0341:情報いっぱい

 他にも続々と、報告が入ってきていた。主に情報部収集課=北アビンのノルド狩人からの情報である。


・征服国で死亡した戦乙女、五名の死体は完全に焼却された。


・怪我をして後方へ送られた戦乙女も尽く殺されていた。


・これは役に立たなくなった戦乙女は殺せ、その場合は完璧に焼却し消し去れという命令が出ていたため。命令書入手済み。


・戦乙女が確実に焼却されたと判るのは、その報告書と証拠として遺灰の一部が残されていたため。一部なのは撒き散らかされたためで、死霊術で復活したりすれば、復讐するのでは無いか? と恐れられていたかららしい。


・メールミア王国、イガヌリオ連邦を侵攻していたビジュリア潘国軍は尽く指揮官が殺されたため、身動きが取れない状態となり、そこをメールミア王国の騎士団に追い立てられて、散り散りに逃走。そのほとんどは潘国へ戻れるだけの食糧が無く、現在、連邦領で野盗、盗賊化している。


・メールミアの騎士団はここぞとばかり、イガヌリオ連邦に侵攻を開始。ドサクサに紛れて国境線の押し上げを図っている。

・ちなみに、その指示は女王からではなく、好戦派の貴族から発せられている。


・その侵攻速度に圧倒されて騎士団が動かせていなかったイガヌリオ連邦だが、やっと、まとまった騎士団が展開し始めている。


・ビジュリア潘国軍、本陣、王を含めた王族、さらに幹部貴族等、指揮官クラスの暗殺に成功。


・指揮官を全員失ったため、撤退しようとしていた本陣の本隊に強力な魔術が幾つも放たれた。


・壊走し始めた本隊を追い立てるように、任務に当たっていたモリヤ隊も追撃。このまま、ビジュリア潘国へ侵入し、調査を開始。残されている王族及び、その一門、血を引く者を尽く殲滅する予定。


 根切りだ。禍根を断つ。とも言う。まあ、潘都の方は……既にミスハルがそれなりに殺ってきたみたいだけど。念には念を入れて。


 報告は以上とのことだった。ミアリアがね。いるしね……。彼女以外のモリヤ隊も大概どうなのよ? っていうレベルで強まっている。


 というか、情報収集自体は北アビンのノルドに任せても大丈夫の様なので、モリヤ隊は戻ってきたミスハルを別に、「戦乙女」の警護兼、暴走監視中の三名がオベニス待機。それ以外の六名がビジュリア潘国、王族関係者殲滅の作戦に参加してもらっている。


 実はこれは。表立っていないだけで、「戦乙女」……以上の悪夢じゃないだろうか? これから、王族という一国の最重要一族一門が尽く暗殺されるのだから。潘国の強者レベルの者は王と共に、今回の遠征に参加していた様だ。それがいない訳だから、うちの人たちの蹂躙は簡単のハズだ。

 

 正直。全国民を殺してくれようか……と考えてしまった俺が言うのもなんだけど、根切りと呼ばれる一族一門郎党の皆殺しは実行する者の心を抉ると思う。


 モリヤ隊は勢いでそうなったとはいえ、全員が俺の妻だ。正直そんな経験はさせたくない。と、思ったのだが。彼女たちに先に言われてしまった。


「ここで全てを断っておかなければ、お館様が守ろうとしている彼女たちの運命をさらに混乱させる可能性がありますよ? よろしいのですか?」


 ああ、そうなのだ。ビジュリアの王が隷属の術の指示権をどのように設定したかが判らない以上、戦乙女への命令系統がどういう風に残っているか、判らないのだ。判らない以上、可能性は潰しておくしかない。


 宇城さんに頼まれているので、彼女たちの静養所を訪れ、詳細な状況を説明する。召喚紋の解析が始まったというのは朗報だと思ってもらえた様だ。


 精神的にアレな気がしたので、十名は確実に死亡したというのは伝えたが、その扱いについては伏せておいた。戦争中に死んだ五名に加えて……怪我をして後方へ下がった五名に関しても本当に許せない。思い出す、考えるたびにイライラする。


 まあ、俺以上に……彼女たち、がだ。


 とりあえず、ここで。静養所で。彼女たちはなんとか普通に生活でき始めているようだ。まあ、急がなくていいと思う。一年や二年なら何てことは無い。


 というか。聞かれたので答えたが、現時点で送還術の紋というか、魔法陣、日本へ戻れる術や術紋は一切見つかっていない。と正直に伝えてある。


 多分……手紙なんかに書いて無かったが、茂木先輩も探したハズだ。あの長い時間を生きたチート本人が探しても見つからなかったのだとすれば、そう簡単に発見できるわけがない。


 オーベさんも送還に関しては何一つ判らないという。召喚術であれば、通常は、術として異界の何かを召喚したり、異界の何かに何かをしてもらう、までであって、終わったら強制的に帰る、消える……というのが当り前というか普通なのだ。


 ともかく……彼女たちの眠れない夜はまだしばらく続きそうだ。






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