0369:もう一人

 さて。ミルベニさん? くん? 年齢判らないんだけど……ちょっとスケルトン入ってて、怖いから。もう少しご飯食べた方がいいんじゃないかな? 理系のガリガリ研究者的な風貌。よ、よく見れば……イケメン風味? なのかな? まあでも、それなりにはいける気がする。背は高い。180センチはあるだろうか? 黒い長髪。さらに屋敷内でも黒い魔術士のローブを身に付けている。


 今後のあれこれは……到着時はボロボロで分からなかったけど、彼の外見的なあれこれが回復してからにする。

 風呂にも入って休んで。さらに彼と一緒に着いてきた使用人達、部下の処遇も決定した。


 使用人達はそのまま、彼が面倒をみる事に。部下数名は、領役場で働いてもらう事にした。



ミルベニ・オルドナッツ 

ヒーム 男 腕力67 体力57 器用46 敏捷54 知力208 精神175


思考鋭敏


魔力制御5

 →闇4

  召3


馬術3



 まあ、正直、オベニス領は慢性的な人材不足だ。特にノルド族のおかげで情報は入ってくるようになったが、それを処理する者がいない。彼のような国政にも詳しい学者は大歓迎なのだ。もしも役人仕事が出来なくても、諜報関係、作戦関係で活躍してくれよう。


 うん。それは良い。が。


 彼には最初に……ショッキングな情報をお伝えしなければなりません。


「「戦乙女」が生きている? そんなバカな。彼女達はメールミアの「荒れ狂う鬼」によって惨殺され、消し去られたと聞きました。実際に暗雲と毒霧の術で動きが止まった所を、「荒れく……」イリス様が仕留められたと。実際に斬り結ぶ姿を見た者も多いという報告を受けました」


「あーまあ、そういう噂になってるなら、よかった」


 ビクッとするミルベニ。途中で気付いて良かったね。うん。よかった。


「では、全ては「謀」と?」


「そうだね。出来れば全員を助けたかったが、君らに五人。さらに負傷してビジュリアに殺されたのが五人。十人失ってしまった」


「ですが結果、我々は王を、あの人が背負っていた国を失ってしまった」


「ああ。だから、五人を殺した事は別に仕方ないことだと思っている。だが。その後。遺体を磔にして、晒したのはダメだ。あれ。誰がやった? オーベさんがキミではないだろうと言っていたが」


「私とゴバン将軍以外の全豪族が、それを望んで……」


「そうか。うん。ではそのうち。機会があれば征服国の豪族の上の方は全て、磔にして晒そう。決定ね? 覚えておいて?」

 

 ミルベニの顔が青くなった。あれ? この人、結構普通の人なんだな。オーベさんと同じく研究者寄りなんだな。軍師としてより、平時の為政者としての方が向いてるのか? ひょっとして。それにしては、セズヤ王国に対する謀略は容赦なかったぞ?


「ミルベニ。ゴバンは死んだと言ったな? ……ガリエラ商会元会頭の「大」ガリエラはどこじゃ?」


 オーベさんが俺の疑問を解消してくれた。


 そなんだよね。前に聞いたアーガット王の腹心、知恵袋は二名。この「軍師」ミルベニともう一人。ガリエラ商会元会頭の「大」ガリエラだ。ああ、そうか。セズヤへの容赦ないたたみ掛けはこっちが主流か。ミルベニくん、結構常識派、温情派なんだね。


「は。ガリエラ老は今頃……メールミア王都のバタラン商会に逗留しているはずです。私がオーベ師の元へ向かうと伝えると逃亡の手順を整え、後を追うという事でしたので」


 バタラン商会……か。メールミアでは大店だ。多くの王家御用達品を扱っている。


 というか、情報部からの報告に度々登場するので、俺でさえ知っている。メールミア王都で言えば、大店と呼ばれるのは四店舗。魔具のバタラン、軍備のゴールディック、食のモバライ。衣料のザンゲバーク。その中でも魔具のバタランは魔道具だけでなく、家具、家、壁紙、木材、石材、衣食住の主に「住」を中心に大きく商売している。


 まあ、俺がこの店について詳しいのは……この店が魔石の取り扱いでも最大手だからっていうのもある。魔石はオベニスの最重要出荷物、商材だからね。

 

「大」ガリエラは王都で何をしているのか? 恩のある王が死に、残された謀臣は何を思う?


 ん? というか、シエンティアの実家……メルティアル商会はこのバタランが寄親、親会社じゃなかったっけ? こっちの世界で中小の商会が提携を結び、大商会の傘下に入ることを、寄親寄子の関係と言う。当然、大きい方が親、小さい方が子だ。まあ、その辺はとりあえず、いいか。


「んじゃ体が癒えたら、一緒に行って会おうか。イロイロと有意義な話ができるんじゃないかな?」


 もの凄く……何か恐ろしい事が起こるかのような顔をするミルベニ。いやいや。別に喧嘩しにいくわけじゃなし。丁度良かった。国をまたぐ大商人に渡りを付けておきたかったんだよねぇ。








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