0415:ミルベニ調査旅②
イーズ森域の南東に位置する、オルゲン・ジナス帝国。この国の情報はほとんど無かった。隣国であるフェノナム連邦国を通過する際に情報収集はしたのだが、非常に騎士、軍人が威張っている国……ということしか判らなかった。
しかも、現在は完全に鎖国状態にあるらしく、国民の入出国を認めていない。何をしているのか、半年程前から判らなくなっているという。知り合いが帝国にいるという商人から聞いた話だ。
あまりにも怪しい……という判断の下。単独で潜入することにした。フェノナム連邦と帝国は山脈で区切られているが、そこまで険峻な山々でもない。それこそ、封鎖された関所のある街道を行かなくても、山を越えてしまえば帝国領に侵入することは容易い。
そもそも、島国でも無い限り、国を封鎖する……なんてことは不可能なのだ。街道の封鎖は出来てもそれ以外からの越境行為はどうやったって防げない。ハズなのだが。なぜか、隣国ではここ半年の帝国の情報が全く無かった。これはどういうことか?
各街や村が閉鎖されている……ということだろうか? 良く判らない。何よりも、フェノナム連邦から帝国へ向かった人も一切戻っていないという。手紙を送っても使者を送っても、何一つ返事がないらしい。
そう考えながら、壁の綻んでいる所から街に忍び込む。
その街……城砦都市であることは判っていた。
確か、名前はグジエント。城砦都市グジエントだったハズだ。忍び込んですぐに感じたことは……ある程度探索して確信に代わった。この街は……死んでいる。生きている人の気配が……ない。
これは……。拙い……とはいえ死霊術を使う自分は、人の生死について敏感である程度感知することができる。完璧ではないが間違えることはまずない。さらに自分の感覚が狂わされている……術を使っておかしくされているということも無い様だ。
「生者はいないが……死者はいるということか」
背後に立つのは複数の姿。生気は無い。
「陛下の名の下に……異物を排除する」
指揮官らしい……元貴族だったのかもしれない人物がそう口走る。しゃべれるのか……。自分を取り囲んでいるのは数十名。全員の着ている服はまちまちだったが、腰に剣を佩いている。
それを一斉に抜いた。見事な一致。
これはもう……完全な同調を行っている。つまりは、全員を操っている者がいる。さっき喋った元貴族っぽい死人がそうだろうか? いや……魔力の流れ的に……違うな。どこだ? ヤツの視界を利用しているのか?
それよりも……こいつの支配は……この都市の住人全部という事だろうか? そんなバカな。そんな隷属あり得ない。こんな支配の仕方……。
あ。いや……。
一つだけ可能性があるのは……。古の記録に残る……魔族。それも吸血鬼という存在。眷属を増やしてその力を増していくと言われている。
確か吸血鬼に血を吸われ眷属となると、そいつが他の者を襲い血を吸い、さらに眷属にする。倍々どころか、ねずみ算的に眷属が増えていくそのやり方なら……一つの都市を制圧するくらい二、三日あれば十分だろう。
ちっ。この都市に別に大した敵はいないようだが……数が多すぎる。こちらに近づくに連れて、家々から仲間が出現しているのだ。
「本当に全員……眷属なのか……」
そうなるともう……復活させる、元の種族に戻すことは出来ない。魔族の眷属でしか無いのだ。ということは生きる者の敵だ。
「火葬か……」
後退しながら火を放つ。侵入する際に当然、退却路は確保している。容赦なくいく。
「闇の炎よ……燃え上がらず燻る熱き炎よ。出でて喰らえ。我は喰らう者を示す者なり。既に契約は為されている。
静かに燃え始める眷属。闇と召喚の二つの属性を備えた炎だ。ただの水では消火出来ない。火は小さいが、凄まじく高熱を発する。次々と燃え移るのも特徴だ。眷属となった者達だけでなく……周辺の家々に使用されている木材部分にも火が広がっていく。
とりあえず、幾重にも囲まれてしまうと危険なのは確かだ……。広範囲に燃え広がるのを確認した所で、早々に退散することにする。
この国の他の都市を調べて……同様であれば早急にオベニスに戻らなければならない。
国全てが支配される、魔族である吸血鬼に支配されるなど……この目で見ていなければ信じられないが……。
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