0393:バガンの王
あいつの力は範囲攻撃だ。モリヤ隊の三人が為す術無く、連絡、連携を取る間も無くやられたということは、敵対する者を一瞬で狩る技を持っている。まあ、最初からそういう魔術なのかも知れないけどさ。
イリス様が動いた。今日の得物は片手剣二刀流。今はまだ一刀しか抜いていない。踏み込み。一瞬でとんでもない距離が縮まる。浅く振りかぶり、振り下ろす。
グガッ!
今の……見えてたのか。イリス様の一撃が……アリエリの目では見えない。実際俺がイリス様の視界を借りていても、あっという間に終わる。なんとなくは判るんだけどね。
受け止められた? のだろう。やはり、神経だかなんだがを奪う術だけのヤツじゃ無かったな。うん。そうだろうね。
「なら!」
あーさらにそうねー。イリス様は受け止められたからってそこで何か考えるタイプじゃ無いよねぇ~。振り下ろした剣がそのままに、腰のもう一刀を鞘から引き抜き、横に振り切る!
グガッ! ドガーーーーーーーン! ガラガラガガラ、ガシャーン!
同じ様な……音。受け止めた後、そのまま体は背後の建物を幾つか突き破って飛んでいった。体全体に……何か……ゲルのような……モノで覆って、全身をカバーしているんだと思う。吹っ飛んだけど、多分、本体は無傷だな……こりゃ。
「ジェエエエ!」
幾つかの雄叫びと共に、バガンの戦士? らしきヤツラが襲いかかってくる。まあ、確かに目くらましにはなるよね。
ドザ……
一刀の元に身体を寸断される。
「だから言ったのになぁ。俺以外出るなって……」
その声と共に、右半身、腕を含めた右半分になった戦士が立ち上がった。そして血走った目でイリス様を見据えて、斧を振り下ろしてくる。
ズレる。身体で流しながら、強引に当てようとしてくるバガンの戦士の首に剣をあて……そのまま横に振り切った。
「薬……か」
イリス様が呟く。でしょうね。強力な一撃や、首を断てば、胴を断てば問題無いが……それ以外だと立ち上がり、攻撃を止めることはない。
ああ、確かに強いな……このレベルの強者を薬で強化して、さらに……この王の力か。そりゃ国だ。一介の傭兵団なんて目じゃない。
さらに……種族としても特異な様だ。色々と生態を知りたいが……うーん。厳しいかもなぁ。とりあえず、うちの嫁に対して、子供を作る云々発言は許せないからな。
「ジカも手に入る様になった。街も土地も手に入れた。これを手放すわけにはいかない。仕方ない威勢の良い女を犯させて、屈服させるのは好きなのだがな。諦めるとしよう……」
ん? 犯す? やはり……あの王……確実に、女を陵辱するという行為に意味を持たせている。俺と同じ転移者……または転生者、か?
まあ、どうでもいいや。多分、ヤツとは判りあえない。「戦乙女」たちと同じように、もしも日本からの……だとしても、確実に価値観が違う。この世界に……強姦という行為、考え方を持ち込んでいる時点で、どうしたって解り合えるはずが無い。
ジシャ!
再度。瓦礫をモノともせずに、イリス様の剣が突き進む。刀の突きでは無い。西洋剣の突きだ。身体ごと体当たりするかのように、打ち当たる。
パキンッ!
追突した瞬間。衝撃破が発生した。剣先が少年王の右脇腹辺りに突き立っている。
「くくく。これは凄まじいな。だが……そこまで……ぐほっ!」
脇腹から……血が流れ出ている。残念ながら剣は刺さっていない。だが。
「なんだこれは……き、きさまー! ゆるさん、ゆるさんぞ!」
血が。滲み出ている。なんだ? 刃が触れていないのに……斬った? 刺した?
「げばっ! ゆ、許さん!」
血を吐きながら……くっ。これは呪文詠唱か。イリス様が離れたと同時に、風による壁を生み出し、さらに足元から土の壁。その外側に炎の壁を配置する。
「無駄だ!」
くっ! 崩れる? 破壊? なんだこれ。聞いたこと無いぞ? こんな効果。魔術で生み出した障壁が消え去っていく。反則だろ、そんなん。原子分解ならぬ、魔力分解ってヤツか。魔力を奪われて……効果を消されてる感じじゃ無いもんな。
消された端から再度、術を使って構築していく。ああ、無駄に魔力があって良かった。
しかし……直接イリス様を消し去っていないという事は……しかも……順番……だな、なんか、この消去の仕方。外側に術が発動するとそこから消してる。これ、視認か! 視認しないと破壊指定できないのか?
さらに、竜巻を追加する。イリス様には既に逃げの指示を出している。が。動かない。もう……。
(イリス様……退却です。魔力破壊なんてヤバイ切り札もってやがりましたから。今以上……直接攻撃系でダメージは厳しいかと思います。というか、次、姿を見られたら死にますよ?)
それでもどうにかする……と言ったような意志が伝わってくる。あーもう。
(イリス。戻るぞ? まずは情報だ。調査だ。そして……妻の仇は夫である俺が取ってやる。退けっ!)
かなり強く言ってみた。その段階になってやっと……彼女は撤退を開始した。
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