0338:モリヤ嫁会話④(正妻との会話)
「亡くなった……娘の中に……同じ名前の者がいたのか」
今日はイリス様の番らしい。というか、この嫁の当番制。どういう順番で誰が回ってくるのか正直良く判らない。こちらからの希望は何も言わず、お任せにしてある。まあ、夫婦の営み的な展開も当然あるが~酒をちびちび飲みながら、お話をする時間……にもなっている。
正直、こっちの方が大事だ。仕事を一緒にしているので、報告連絡はこまめに取っている……と思っているのだが、それでも抜けがある。特に、彼女達の気持ちとか、感覚的な指摘や感想はとても重要だと思う。
まあ、それは、夫婦生活を続けていく上でも当然、大切なコトなんじゃないかと思っている。だってさ、話を聞いて、上手くやっていかないと、いつ飽きられてしまうか判らないし。
「ええ。後藤イリス……イリスが名前で、後藤が姓ですから、イリス様と同じ名前ですね。弓道部だったそうです」
「そうか……会いたかったな。ただ、名前が同じってだけだが」
「ええ、そうですね……助けてあげたかった……」
ああ、ダメだ。涙が……。
「モリヤは……彼女達のコトになるとすぐ泣くな……」
そう……かもしれない。
「そうですね……それ以前は、ほぼ泣くことなど無かったのに」
「ああ。でも。そうやって私たちの前でだけ泣いているモリヤは愛おしいな」
「え、あ、情けないじゃなくて?」
「くくく。モリヤを情けないなどと言う者がいたら。……そうだな。どれだけ自分が無知で、戦う力を感じられないかを露呈するだけだからな」
え? そうなのかな?
「そうですか? 強く……とか見えます?」
「んー外見というか、ぱっと見は見えないな」
「そうです……よね。痩せたくらいですし。」
以前よりはかなり痩せた。腹筋もなんとなく割れる感じになっている。だけど、大胸筋周りはそんなに大きくなっていないし、そもそも腕や足も細い。
「私の動きを……見ているだろう?」
「え? あ、はい、戦闘……ですよね?」
「ああ。モリヤは……アレが出来るな?」
「え?」
「私と同じ事が出来るだろう?」
「……どういうことですか?」
「ん……えーと。ん。こういうときは例を挙げて話すんだったか。えーと。ああ、なら、二枚刃と呼んでいる技がある。片手剣で斬ったその直後に手首の返しと肘の反動でもう一度斬り込む技だ。見たことがあるだろう?」
「あ、はい、多分……イリス様がそうしているのは見たことがありますね」
「モリヤはアレ全部は練習しなければ出来ないだろうが、最初の部分くらいなら出来るハズだ。同化……いや共感というか。そういう力を持っていると思う」
「え? 片手剣はほぼ触ったことがないですよ?」
「ああ、だからこそ、いきなり最後までは出来ない。だが、最初の部分は出来るし、さらに鍛錬すれば少しの時間で出来るようになるはずだ」
え? そうなの? 自分の手を見るが……うーん。どうなんだ?
「モリヤは……多分、私だけでなく、繋がっている者の使う技を……全て掴んでいる気がする」
「そうなんですか?」
「ああ。そんな気がする。で。その力のせいで……少し、私たちに共感しすぎている気もするのだ」
「……」
イリス様のなんとなくとか、勘とかは本気で当たるし、何か兆しがあるからそう思うってことが多い感じなので、蔑ろには出来ない。達人の勘は絶対に、何か裏付けがある。
「そう言われてみれば……魔術の使い方はなんとなく熟練している気がしているのは……」
「ああ、繋がっていることによるものもあるだろう。だが、我々の出来る事は、尽く出来るハズだ。最初の一歩は既に覚えている」
「そうなん……ですか、ね」
「ああ、だからやる気になれば全てを修められる。と思う。が。その反動で、周囲の気持ちを受けすぎてしまうのではないか?」
「そう……かも……ですね……」
武術だろうが魔術だろうが、何でも修められるっていうのは……それはいくら何でも破格な気がするけれど……。弱点もあるということか。
「器なのだよ。モリヤは。なんとなくだが。そんな気がする。入れる物次第で何にでもなる」
そう……なのかな?
「なぜ、そんなに確信的なのですか?」
「モリヤが。彼女達を見捨て、笑うような男であったら……と考えた。そうなるのはどういう場合だろう? と」
「いや……うーん。そうはならないんじゃないですか?」
ならんだろう……そもそも、日本で生活していた記憶があるわけだし。
「あの時、私と出会った時が始まりだったのだ。あの時点でモリヤは何も無かった。フェダウェイに襲われ漏らしていたモリヤから始まって……様々なモノがお前に降り注いだ」
まあ、あの時助けられなかったらどうにもならなかったしね。
「そして今がある。ああ、こんな形になったのだな? と思うことがあるのだ。お前は「印象的な体験」「強い気持ち」の影響を受けやすい。変わりやすい」
イリス様が言うのならそういうことなのだろう。自分でも少し思い当たる所があるしな。
「さらに言えば、ここもあんな形になるのだな。モリヤのおかげで知ることが出来た」
「……イリス様。いきなり下ネタぶっこんでくるの、ビックリするのでやめてください」
「まあ、何が言いたいかといえば、今夜もよろしくお願いします、旦那様」
「あ、はい。そうですね」
色っぽくないが、まあ、なんていうか、そういう感じで夜は更けていくのだった。
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