0411:西オブル

 東オブルのノルドは、本当に無関係のようだった。南を成敗(笑えない)したその足で、向かったが、そもそも、ガギルに楽園の話をしたのも、東オブルのノルドを騙った、西オブルの者だったらしいと判明した。


「つまりは……西が一番怪しいと?」


「ああ、話を聞くに……西オブルが一番、モールマリア王国の王都に位置が近い。王都から……交渉や行商が一番最初に行くのは西のハズじゃからな。アレだけの大きな市場だ……多分、商人でも大手や老舗の商人が絡んでいるじゃろう。というか……ひょっとすると国自体が絡んでいるということも有り得るのか?」


「あのオーベさん、今思い出したんですけど。セズヤで闘った相手。バガントリガンかな? ヤツらが戦闘時に服用していた痛みを感じなくして、力が出やすくなる? 薬の名前が……確か「ジカ」っていう名前だったんですけど~。それの原料はリエラ草って草となんかっていうキノコだったので違うんですが」


「いや……確認してみないと判らないが……確かに、このジガラス草を加工すれば様々な薬に変化する。同じモノである可能性も高いが……まあ、何にせよ……人が使って良いものではないな」


 ですよねぇ……この世界、娯楽が少なめだから、不健全な方向へ進みがちなんじゃ無いかなぁ? そういう依存性のある趣向品は。うちらの世界でも昔から……それが原因で戦争になったりもあったわけだから、こっちの世界ではもう、猛威を振るうのは間違いない。

 オーベさんが、歴代のハイノルドや賢王なんていう歴史上の偉人たちが根絶をさせていた気持ちは判る。アレだ、死霊術士やそれ系統の禁呪ってのと一緒か。


「そういえば……この森には……森都は無いんですね?」


「ああ……無いな。ハイノルドが少なくなるのとほぼ同じくして、その居住地も少なくなっていった。まあ、私が生まれるよりも昔……数代前にはあったのかもしれんのじゃが」


 一日かけて森を横断した。目の前には……明らかに違和感を感じる石壁が見え、その向こうには建物が並んでいる。


「これは……黒じゃな。ノルドは規律を重んじる。論理を重んじる。そのせいで頑なに思えるほど強情になるコトも多い。だが……何よりも森を重んじる。森の掟を守り、森に対してその力を振るうことは無い。だが……この集落は……明らかに森を切り開いて出来たものじゃ……」


 まあ、そうだろう。こんな森深く木々が繁る場所に、こんな切り開かれたスペースは生まれることがない。それこそ、これまで見てきたノルドの集落は森の木々の下に構築されていた。だが。ここは。明らかにヒームの街だ。ヒームの知恵が城砦都市をここに築いたのだ。


「まあ、別に森の中に城砦都市を造って悪いことは無い……じゃが。ノルドは石を大きく使わぬ。竈や土台などで必要最低限は当然使うが、ここまで大規模にノルドの集落が石に囲まれているとは……前代未聞じゃな……」


「もはやこれは……ノルドでは無いのでは?」


「ああ、そうやもしれんな……」


 そういうことなのだろう。ここにいるのは種族的に当事者の二人だ。


「とりあえず、まずは……任せてくれるか? 我が主」


「うん。というか、全部お任せしますよ。俺の今回の一番の目的は、この森のガギルの救済でしたから。……ってでも東ノルドとの交流だけでやっていけるもんですかね?」


「それは大丈夫じゃろう? 見てきて分かるとおり、搾取していたのはこの西ノルドの者たちだけじゃ。南もそこそこだったろうが……ガギルに与える影響は少なかろう。それよりも、今後はうちと取引することになるのじゃろう? そっちの方がでかいはずじゃ。特に酒」


「はあ」

 

 酒か。うん。まあ、そうだね。


「では。許可も出たことだし。思い切りやらせてもらうとするかのう……」







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