0385:大問題
隷属を解除する方法が。さらにもしかしたら。日本に帰る術が……もしかしたらあるのかもしれない……とはいえ。そのためには迷宮を65000階ちょい降りないといけない。正直、一階層はそこまで広くない。先は判らないけど。
が。一階層ずつ降りていかなければならない。ワープは出来ない。通常の迷宮は五階層くらいに一つ、地上へ帰還する転送石が設定されているという。一度使ったことのある者は前回使った転送石に跳ぶことができる。まあ、中断セーブが可能ってことだろう。
一階層降りるのに……敵を倒し、迷宮を探索しながらだと、一時間では済まない。イリス様みたいな規格外がいても、迷路や罠を避けて進むことを考えると、最短でも三~五時間。として。えーと。65536階。三時間で196608時間。8192日。22年……か。おいおい。今から最短でも22年って……。休み無し、でだ。睡眠時間や休息時間を入れたら二倍にはなるんじゃないだろうか? 44年。おいおいおい。
「リアルじゃないな……」
「ですね……」
「じゃあ、とりあえず、試してみよう、確認してみようって言ってできる階層、時間じゃないよな~」
「はい」
うーん。これは正直、もう少し確証がなければプロジェクトを動かす事が出来ない気がする。やってみて、ダメでした~じゃなぁ。
「ガギルの長の一族に伝わるこの情報。もしかしたらまだ、続きとかその前とかがあるのかもしれないんだよね。ただ。ガギルの鉱山、里自体が離れてるからさ……そもそも、彼らは森域と呼ばれるような大きな森のさらにその奥の山脈、鉱山にしか住んでいない。連絡を取るのも一苦労なんだよね……」
「だからって、誰が行っても教えてくれるわけじゃないですよね?」
「ああ。ヒーム……人間じゃ無理だな。話をするのはノルドかガギルか。さらにこの話は長同士じゃないと無理っぽい。一族の長。つまりひとつの鉱山を率いてる者かその後継者でしか情報を語り合うことも出来ないっぽい。連絡を取り合っているのは手紙なんだけど、ガギルオリジナルの文字、暗号みたいなもんだし」
「そうですか……」
「面倒だよね。でもそれくらい重要っぽいし」
正直その辺はどうにもならないだろう。種族の秘密ですしね。そんなもんだ。それを俺に教えてくれたドガルが特異なのだ。
「この件……しばらく時間がかかるかな。迷宮に関してはうちの領主様が参加したがるからなぁ。人のやり繰りが面倒なんだよね。さらに……北の戦争の件もあるし」
「北で……戦争なんですか?」
「ああ、まあ、知らないよね。キミらの仲間が亡くなったアルメニア征服国。あの国、無くなったよ」
「え?」
「国が……ですか?」
「ああ、ここから北西に位置するモールマリア王国に滅ぼされた。「戦乙女」に王をやられた時点で、瓦解し始めていたんだけどね」
二人の表情が変わる。まあ、うん、晒されちゃってたらしいし。二人とも、王を殺した時に一緒にいたのかな?
「まあ、国の存亡は時代の流れと共によくあることだから。この世界。で。その流れが、うちと取引のあるセズヤ王国にも伸びてきそう、侵略し始めそうなんだよね。なので、さすがにそれは食い止めないとかな」
「……大変ですね……」
「そうなんだよねぇ~自分が行くかどうかっていうのも考えないとだし」
「あの……私、働きたいです」
「ん?」
八頭さんが手を上げた。
「はい、八頭さん」
「あ。つい癖で。えっと……あの。さすがに何もしないで美味しい食事を食べて、お風呂に入ってくつろいでいる毎日にいたたまれなくなって来ました」
「え? あの、君はまだ14歳だよね? いくら賢くても学生さんだし……ああ、あの施設に図書室を設置して、本を増やして勉強出来るようにしようか?」
「それもステキだと思いますし、皆のためにもお願いしたいですけれど。私自身が、杜谷さんに恩を返したいです。役に立ちたいです。イリス様、オベニス領の為にも」
うーん。子供の労働ってどうなんだ? 子役とかそういう感じ? いやいや、まあ、そんな法律とか無いし、いいのか?
「そ、それもちょっと会議にかけてみます」
「あの……」
今度は宇城さんが小さく手を上げた。
「は、はい、宇城さん」
「あの、自分も……働くのは考えていませんでしたが、出来れば運動、いえ、訓練が出来ればと……ああ、それよりも、もしも迷宮に降りていかなければならないのだとしたら、魔物との戦闘を経験して、レベルアップ……した方が良いんでしょうか?」
あーそういうこともあるのか……というか……。
「あ。その件であれば、板張りの道場とかがあればまずは問題無いですか?」
「……そ、そうですね。いきなり実戦は無いと思うので、できるなら、訓練のために施設とか各種道場があれば……」
「そうか。弓道場とかアーチェリー場もいるのか」
「道場……体育館があれば、薙刀と、剣道は共用できるし、フェンシングもまあ、無理矢理いけますね。新体操も」
「あるとありがたいです……」
「了解した。まず、それは用意しましょう。で、あと、宇城さんの言う通り、君たちもレベルアップした方がいいかもしれない。隷属状態のまま何かするのは危険かな? と思っていたけど、迷宮に潜って訓練……なら、問題もないわけで。臭いに我慢できれば」
「え?」
二人の顔が曇った。
「臭う……んですか? 迷宮って」
「うん……凄く臭い……ヤバイ臭い」
「えぇ~まじすか?」
「俺……結構そういう汚れ仕事もしたことあるんだけどさ……これは……やだな……と思うくらいは臭い」
「げげげげー迷宮行きたいけど、その情報やばいなーやばいなー超リアル」
会長も無言で頷いた。
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