0363:得意技

 まずは……セタシュアの時と同じように、脹ら脛から始める。


 うはっ。さすがアスリート。何だ? 違う。筋肉スゴイ……柔らかいのに張りがある。ズボン越しでも分かるレベル。黄金筋肉とかいうヤツなんだろうな、これが。直接触ればアレだ、がくがくがく! と震えて「なんだ! この筋肉はっ!」ってクカッ! となってしまうレベル。


 イリス様とも大きく異なるんだな……なんていうか、強靱さではイリス様、しなやかさでは宇城さんが上だ。


 さらに、足の裏だ。裸足の足。こちらもなんかスゴイ。


「戦乙女」全員、当然、運動靴を所持していたため、皮が固くなったりとか、そこまで酷いことにはなっていない。ここもセタシュアと同じ様に、土踏まずからその線に沿って順番にツボを押して行く。


 親指の下、そして足の指の間も。ツボだらけだ。かかとを強めに押し込む。多分、足先の血の巡りが良くなってきたのだろう。温かくなってきている。新陳代謝がいいんだろうね。さすがスポーツマン。おばちゃんとは違う。大きく違う。笑。

 

 これでも、おばちゃんにはもの凄く好かれていた。某スーパーのパートのシフトを組まされていた時は、これのおかげでもの凄く助けられた。おばちゃんだって女子だからね。うん。長時間立ち仕事で疲れた足を、熱したおしぼりで拭いて、良くマッサージしてあげるだけで、もの凄く喜ばれた。実際、シフト部門で全国優秀賞をもらったしな。まあ、賞品の超高級米一年分は、おばちゃんみんなと分けてしまったけど。で、下手に優秀だとおだてられて、とんでもない僻地のスーパーに派遣されたりしたけど。……悲しい思い出が頭に浮かんできてしまう。無し。今の無し。


 で。うん。しばらく揉んでみたけど、何も反応は無い。そりゃそうだ。広域駅前マッサージの「あしもみん」と同じ事しかしてないから。正直、これだけであんなことになる超絶敏感全身性感帯な妻たちがおかしいのであって、俺たち異世界組はいたって普通だ。


「会長、どうなんですか?」


「……」


「会長?」


「す、すごく……気持ち良い……」


 あ、あれ? 声がうわずってる? 変なことには……なってない……よね?


「え? 何か効果があったってことですか?」


「う、うん、未来ちゃん違うの。杜谷さん、マッサージがもの凄く上手い……」


 ああ、うん、良かった。それはまあ、うん。言われたこと有るしね。


「ウシロ、なんていうか、発情か、発情せんか?」


「……うーん。き、気持ち良いマッサージなのは確か、です。でも……そういう気持ちにはならない……と思います。スゴク楽になっていくのが判ります……。いつも通っている整体での足のマッサージ……よりも気持ち良いのは確か……な気が。スゴイですね……杜谷さん、プロより上って」


「やはり……界渡りには特別な効果は無いか」


「でしょうね……。そんな気がしていました」


 現に、宇城さんはモジモジしたり、トロンとした目をしたり、声が漏れ始めたり、最終的にお漏らししちゃったりなんていうそういう兆候は一切見られない。


 そうなんですよ。こんなもんなんですよ。マッサージなんて! 若干回復効果はあっても、能力付与効果なんてあり得ないんですよ。逆に揉まれすぎてしまうと、どうしても揉み返しとか、疲労してしまうんですから。結構面倒なんですから。力任せじゃダメで。


「どうしましょう。この辺でやめておきますか? 変にオジさんに触られたくないですよね?」


「正直に申していいでしょうか?」


「いいですよ?」


「本当ならストレッチ、柔軟も含めた、スポーツマッサージと同じレベルでやっていただきたい……です。久々ですし。まあでも、それはちょっと無理なので……こういう、普通のマッサージな感じで背中とか腰もお願いしたいです。最低限でかまいません。揉まれて初めて、自分の身体、筋肉や筋が悲鳴を上げていたことに……今、気付きました」


 ああ、そうか。本格的なスポーツマッサージは……ストレッチ的な身体の動きをしたり、特に身体や関節を開いたり閉じたりもするし、ヨガ的な流れもあるしで、ムチャな格好させるか。


「そうですね。なら、やはり、最初の予定通り、我が妻たちに行ったのと同じくらいのマッサージをしましょうか。そうすれば、データとして意味が出てくるし」


「はい」


「八頭さんもそれでいい? 何かおかしいところ、ある?」


「無いです。それよりも……会長がこんな感じで……お願い事をするなんて……始めて聞いたので、できれば叶えてあげてほしいです。この世界へ来て、私達の事ばかりだったので」


 ……凄いね。彼女。普通の学校の、普通の生徒会長には出来ないと思うよ。


 肩から背中、腰。を丁寧に、揉みほぐしていく。


「ああ……」


 途中、一言、温泉に入ったときの様なセリフが宇城さんの口から漏れた。かなり気持ちよがってもらえているようだ。マッサージしている方からすると、これはかなり嬉しい。


 本当に、パートのおばちゃんたちを思い出す。あの時も喜んでもらえるのがうれしくて、調子に乗ってサービスし続けたのだ。一日に……仕事終わりのおばちゃん5人近く揉んだこともある。


 ああ、でも臀部とか太もも上部はやめておこう……。八頭さん、見てるしね。






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