0400:種の保存
オベニスが蛮族に襲われたという報告。実は他の領でも被害は出ていた。しかも盛大に。
蛮族の部隊、五十名程度で編成された部隊が三つ(もしかしたら他にもいるかもしれない)、潜入していたようだ。明らかに襲撃を目的としたものなんだが……これの意図が判らない。
蛮族は、まあ、蛮族という言われているだけに、基本的に賢くない。自らの住処からメールミア王国サビエニ辺境伯領へ略奪にやってくるのだ。つまり、小部隊で奪って戻るのが当たり前で、国としてまとまってもいないため、侵攻作戦を行う知恵も無い。ハズだった。
襲撃者ということで、姿形をバガントリガンに比べてしまったが、当然だが、外見も中身も大きく異なる。
何よりも……外見、見た目は濃い体毛で覆われている。毛深い。そして、髪の毛を切る習慣が無いのか、髪の毛も長くて多い。そこに直接、鎧を身につけ、手には鈍器が普通だ。魔物の骨が基本だという。実際に、攻め込んできたヤツラのメイン武装も骨だった。ボーンクラブってヤツか。
さらに、バガントリガンと大きく違うのは、ヤツラは言葉を理解しないのだ。仲間内でのコミュニケーションもかなり単純な様だ。
「蛮族は純粋な衝動を解決するために生活しておると考えられている」
それは魔物とどう違うのか? とオーベさんに聴いたが、その辺の細かい部分は未だに判っていないらしい。
あれだ、ゴブリンみたいな魔物というか、人型の魔物かもしれないのか。っていや、魔物ではない? 蛮族と呼ばれる部族の種族は体内で魔石が生成されないという。なので、魔物ではないらしい。だが、それ以外の差はどこにあるのか? が判らないということらしい。
さらに。蛮族は女を襲い攫う。これはバガントリガンも一緒だ。だが、さらに獣、魔物に近い蛮族は、女を犯す。それをすることにためらいがないという。……どういうことだろう。他者への接触に嫌悪感を感じるのはヒーム族というか、同じ言葉を解する者たち限定ということだろうか?
バガントリガンの男たちは、女をいたぶっている最中に犯していた。アレは偵察情報を細かく精査するとやはり、王の命令で強要されていた様だ。
女の泣き叫ぶ声を大きくするために、その手の知識を持っていた王が命令した、と。
嫌悪感のある男にやらせていたと。それ、多分、自分にもあったんだろうな……あいつのステータス、界渡りではなかったから……多分転生なんだろうし。
男尊女卑ってことで、女性が差別されている事は間違いない。が。基本家から出さない、外で仕事をさせないという生活習慣は、過去には女性を蛮族から守るという意味もあったのかもしれない……と思ったりもしたが、辺境伯領の話か。うーん。良く判らないな。
この世界にはまず、性行為があった。が。少なくとも、ヒーム、ノルド、ガギルという種族においてはそれが失われた。他人に接触すると嫌悪感を持つという症状? によって。さらに、癒しの術の効き目が落ちるという実際の効果も合わせて。そこまでやられたら、そういうことをしようと思わなくなる気持ちも判る。
実は。ガギルもヒームたちほどの、そこまでの嫌悪感を感じないらしい。ガギルのコミュニケーションの中で、所謂親愛の情を示す「ハグ」が見受けられるのだ。あまりに自然だったので最初は全く気付かなかったが、次第に違和感を感じ始めた。
純粋に、スキンシップがちょびっとあるのがガギル社会。で。大事な部分。恥ずかしがるドガルを酔わせて、性行為についてたずねると、気持ちの良いものでは無いが出来る、する、ということも判明した。
ドガルというか、ガギルは非常に恥ずかしがり屋でシャイなので、その手の話を一切しないのだ。酔ってふざけてなんていうのもないらしい。酔うと歌う。踊る。
そう考えると、ヒームもノルドもガギルも……わい談的な会話はほぼ出てこない。
・他者に触ると嫌悪感を感じる。
・その嫌悪感の強さは種族によって差がある。なんとなくだけど、ヒーム>ノルド>ガギルって感じだろうか。
・性的な事、モノ、話題について触れない。
・性行為は繁殖のために必要なモノで、決して気持ちの良いモノでは無い。
男尊女卑の習慣も、女性を家から出さない習慣も、肌をほとんど露出しない習慣も、触れあわない習慣も、親子間の情、知人間の情が非常に薄く感じるのも。
その辺全てが……何か、意図的な意志があっての事ではないかと思い始めている。思い始めたからと言って、決定的な「何か」が判らないことには答えは出ない感じなのだけど。
そのせいなのかなんなのか、地位や名誉に執着する度合いが大きい気もするし、変なところで熱狂的に支持されたりもする。英雄や勇者、強者の名声が異様に高く、カリスマ的な初代指導者が亡くなった瞬間に国が瓦解する傾向も高いらしい。アルメニア征服国の様な崩壊、それに乗じたモールマリア王国の侵略、併呑なんていう形は頻繁に発生しているという。
日本の……現代社会の歪みも非常に多かったが……この世界の歪みは少々大きすぎる。さらにそこに俺や戦乙女なんていう、異界からの異物が影響を与えてしまっている。
それが俺たちに、この領に、どんな影響を及ぼすのか。まだ判らない。
-----------------------
おすすめレビューに★を三ついただけるのが活力になります!
ありがとうございます!
さらに、おすすめレビューにお薦めの言葉、知らない誰かが本作を読みたくなる言葉を記入して下さると! 編集者目線で! マネージャー目線で!
この小説が売れるかどうかは貴方の言葉にかかっていると思って!
やる気ゲージが上がります。お願いします!
■宣伝です。原作を担当させていただいております。
無料です。よろしくお願い致します。
[勇者妻は18才 第1話] | [ゆとり]
#Kindleインディーズマンガ で公開しました。
Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒
「直リンしちゃいけないんですってググってね」
そして、自分は手伝った程度ですが、こちらも。
[メロメロな彼女 第1話] | [ゆとり]
#Kindleインディーズマンガ で公開しました。
Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒
「直リンしちゃいけないんですってぐぐってね
単行本一巻、二巻もよろしくお願いします。
ブースで売ってます。
「直リンしちゃいけないんですってぐぐってね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます