0403:迷宮探索の準備

「で、もうひとつ。大切なのが、迷宮深層部の攻略です。こちら、本格的な始動は、先ほどのガギルの伝承集めで確認を行った後で……の話にはなりますが~ああ、彼女達の中で動ける者は全員、全面的な協力を行う、という確約をもらいました」


「動ける者は訓練にも飽きてきてるそうじゃぞ。ヤガシラが言っておったの」


「ああ、そういえば、今日は?」


「ヤガシラか? 定期的に訓練をしたいというので、二日に一日は訓練の日とした」


「そうですか。うん、身体を動かすのは良いことですしね。なら、大事な事をもうひとつ。「戦乙女」という名称ですが、今後、これを完全に禁止します。まあ、ここに連れて来た時点で使っていませんでしたが、完全禁止と。彼女たちのことを呼ぶ場合は「紅武女子」でいいでしょう。今後、全員に対する通り名が付くことも無いと思いますし」


「ベニタケジョシ、か。うむ。長い。ベニタケじゃダメか? 我が主よ」


「……ベニタケでもいいです……」


 なんかキノコ類みたいで嫌がるかもしれん……と思ったけど、そういえば、応援とかでもベニタケベニタケ言われてた。思い出した。ベニジョとも言われてたかな?


「紅武の中で、未だ動けない娘達は、もう、自分で動きたくなるまで放置することを考えています。これはもう、甘いと思うでしょうが、それは自分の我が儘ということで許してください」


「ああ。モリヤがそう言っていたからな。問題無いだろう」


「そもそも、我が主はあまり要望を口にせんからな……」


「え? そうでしたっけ?」


「そうじゃろう? 何かしたい、こうしたい、これが欲しい……まあ、なんでもいいわ。自分自身が……という事を言ったことがあるか?」


 そうかな? なんか言ってる気がしてたけど……まあ、自分の為にはあまり我が儘言ったことないか。というか、我が儘言いたいこともないんだよな……結構忙しく充実しているし。


「……そう言われてみれば……ああ、世界を制する、天下取ると言った気が」


「くくく。それだけじゃな。それも宣言のようなもんじゃ」


「まあ、そうですか、ね」


「とにかく、副領主としてはモリヤの財産の範囲内で行うのであれば何をしても良い。お前が生み出している富、そしてそれで納めているおかしな税率の金額な。このまま続けば、多分……数年後には国家予算に並ぶぞ? メールミア王国全体の」


「ええーそんなバカな」


「バカなも何もあるか。まず紙。これはもう、メールミアだけでなく、周辺国からも引く手あまただ。セズヤでは公文書を全てうちの紙で賄いたいと御所望だ。当たり前だが、メールミア全土で使われ始めている。お前が生み出している以上、我が領は何もしていないにも関わらず、収益の八割が手に入る。まあ、お前が二割だな」


「そうですね。自分で設定した割合ですから」


「うちの元々の特産物である魔石のみですら、セズヤという市場があるため、かなりの利益をあげていたのだからな」

 

 そうなんだよね。魔石。というか、魔物。このオベニス周辺では魔物が枯れることがない。うちの領周辺以外では、魔道具による疑似大氾濫で呼び出された魔物が討伐され、既に枯れている所も多いらしい。


「そして、ここへ来てガギルの武器防具だ。こちらはもう……生み出される武器防具、そして高品質な包丁や高度な細工、金物類。全て高額で取引されている。これも我が領しか取り扱う所がないからな。王都に運べば言い値で買い取る商会が溢れている始末。仕方ないので、現状、王家預かりとしている。特に武器防具は未だ少量とはいえ、王立騎士団の立て直しに大きく役立っているとのことだ。女王様もお喜びとのこと」


「その前に、オベニスの領騎士団、領軍の編成、守備隊の再構築なんていうのは? そちらに武装を優先しなければだと思うんですが」


「ああ、その辺は大丈夫だ。主に、我が領の騎士や兵には優先してミスリルや稀少金属製の武器防具があてがわれることになる。デザインはわざと無骨にしてもらったがな」


「おお。それはスゴイ」


「スゴイな……いや、ドガルが当たり前の様に鉄製の武器防具に混ぜて、ミスリル製の武器防具を仕上げてくるのでな……。キチンと分けて扱えと怒ったんだが、ヤツラ……イマイチ判ってないようだ。ガギルに取っては鉄製もミスリル製も、材料があれば普通に加工出来るらしい」


「みたいですね……ノルドの武器防具がミスリル製なのはそういうことみたいですもんね」


「ああ。そうじゃな。ノルドを介していないガギルはいないじゃろ。それこそ……ヒームでミスリル製の武器防具が欲しいと思ったら、まずは大きな森域のノルドと親しくなり、さらにそこからガギルに「頼んで」もらわなければならない。それがどれだけ大変で、さらに言えば、どれだけ気まぐれでどれだけ難しいことかわかるじゃろう?」




 


 

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