0414:絶縁
叫んでいて五月蠅いので倒れてる冒険者くんに圧縮した面の風を喰らわせて、気絶させる。
ああ。このまま足首から血が流れ出続けたら死ぬか。仕方ない。繋げておこう。ゆるめに。暴れると千切れるくらいに。そんな微妙な手加減まで出来るようになったんだな。うん。俺。自分で自分の成長を知る。良い傾向です。
冒険者くんの後追いというか、増援というか、支援はさっぱりなかった。冷たいな。本当に。なんていうか、彼、結構熱いタイプっぽかったから、うざがられてたのかな? もしかして。強いから虐められないけど、体裁良く特攻させられた感じかな……。アレでも強者? なりかけ? な感じだったし。
なんかバガンの王を思い出しちゃったな。弱いけど。
「言い渡した」
オーベさんに追いつくと、既に片付いた所だった。まあ、この西オブルの住民、彼らは無事? 絶縁されたらしい。まあ、放浪者として生きよというのは、別に放浪しろと命令しているわけじゃなくて、この地にとどまり続けることも可能なのだ。
「責任ある立場の者は……自ずから罪を受け容れ、それに従い生きることになった」
なんか、ハイノルドに言い渡されると……「そうせねば」ならないらしい。長命な種族なだけに、死に関してのルールが他人事の様に設定されているのだろうか。
まあ、それ以外の……従っていただけの者たちは……ある意味自由だ。そうだ。
集落の結界が消えて安全でなくなるだけで……魔力の濃い森の中は魔物も平地よりは頻繁に出現する。それに耐えればいいだけで。再度、崩してしまった石壁を造り直せば良い。それだけだ。
だが、その生活でノルドと名乗ることは許されないし、他のノルドも認めない。他の地に住むノルドから見れば、一瞬で判られてしまうらしい。
それこそ、このオブルイットの森域であれば、最終的に残った東オブルの集落の住人だけがノルドを名乗ることになる。
「でもそうなると東オブルに放浪者? になったノルドが殺到しません?」
「ノルドの集落では絶縁されたノルドを受け入れることはほぼない」
「特例はありますが……普通はないですよ」
そういうものか。
「ということは、南と西のノルドは今後、本当に放浪者……それこそ冒険者として、ヒームの国とかで生きていくしかない感じですか?」
「大半の者はそうなるじゃろうな」
「んーなら、行き場の無い人はオベニスもあるよと伝えておきましょう」
「なっ!」
「それは……」
「オーベさんがハイノルドとして、ノルドの違反者に罰をくださなければならないのは良く判ります。特にこの村の上層部……は責任を取らさなければいけないでしょうね。必要なことでしょうし、重要なことでしょう。掟である以上、きちんと筋を通さないとですからね」
でないと守る者がいなくなる。守ると決めた以上は、状況がハッキリしないものでも、何かの意味があることが多い。それを信じてきたからこそ、今まで何もなかった……のかもしれない。
正直、村の指導者っぽいやつは、多分、さっきのオーベさんの術で命を失っていると思う。そうなると、残りの多くは、ほぼ力の無い使われていた者たちだろう。
「ただ。それ以降の事は、その時の状況で変化していくものでしょう? 別に来たくない人、他にあてがある人は来なくて結構ですし」
「……」
「ノルドは論理的なのですから。ね」
「そう言われると何もいえんな。確かに……何も知らなかったという者もおるじゃろう……連帯責任とはいえな」
「ええ。ただ、ここまで集落が栄えていたら……羽振りが良くなっていることに疑問に思わない者は同罪ですよ。なので、オーベさんの判断は間違っていないです」
ということで。南の元長を早急に呼び出した。
到着するまでに、オーベ嵐の犠牲者を調べ、治療していく。死んだり、重傷なのは戦士や騎士といった軍属のみの様だった。まあ、こいつらは殺し合いをしたのだから、生きているだけマシと考えてもらうしかない。
非戦闘員は集落の奥の洞窟に避難していて何一つ被害は無かったようだ。つまり、死んだのはノルドの狩人とモールマリアから派遣されてきてた騎士達ということになる。ついでだから怪我人の治療をし、モールマリア王国の情報を聞き出していく。
そもそも、遙か昔から、細々とジガラス草の取引は行われていたらしい。それはノルドの掟に違反するモノではない。
だが、ここ一年弱の間に大きく変化したそうだ。これまで取引していた王国商人から、取引の規模拡大を申し込まれたという。
当然ながら、その話を受けたこの村のノルドは、大きめの群生地のあった南ノルドで、栽培を拡大出来ないかと持ちかける。本来、ノルドの生活では草の育生……いや、そもそも農業は行われていない。彼らは森に寄生して生きている。森を切り開かないのだ。
なので、食糧事情は余り良くない。ヒームと取引のないノルド集落の食事は、狩猟による魔物や動物の肉、採取による木の実やキノコ等が中心となる。文字通り、森の恵みで生きているのだ。
翌日には南の長が到着した。そして、即、会談が始まった。まあ、オーベさんに手を上げた西の元ノルドたちと、南の元ノルドを同じ扱いには出来ないということだったが……実は西の指導者というか、長だったノルドは……オーベさんの竜巻で城壁が消えた時に弓隊の指揮をしていたヤツだったらしい。やっぱり。それならもう、完璧に死んでいる。
どちらの集落の長も……もう森で住めなくなる……のは当然のことだと諦め、認めていた。さらに森以外どこかへ行く伝手のある者はそこへ。
そうでない者はオベニスでも受け入れることも伝えた。子どものいる所帯等は見逃せないしね。少なかったけど。
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