0340:隷属術
写し取って来た魔術陣、紋様はすぐにオーベさんに渡した。
「結構……かかるかもしれない」
パッと見た感想ではあるものの、召喚の専門家、しかもこの大陸での権威にそう言われてしまえば、頷くしかない。
そもそも、この紋様は巨大で「広間ほどの広さにみっちり描いてあった」らしい。ちらっと見せてもらったが、写してきたミスハルも偉いし、それを解読しようとしているオーベさんもスゴイと素直に思えるレベルだった。
ちなみに、写してきた紙は漫画原稿用紙。そして、それを書き写したのは鉛筆だ。笑。当然、消しゴムも持たせてある。携帯用の画板も使ったそうで、かなり描きやすかったとのこと。これまた茂木先輩様々としか言いようがない。全て茂木部屋の遺産、遺品だ。
「隷属の術、隷属術、隷属の呪い……というのは、死霊術と扱いは一緒だな。禁忌とされ、外法と呼ばれ、研究者は迫害される。稀に王主導や国単位でそれを進める事もあって……そのたびに若干進化してきたというところか。最近はあまり聞かないがな。で。禁忌だなんだと言っても、奴隷売買を行う為には必須の術となる。一般的に知られている隷属の術はお互いが納得することで契約が成立するモノだ。強制はできん」
「まあ、その前に散々酷いことをされて……そこから逃れるためならなんでもする……という状況になっていたら、受け容れるに決まっているけどな」
イリス様もファランさんも奴隷に関しては結構詳しいらしい。まあ、そうか……俺を拾う様な彼女だ。救おうと思ったことは一度や二度ではあるまい。
「まあ、通常の「隷属」は奴隷誓約書の魔術紋を使用する。これを成立させるだけであれば、闇術が少しでも使えれば問題無い」
「奴隷誓約書って……」
「ああ、アレはリーインセンチネルで作られ売られている」
「……魔導国家リーインセンチネル……結構、この世界の問題点の元凶だと思うんですけど」
「そうかもしれんな」
貨幣の製造、奴隷誓約書の作成販売。何よりも……図書館含めて世界の知の集積場。こりゃもう、殴り込み決定なのかなぁ。
なんていうか、調停者気取って、俗世界には手を出さない的なそんな機関なんだろうか? 本来はイロイロ出来たんじゃないのかな? っていうか、召喚魔術紋……アレをなぜ管理しない。あの様なバカ共に使用させて、完全放置っていうか。うーん。謎は多いけど。
中途半端に影響力を所有しているっていうのが厄介だよな……。まあ、現時点では個人的にイライラはしているけれど……オベニスに対して何か不利益になる様な行動を取っている事実は確認されていない。潰すとなると、魔術や魔道具なんていう、知的な分野での戦闘になるんだよなぁ……。そうなると、うちで動かせるのはファランさんとオーベさんしかいない。イリス様、モリヤ隊は物理で殴る派閥だからね。
まあ、しばらく放置でいいか。他国への干渉を強めていったら……いつかぶつかるかもだし。
「で。当然、既存の奴隷誓約書の魔術紋の研究は密かに行われてきた。が、なぜか成立しない。これまでに誓約書以外で、起動する隷属の魔術紋は見つかっていない。だが。召喚陣の魔術紋の一部には限定的だが隷属の術が含まれているモノが存在する。前に説明したな。生け贄が必要な召喚陣の話を」
「あ、えーと、70名くらい死ぬヤツでしたっけ?」
「ああ、その生け贄は基本的に、召喚した対象を「隷属」させるために使用される。つまり、召喚陣には確実に隷属の呪いの魔術紋や魔術式が組み込まれている。私もオーベ師も……その辺を研究していたのだが……まあ、今回は師に任せよう」
召喚術だけでなく、オーベさんは魔術の第一人者と言ってもいいレベルだ。リーインセンチネルに知り合いも多いみたいだし。そんな人が解析してくれているのだ。時間がかかるというのであれば、それはそういうことなのだろう。
「今回、ミスハルが持ち帰った、召喚紋の写しは、正直、かつて見たことが無い形が非常に多く見られる。長年生きて来て、研究してきた私が知らぬ紋様がまだまだあるのだ。潘国だけでなく……遺跡の一部として、地方に伝わる宗教の儀式の一部として、世界中に残されている可能性が高いということだ。勇者召喚などここ千年で聞いたこともなかったからの。既に失われたモノだとばかり思っていた」
頷く。
「すまぬが時間が必要じゃな。正直、数年単位は当り前で消費してしまうじゃろうな……」
うーん。できれば、早めにと考えていたんだけど……。甘かったか~。
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