0401:生徒会クラスタ
「ということで、協力出来るところはしていこうと思う。が、結論でいいかな?」
「はい、会長」
この、異世界生徒会はここに来てしばらくしてから決定した。
会長 :
副会長:
助役 :
参謀 :
純粋に、動けるメンバーの中で、賢く、しゃべるのが得意、可能な者が選ばれた。
ぶっちゃければ。文武両道で有名な紅武女子とは言え。プロ級の体育会系ばかりである。知っている人はわかると思うが……高校の部活や運動で日本一、世界を目指すような者は大抵、超絶脳筋が多くなる。この段階になっても考えるのが面倒くさいという者も多い。
なので上意下達の精神で、この四人の決定は総意とする約束も出来ている。
まあ、その敬意のほとんどは会長である宇城のカリスマ性故の産物ではあったのだが。
「となると、迷宮に潜るのは決定で良いですよね」
「ああ、そうだね。杜谷さんは強制はしないと言ってたけど、正直、何もしないでここにいるのは気が引ける。自分だけでも攻略に参加したいと思っている」
「やだな。会長。自分もタダ飯食いは趣味じゃないですよ。ここは日本じゃないんですから。手伝うに決まっているじゃないですか」
「未だにツラい感じの人は、いいよね? 今のままで。動ける人間が、その分も働くってことで」
「いいというか、強制したって死んじゃうだけだからね。甘くないでしょ? 多分」
未だに動けないメンバーに関してはとりあえず、杜谷の言う通りにしばらくはそのままということで落ち着きそうだ。
「ですね。データ、というか資料を戴きました。多分迷宮上層……序盤は大丈夫です。敵の強さも大したことはないですし。パーティの人数制限はありません。ですが、昔からの決まりで五人と決まっている……と言われたので、色々調べていたら理由も判りました。物理的な理由でパーティメンバーは五名というのが普通の様です」
「物理的?」
「迷宮の仕掛けで五名でないと入れない広間が結構な頻度で見受けられたり、五名が別れて行動しないとだったり、スイッチが離れた場所に五つあったり。つまり、戦える五人でないと厳しい状況が頻発するんだそうです」
迷宮に挑む冒険者達は、その辺を当たり前として考えている。酒場やギルドなどでもこの手のノウハウは基本、秘匿されるのだ。
「つまり
「ダメですね」
「そう考えると……我々は迷宮探索に向いているのだな」
「はい。全員が戦えますからね。でも、その分、支援や回復の専門家がいませんが」
「それより、チビちゃんはオーベさんだっけ? あの白髪緑眼の綺麗な人。まあ、杜谷さんの嫁は全員綺麗だけどさ。あの人の助手作業もあるんでしょう?」
「はい、そうですね……なので、毎回とはいかないんですが……でも参加出来るときはなるべく行きたいです」
「それにしても……自分は会長よりも美しい女性はいないと思っていたのですが……。海外にはいましたね。こんなに」
「副会長。ここは海外じゃ無くて異世界ですよ」
「んーなんかもう、海外でいいかなと。日本国の外ってことで」
副会長の三野瀬莉久は絶対的な会長信者でもある。紅武幼稚園で同じクラスになって以来、安定の副官を務めていた。
「とりあえず、迷宮探索のゴーサインは……杜谷さんがセズヤとかいう国から戻ってからだな。どっちにしろちょっと先っぽいので、訓練を欠かさないようにしよう」
「はい」
「それにしても……たった一日ってスゴイですよね。体育館」
「おかしいな」
「おかしいですね」
「土建屋さんを始めたら超絶大儲けだと思います」
これに関してはもう、気持ち悪いとかそういうレベルの話では無かった。自分たちの宿舎の隣りに、たった一晩で総合武道場というか、大きめの体育館が完成していたのだから。
「杜谷さんってさ~なんなんだろうね?」
「はい?」
「いやーさー、私たちって勇者なんでしょ? そういう扱いされたかどうかはともかく」
「はい」
「なら、杜谷さんは勇者以上? だって、一晩でこれは勇者だって出来ないでしょ。特に一人じゃ」
「あー確かに……確かに、そうですね。なんなんでしょうね。本人も良く判らないと言ってましたし、神様にも会ってないそうです」
「私たちも会って無いな」
「会長、会いたかったですか?」
「そうだな……神が運命を司るというのであれば……殴る。召喚のシステムが神の支配を離れていた……とかなら、さらに殴る」
「……ですね。私もムカついてきたかも」
機会があれば、と全員一致で承認された。
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