0342:隷属についての講義
オーベさんによれば。
「隷属式、隷属の術の紋が「壊れていた」のか「壊されていた」のか。的確に、生け贄の数を浪費する様に仕組まれていた……とでも言うべきか。わざとであれば、この召喚陣を用意した者の知識は、我を遙かに超えているな」
「ただ、召喚紋の方は比較的法則が簡単ではあった。我が主にとっては嫌な情報じゃな。ニホンというたか? どんな力の持ち主でもいいのであれば、ニホンから誰かをこちらに召喚するのは……それほど難しくはないようじゃ。魔力の多い術者一人が生け贄として渾身の力を振り絞れば良いだけじゃな」
「まあ、この場合、ほとんどの者が「界渡り」に耐えられずに肉片となって朽ちる。界渡り出来る者は……何かに優れた者だけのようじゃ」
「界渡り出来る者を選ぶ……という術紋が加わると、途端に使用するのが難しくなる。一人召喚するのに、魔力の多い術者……まあ、最低五人は必要じゃ。この五人は確実に死ぬ五人じゃな。さらに補助する者が数十名必要となる。そして……勇者となれるほどの器を喚ぼうとするならば。全てにその十倍は必要じゃ」
「何故ニホンから……なのかは、良く判らんな。この世界と繋がりやすいのがニホン近郊ということになるのやもしれん。ニホンと明記しているにも関わらず、座標指定どころか、世界の場所、位置を指定していない。その様な記述が無いのじゃ」
「そして……問題の隷属の術じゃがな。やはり……特殊で独特のモノが使われておった。奴隷誓約書で隷属した場合、契約を満たすと解除されるのだが……この召喚陣の隷属の術は、契約は永遠に満たされない。なぜなら、契約条件が一切書かれていないからじゃな。つまり、界渡りの勇者は……死ぬまで隷属状態ということになるな、隷属の呪いじゃな」
「そう怒るな。つまり、この隷属の術は不完全ということになる。本来であれば、契約条件の描かれる部分が空白のままなのじゃからな。不完全で空白部分があるまま、隷属の術は発動している。つまり、彼女たちの隷属の術、呪いは完璧では無いのじゃ」
「完璧では無いということは、掛かりが甘い、ということじゃな。界渡りに関して、数千年以上前、我々の先祖がなぜここまで隠蔽したのか、怯えていたのか不思議だったのじゃ」
「この世界の進化の功績や、人々の記憶に何も残っていないというのは明らかにおかしい。ヒームしかおらんのであればな。寿命も世代交代も短いからな。仕方ない……とも言えよう。だが。例え五千年前の話でも、ハイノルドはたかだか数世代前程度だ。幾ら世捨て人が多いとは言え……なぁ。明らかに「隠した」者に我が祖先も加わっておるじゃろうな」
「ん? ああ、すまん、横道にそれた。つまり……不完全な隷属の呪いのせいで、おかげで? 界渡りは自分の意志を取り戻し、反抗し始める者が多かったということなのだろうな。なので恐れた。なので徹底的に証拠隠滅した。他にも何か理由はあっただろうが……」
ということで、召喚時に使われる隷属の術は不完全で、呪いとなっており、何かきっかけが在れば解術できる……ということだった。逆に言えば、正式な、解除するための「隷属の術を消す術」というのは存在しないということになる。ってまあ、元々無いんだからしょうがない。
「光の術に解呪の術というのがある。我が主も使えるはずじゃ。それは人の使えるレベルの呪いに対応して、呪詛を払いのける。浄化も似たようなモノだな。詳しいことは我もよく知らん。前にも言ったが、光の術はあまり詳細を知られていないからな。だが、解術という、かけられた術を解除する……というのは聞いたことが無いし、もしもあれば隷属の術がここまで普及しなかったハズじゃ。そう考えると我の知っているような一般的な術の中には、無いのかもしれんな」
「ということは……」
「ああ、研究はする。研究は続けるが、とりあえず、すぐに試せるのは……我が主殿の界渡りオリジナルなハチャメチャなスキル、魔術、さらにはこの迷宮産の魔道具、なんでもよいな。そのうちのどれかに託すしかあるまい」
まあ、それ以前に……彼女たちの心の安寧を図りながら……となる。なんていうか、何かを強いて実験するっていうのは無しだ。強要されるという圧力は、凄まじいストレスになるし、トラウマにもなるからね。
宇城さんには「あまり気を使わないで下さい」と言われているが……それを言えるのは彼女が、精神的に強い人だからだ。もしくは、弱みを隠せる強さを持っているからだ。未だに、無抵抗の一般市民、老人、子供を殺害したという「事実」を上塗りできないで震え続けている娘は多い。
実は、モリヤ隊や、メイドな人たちにさりげなく、心理的なフォローを入れてもらっている。そこから上がってくるリアルな情報から……そう簡単に前に進めない、解決できないということを再認識させられている。
-----------------------
おすすめレビューに★を三ついただけるのが活力になります!
ありがとうございます!
さらに、おすすめレビューにお薦めの言葉、知らない誰かが本作を読みたくなる言葉を記入して下さると! 編集者目線で! マネージャー目線で!
この小説が売れるかどうかは貴方の言葉にかかっていると思って!
やる気ゲージが上がります。お願いします!
■宣伝です。原作を担当させていただいております。
無料です。よろしくお願い致します。
[勇者妻は18才 第1話] | [ゆとり]
#Kindleインディーズマンガ で公開しました。
Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒
「直リンしちゃいけないんですってググってね」
そして、自分は手伝った程度ですが、こちらも。
[メロメロな彼女 第1話] | [ゆとり]
#Kindleインディーズマンガ で公開しました。
Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒
「直リンしちゃいけないんですってぐぐってね
単行本一巻、二巻もよろしくお願いします。
ブースで売ってます。
「直リンしちゃいけないんですってぐぐってね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます