0376:「大」

 あ。でも、もう、なんか気付いてる? のかな? どうなのかな? 〝大〟ガリエラが結構気にしてるっぽい。俺を。うん。無理かな。もう。


「さて。ということで、茶番はこの辺で終了としておきましょう」


「!」


 ミルベニが「え?」っていう顔をする。


 まあ、予定ではこの後、イリス様の所へ連れて行って、謁見。数分で終了。「大」ガリエラよりお土産が搬入されて~終了と。俺の紹介をせずに本日はお帰りいただくことになるハズだったのだ。


 普通、貴族への挨拶なんてそんなもので、初めて会ったその日にそれ以上の何かが進むことはない。顔見せってヤツだと思う。それこそ、本格的な商談とかは本人とではなく、その部下達と行うのだ。

 まあ、うちの領も。イリス様ではなく、部下である俺が行うが。笑。貴族のプライドとか見栄とか、仕来りとか上品下品なんていう理由ではなく、単純に詳しいことが判らないからな。大体の所を知っていてくれれば良いし。


「「大」ガリエラ殿は、大概せっかちのようだ。貴族の流儀で時間を掛けるのはお嫌でしょう?」


「あ、貴方は……」


 急激な変貌、対応もちゃんとしてる。もしもの事を考えて、明らかにミルベニ配下の格好の俺に適度な敬語を使ってきた。最低限失礼にならないやつ。


「ああ、その辺も面倒なので、どうぞこちらへ。イリス様がお待ちです。前室の護衛の方はそのままで結構。大丈夫、取って食うようなことはしませんよ。暗殺に来られたのでも無い限り」


「そ、そんなことは……」


 まあ、別に本気で大したことはないんだけどね……ちびっと威圧入りにしただけで。俺の実力と思ってもらえるならそれはそれで。笑。判りやすく、豹変できる素晴らしいスキルだな。威圧。ありがとう、イリス様。


「こちらがここオベニス領の領主、イリス・アーウィック・オベニス様です」


 ミルベニが紹介する。まあ、通常の謁見なんてそうそうしないからね。うちは。普通に大きい方の会議室、そして普通の会議用のテーブルに着いての紹介だ。「大」ガリエラは立ったまま頭を下げている。


「ああ、もう良いから椅子に腰掛けてくれ」


 イリス様の許しで、ガリエラ老も椅子に座る。 


「副領主のファラン様」


 挨拶、そして目線は俺に。


「ああ、失礼しました。私はアーウィック家家宰のモリヤです。よろしくお願いいたします」


「モリヤ、こういうときはキチンと最後まで肩書きを言わねば後で面倒になるぞ?」


「ぇー。なんか長いじゃ無いですか……えっと、オベニス領総務部総務部長兼、外務部長兼、領騎士団及び領軍統括元帥……でしたっけ?」


「まだ宰相もあるぞ」


 ファランさんはそういうのに厳しい。


「大丈夫、多分そろそろ罷免ですから。女王だって臨時なものとして、報奨を決定してしばらくの間だけって言ってたじゃないですか。もうすぐ無くなるんですから、最初から言わない方が良いんですよ」


「だが、そういう部分が交渉時には大切なワケだしな」


「はい、確かにそうですね。でも、「大」ガリエラは「そう」ではないですし、今後もそういうのを越えたお付き合いをしていきたいかな、と」


「そうか。ならば了解した」


「任す!」


 イリス様が……面倒くさい話になると瞬時に理解して待避するかのように事態を放り投げてきた。まあ。うん。商談は俺担当だしね。良いんだけどね。


「ということで、モリヤです。よろしくお願いいたします」


「つまり、先ほどのは私をお試しになった?」


 さすがに汗が出ている。ミルベニくんに結構フランクに話してたしね。ちょっと前まで同じ釜の飯を食う「仲間」、死線を乗り越えてきた「同志」だったわけで、心許しちゃうのは当然だろうけど。


「いえいえ。本当は……普通の貴族のやり方で対応させていただこうかと思っていたのですよ。でもそうすると、イリス様とファランさんに挨拶をしてお帰りになるだけだ。自分は貴方のお顔を拝見出来なくなる。それは残念かな? と思ってミルベニに無理を言いました」


「謁見の間でお会い出来るのでは?」


「まあ、貴族用の仮面を被った状態の貴方ですけどね。それはもう、良いとしませんか? 何か話したいことがあるハズだ」


 あるよね。だって、「大」ガリエラ、国をまたいだ大商人が「わざわざ」ここまでやって来たのだ。アルメニア征服国内の店は……もうどうにもならないだろうけど、他の国の店は問題無いもんね。そもそも、本店は違う国にあったハズだ。


 何か用が無ければ来ないし、さらに、商売の為というのなら、大きな商いが動く、王都を離れないだろう。


 あちらとこちらでは根本的な人口が違う。いくらオベニスの景気が良いと言ってもたかが知れているのだ。











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