0426:ミスリル装備一式
紅武女子の装備一式が仕上がって来た。これから調整に入るそうだ。
「ほほーこれは……凄い……な」
武器防具に関して素人の俺がパッと見ても唸る。そんな凄みが感じられる。なんだこの重厚感というか、奥行きというか……。装飾だけではない凄み。
一般に、ヒームの鍛冶士が作る普通の鋼の剣の性能を1とすると、ガギル製の鋼の剣は装飾などを省いたとして、5になるとは聞いていた。五倍だ。能力で。鋼の剣が、同じ鋼の剣で切りおとせるらしい。ほとんど打ち合いにならないそうだ。ある程度力と技量があれば、盾毎、鎧毎人体を両断できるという。
「ここまで……ミスリルで固められた戦士はいないのではないか? この世に」
いま、ファランさんが恐ろしい事言った。
「まさか。どこかの国の宝物庫とかをあされば揃うんじゃないですか?」
「無理だな……イリス、知っているか?」
「聞いたこと……ないな。そういえば。特に……ミスリルの防具は……このチェインメイルよりも薄くて粗末なモノを大威張りで着ていた気がするな。どこかの王族が」
そっかーそういうレベルか~。
「何よりも……総ミスリル製ということは……全てが魔力で強化されるという事だ。さらにベニタケらの技量が加われば……イリス。お前でも手こずるのではないか?」
「ああ。そうだな……一人なら普通に相手が出来ると思うが……二人、三人となると怪しいな。五人で来られるとやられる可能性が高い」
「な?」
そこまで? 戦力差が縮まる? いえいえ、だから、なんでそこで逆にドヤ顔なんですか。ファランさん。
あ、総ミスリルの魔力持ち戦士二、三人を相手に出来てしまうイリス様スゴいってことでしょうかね? その、イリス様絡みのどうだ! 的な自慢はなんなんでしょうね。仲良しですよね。二人。
聞いていたとおり。鎧はチェインメイルに肩当て、肘当て、腹周りにスケイルメイルの様なミスリル片が編み込まれている。幾何学模様というか……厨二的というか、黒歴史というか、いえ。カッコイイです。自分に似合わないのは知っているだけで。まあ、追加装甲の着いた鎖帷子なのは間違いない。
それに比べて。腰周りから下、太股、脛当て、靴。そこは完全にガッチリしている。
ミスリル製のプレートメイルの下半分と言ってもいいだろう。イリス様の注文だったらしいので正解なんだろうけど(イリス様は戦闘に関しては正解しか言わない)、あらゆる意味でものスゴくゴツイ。
でも別に……下半身デブというか、太くは見えないラインになっているのは、ガギルの芸術的センスというやつなのだろう。これまたカッコイイ。
机の上に置かれている一式から考えると、薄いミスリルのタイツ、ストッキングみたいな股引を履いて、その上で、ブーツを履き、脛当て、太股の鎧をベルトで止めていく形の様だ。足先から太股まで、オーダーメイドで個人個人形が違っているらしい。
さらに篭手。これも使う武器によって大きく違う。薙刀使いなら軽量で指が大きく動くモノ。日本刀使いは右手がゴツイ。
ただの手袋の様な篭手は弓用だ。これも各人の指の長さや大きさでサイズが変わっているそうだ。細かいミスリルの鎖で編み上げた手袋にミスリル片が覆っている。カッチョイイロック的な手袋だな。なぜかクッション性もある。ミスリル編みが細かいからだろうか?
凄いな。ガギル。どうやって寸法測ったんだろう? 目線が3D造形プリンター並ってことなのかな? どうなのかな?
「スゴイ……これは……重さを感じない……」
「もの凄く硬い気がするのに……軽いって……」
「これまで着ていた革鎧よりも遙かに軽い」
紅武女子の皆さんからは大絶賛の様だ。そりゃそうだ。世界最高峰の鎧(多分)……なわけだし。
ドガル曰く。技術はガギル最高峰とは言い難いらしい。ガギルもノルドと同じ様に、同種族でも森毎に関係がほぼ隔絶している。特に技術に関してはコンテストとか技術大会とかが存在しないので、比較できないし、どの森のガギルが優秀か判らないのだという。
だが。唯一言えるのは。ミスリル鉱というのは、本来、剣一本分抽出するのも百年単位でかかるものらしい。鉄等の通常の鉱石に混じって少量産出する、それが当たり前なのだ。それこそ、迷宮の魔物の激レアなドロップ品でミスリルインゴットを取得するとそれを使って剣が作られる……みたいなノリの様だ。
つまりは。ここまで贅沢に、特に防具にミスリル鉱が使われているコト自体が滅多に無いのだ。それはつまり、幾らガギルと言えども、ミスリル製の防具を作る機会はそうないということになる。
俺、この迷宮で……やらかしてるってことか。
ということで、魔力で強化できる上に、総ミスリル製ということで、これが世界最強の鎧と言っても良いのでは無いか? ということだった。すげーな。嘘をつかない、適当な事を言わないガギルにそう言われてしまうと、触る手も鈍るというか。この艶を曇らせちゃマズイと言うか。
各人の鎧には、背中や腰に武器を背負えたり、吊せるアタッチメントも着いている。オーダーメイドだからこそできる特別仕様。凄いなー。
紅武女子の使用する武器は、長物は薙刀だけだ。それも背負える長さに短くしてあるという。和弓はどう考えても迷宮で使用するのは無理という結論になり、通常のアーチェリー、いや、ノルドが使っている通常の弓サイズになっている。陸上部で槍投げの子はかなり短い特別製の槍を投げることになったらしい。矢と同じように、複数を筒に入れて持ち歩く形式のようだ。
で、さらに。武器がおかしいことになっていた。逸品。激レア。★五つ。うーん。なんといえばいいのだろうか? これまで見てきた武器と比べて、とんでもない価値があるのがハッキリ判る。違い過ぎる、て。これ、街で見られたら即盗賊団が襲いかかってくるレベルなんじゃ無いか?
そういえば、イリス様は基本、無骨な飾りの無い武器を好むし、モリヤ隊のみんなはナイフとか短い剣が多いのであまり目立たなかったし、良く判らないジャンルなので気付いていなかったが……ここまで違うのか。
ガギル、恐るべし。
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