんだっけ。すげーな。俺の様に感覚共有して無いのに、見よう見まねで使える様になるなんて。


「必要だったんですよ~必死でした~」


 って軽く言ってたけど……とんでもないセンスだよなぁ。それ。


「ファンタジーの世界ですからね~魔術は絶対に使えるハズって信じてましたから~」


 ある意味、リアル年齢が厨二真っ盛りだからな。この年代の少年少女の可能性というか、本能というか、潜在能力は凄まじいものがあるって聞いたことがあるし。


「では。ミスハル、紅武の娘たちに風属性の術を教えてやってくれない? まずはそれを使える者が複数名いないと話にならない」


 ミスハルはイリス様、モリヤ隊メンバーに比べて、論理的に説明が可能だと思う。

 魔術の師として考えると、ファランさん、オーベさんなんだけど……ファランさんはなんていうか、感覚派。オーベさんはちょっと意地悪なのだ。教えることに関して。スグに謎かけしようとするし。海外の優秀な人に教えるならいいと思うんだけど、日本人にはちょっとめんどい。多分。


「はい」


「そこから気配察知を習得できる者が何名いることか……」


「お館様を含め、界渡りは特別ですから」


「そうだね。彼女達の可能性を信じよう」






 


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