0407:西からの書簡
オブルイットの森域。モールマリア王国の南側を占める広大な森である。この森域もイーズの森域と同じで、ノルドの集落が幾つか。そしてガギルの村も存在する……と言われていた。らしい。
「オブルイットの森域との連絡は親父から、かなり前に途絶えたと聞いていました。ですが、今回、ダメ元で移動の挨拶の書簡と酒を届ける依頼を出したのですが……時間が掛かりましたが連絡が取れました」
ドガルがまたも、恐縮した様子で報告に来ていた。ここ数日、何かと顔を合わせているからかなぁ。お手を取らせてしまって申し訳ありません系の恐縮の仕方? うーん、ぶっちゃけ、そんな事で怒らないよ。大丈夫なのになぁ。逆に連絡してくれない方が怖いというか。ねぇ。結果だけ聞かされる事態よりも遙かにましだし。
「そもそも、生き残っているというのが判っただけでもまあ、良いのですが……挨拶を受け、こちらもきちんと応対した方がいいかなと……。その……何かと困っている様なのです」
「ん? その辺は書簡に?」
「いえ……それに関しては向こうからは何一つ。あくまで普通な物でした。これまで連絡が取れなかった理由も無く。ただ今回、荷を運んでくださった情報部のノルドの方の話で。その辺、報告書を上げると言っていましたが」
情報部からの報告書、今日届いた中に……あ。あった。
「ああ、来てるね……うん……これ、結構ヤバくない? 集落全体が病に冒されているって……うーん。どんな症状かは詳しくは判らないけど。情報部のも、病が移るとマズいからって早々に追い出されたのか……」
「ガギルは……基本、強がります。あと、もう、集落全体がダメだという場合は、助けも呼びません」
「つまり、もう、ダメだと思っているから助けを呼ばない?」
「はい」
「厄介だなぁ……」
情報部的に時間が掛かったのは、今回の戦争などのせいで、何かと物騒だったかららしい。時間優先の任務で無かったため、イガヌリオ連邦との戦争の情報も収集しながらガギル探しも行ったのだという。
「で? どうするつもりなんじゃ?」
ドガルを作業場に戻し、イリス様の部屋に移動してご意見番をお呼びした。イリス様は現在、迷宮攻略準備として紅武の特訓をお願いしている。なかなか鬼コーチとして頑張ってくれている様だ。というか、自分も迷宮に潜る気、満々だ。
「病ですからね……しかもかなり深刻な。助けられるなら助けてあげたいんですが……向こうが求めてないっていうのが」
「そう……じゃな。だが……報告書によれば存続の危機なのは間違いない。オブルイットの森域のノルド……そういえば、あそこの森とはここ最近連絡が途絶えている。……偶然とは思えぬな」
「最近?」
「五十年ほどになるか」
ノルドの人の年月の感覚がヒームと違うように。ハイノルドはさらに違うんだよね……。
「どうしたいですか?」
「うむ……」
「お節介ですけど、助けに行きます? ガギルもノルドも」
「我が主が行くというのであれば、行くのもありだとは思うが」
「あの、ファランさん、客観的に考えて、オブルイットの森域で発生している事象は、いつか、このオベニスにも迫り来る可能性はありませんか?」
「あるだろうな。うちにはノルドもガギルも揃っている。どの様な事が原因で、余所の森と連絡が取れない事になるのか? 症例は多いほど良いのは当然だ」
「はい。ということで。病気か、呪いか、魔術か……判らないですが、倒れている者が多そうなので俺と。リアリスは諜報中か。ミスハル。そしてオーベさんで行きましょうか」
リアリスは癒しの術を使えるので、引っ張りだこなのだ。他に、未知の病に対応出来る様な癒し手は……セタシュアくらいか。まあでも、非戦闘員である彼女を連れての旅は、危険だし厳しすぎる。
「ミスハルは外交官としてか?」
「はい。話が早いでしょう? それに、彼女に来てもらえば、イリス様は迷宮対策、指南を続けてもらえますし」
「ああ、そうじゃな。ミスハルにしても外交官が訪れるのは至極自然であり、何か問題があるのなら、解決するように各地のノルドに救援を求める事もできる役割じゃからな」
「それで行きましょう」
ということで、
・東南の森域にいるはずのガギルからの連絡を待つ。
・迷宮攻略準備
・東南、及び東の情報収集強化。騎馬民族? ジェナン? の情報収集
・オブルイットの森域のガギルの救援。ノルドも危機なのであれば同様。
それ以外にもメールミア王国内の様々な事案、セズヤからの要望等……色々あるのだが、面倒くさいことはファランさんに丸投げして、俺達は早々に西へ向かうことにした。
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