0406:金属

 ミスリル鉱。うちの領というか、ガギルに渡しているミスリル鉱塊だけでも、通常の消費であればあと数年分はあると言われている(ドガルに)ので、まあ、それくらい普通の存在になっていたけど。


 この世界では非常に稀少な鉱物である。鉄と同じ様な扱いをするのは俺くらいだと怒られた。だってな~まあ、ファランさんもオーベさんもイマイチ気づいていない様だから言ってないが、ミスリル以上に稀少なのが普通にガギルのいる鉱山階層の倉庫に並んでいるからなぁ。


 この世界の金属について、簡単にまとめるとこんな感じだろうか? 俺の分類ではなく、ドガルからの聞いた印象になる。


□主金属

鉄、鋼


□合金

基本、鉄に何かを混ぜた物……らしい。そして、その種類は多く、その地方、産出される鉱物によって大きく左右される。


・黒鋼:鉄にメルベという鉱石を合わせた物。ただの鋼よりは硬い。が、少々扱いにくい。

・グライル鋼:鉄にグライルという魔力鉱石を合わせた硬いが重い。黒鋼よりも強い。かなり扱いにくい。が。グライルの含有量によっては非常に柔らかくもなる。

・黒ミガン鋼:硬いが異常に重く、刃の加工が難しいため、ヒームの鍛冶では刃物は作れない。

・チノン鋼:鉄にチノンという鉱石を合わせた金属。多分、ステンレス。加工技術が必要でガギルでないと安定生産出来ない。

・オブリア鋼:軽く強いが扱いが難しい。多分、アルミの強化版。加工技術が必要でガギルでも一部の熟達の者でないと扱えない。


□貴金属

銅、銀、プラチナ、金


□魔力金属

・ミスリル:魔力に反応してそのイメージで効果が伸びる金属。金属色は薄い青銀色。青く淡く光る。現状、ガギルにしか扱うことが出来ない。

・ヒヒイロカネ:赤黒色。魔力に反応して熱を発する。ミスリルよりも扱いづらい。ガギルでも持て余す。

・アダマンタイト:白色。比較的柔らかく、扱いやすいが、武器として強度を出そうとするといきなり扱いにくくなる。ガギルも研究中。

・オリハルコン:金属自体の色は薄紅鉄色。赤く淡く光る。これを扱える道具が無い。神の作ったとされる鎚が必要だと言われている。


 魔力金属とかなんか俺が思ってたイメージと違うのもあったが、元々ファンタジーの世界の定番というだけで、本物なんて見たことが無い。なので、この世界ではこうだと言われれば、まあ、はい、そうですかとしか言えないというか。


 これらの金属は……それこそ、鎧の場合、部位によって違う物を使うのが望ましいそうだ。チェインメイルを作る場合。魔力持ちならミスリルでほぼ前面を作ったとしても、脇の下の金属は柔らかいグライル鋼。篭手などの継ぎ目にはチノン鋼。そこにプレートを貼り付けるのであれば、その板の金属はオブリア鋼が軽くて良い……など、非常に細かく選択出来るようになっている。そこにミスリルじゃないんだな……。


 そりゃ……高くなるし、この辺の上級な鎧の製作は一部の熟練の職人、さらにガギルじゃ無いとできない……というのも判る気がする。


 彼らの作る炉の精度が、ヒームの鍛冶士のそれと大きく違う。ヒームの炉は精度が落ちるだけでなく、なんていうか……鈍い。大雑把とでも言おうか。精度が甘い? で。ガギルの炉は、彼らの鍛冶に特化された魔力で火力を調節しながら弄るため、作りがカッチリしている。其の分、もの凄くデリケートらしいけど。

 

 とはいえ。ガギルだけに鍛冶仕事を任せるわけには……と思ったのだが、とりあえず、高級品と普及品、大衆用で棲み分けが出来ているので問題無いそうだ。というか、細かい部品などで精度がそこまででなくても問題無い物はヒームの鍛冶士へ。精度が求められる物がガギルへ……と振り分けあっているらしい。


 まあ、そういうムチャな発注は大抵俺絡みなので、そういう融通を効かせるのは自領のためだけとなっている。


 ただ、武器防具は……どうにもこうにも。ガギル頼みになってしまう。正直、最低限の欲望……メールミア王家からの依頼、セズヤ王家からの依頼をこなす「だけ」で、とんでもないことになっているのだ。まあ、まずはうちの領の武装の充実が優先なんだけどさ。どう考えても。


 ということで、ぶっちゃけ、最初は迷惑だと思っていた、モボフォイ以外の二つの鉱山から移住してきたガギルたちはいてくれて、本当に良かった……ということになる。掌返しだ! 逆にいなかったらヤバかったな~。


 ドガルとの話し合いの結果。紅武の武器は最終的に……


「ミスリルの薙刀」:刃の部分はミスリル。そしてその刃から柄にミスリルの針金線を巻き付けて、軽量化、魔力伝導が上手く行くようにするそうだ。


「ミスリルの刀」:日本刀の様で、実はそうでない日本刀の形をした片刃の剣。ミスリルと適当な(現在検証中だそうだ)金属を合わせて鍛造する日本刀の作り方に至極近い作法で製作される。その辺は剣道部所属の剣士たちの聞きかじり?  知識も加わっている。 


「和弓」:弓道部からの希望。こちらはノルドの木工職人、弓職人も加わって作成されることになった。ミスリル製の矢も幾つか作ってくれるそうだ。


「ミスリルの剣」:普通の剣……だが、ガギル製で素材がミスリルとなれば、幾らの値が付くのかすら予想が付かなかった。なので、普通に引き取ることにした。


「ミスリルのレイピア」:細く柔軟な細剣。魔力を操ることである程度変幻自在に形を変えることのできるミスリルは、この手の剣に非常に向いている。


 この辺を制作してもらうことになった。


 紅武のみんなは、選手だけがバスに搭乗していた。そのため、自分で持ち運べる物はバスのトランクルームに乗せていたのだが、薙刀や剣道の竹刀防具、弓道の和弓、フェンシングの武器防具一式などは搬送していた先生達の乗る大型ワゴン系の車で運んでいたそうだ。


 なので、薙刀日本一の宇城さんは、戦場でも槍で闘っていた。薙刀と槍じゃ扱い方が大きく異なるでしょうに……。


 防具はミスリルのチェインメイルを主軸に、各種金属のプレートを貼り合わせるタイプになるようだ。新手のスケイルメイル? とでも言おうか。重くて動きヅライ、フルプレート、全身鎧、プレートメイルは、根本的に必要ないだろうと判断した。重量級で大盾を持って敵の攻撃を引付けるタイプはいないしね。






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