0329:紅武女子運動部バスごと異世界転移事件⑧
寝坊した。まあ、きっと朝早く起きたからといって何がどう変わろうか判らないが。起きたのはもう、多分、昼を過ぎていた。
ボーッとしているのが判る。ああ、そうか……昨日は……お風呂に入って、パン粥みたいな食べ物をお腹いっぱい食べて寝てしまったのだ。
こちらの世界に来て……本当に初めて、無防備に眠った気がする。まるで前の世界に居た頃みたいに。
向こうの世界に居た頃は……寝るのが不安になる、怖くなる、寝ている間になにかされるんじゃないかと眠れない……なんてことは一度も無かった。
幸い、父と母はそれなりに稼いでいたので、セレブとは行かないまでも、そこそこ豊かな生活を送っていた。恵まれていた。不安だったのは、自分の将来のこと……くらいで、それ以外はそうでも無かった。いや、全く考えたことが無かった。
寝ている間に、昼間殺してしまった人の身内が、私を探し出して仇を取るためにナイフを突き立てるんじゃないかと。
考えることは皆同じだったらしく……見張りの順番を考えて、守りながら眠った。信じられるモノは共に跳ばされてきた仲間のみであり。それ以外は全て敵でしか無かった。
コンコン……。
小さめの音だ。これがノックの音だと気付くのにしばらく掛かった。
「あ、はい、どうぞ」
ドアを開けて、ノルドの女性が入って来る。
「お目覚めですか? 良かった。そろそろ皆さんで食事をとのことです。どうですか? 食堂へ行けますか?」
食事……と聞いたからか、いきなりお腹が動き出した気がした。自分はこんなに食いしん坊だっただろうか?
「ふふ……みなさんに癒しの術が沢山施されていますからね。あれで躯を回復させると、お腹がもの凄く空くんです。血や失った肉を食べ物で回復させようとしているのかもしれません」
そう……なのか。
「みなさん、お腹が空いたと言ってましたし。ミライさんは朝ご飯も抜いてますからね」
うん、そうか。お昼って事なんだな。なんだか、やっと頭の中でイロイロと繋がってきた。
いきなりの環境の変化にどうしても戸惑っていたのだろう。多分。
「ご飯……」
が。口から出てきた言葉はとても頭の悪い単語でしかなかった。自分でもショックだった。
「ええ、ご飯です」
赤ちゃんか……と思いながらも、出してくれた服に着替えていく。普通に、何も考えずに普通に着替えを手伝ってもらってしまっていた。
なんだろう。このあまりにもスムーズなパーソナルスペースへの侵入は。だ、駄目人間になるんじゃないだろうか?
階段を下りていくと、いかにも食堂……という感じのスペースに皆が座っていた。まだ、何人か居ないようだ。
私を案内してくれたメイド? さんも、「こちらに座ってお待ちください」と席に案内して、また違う部屋へ行ったようだ。
「ちびちゃん。体調は?」
自分のテーブルは四人席。自分の前にもう一人、既に座っていた。
「会長……問題なさ過ぎて寝坊してしまいました。なんですか、あのベッド。おかしいくらい寝心地が良かったんですが」
「ああ。そうだね。あんなに寝心地が良いベッドは向こうの世界でもそうは無い。私も初めてだ。どこの三つ星ホテルかってくらいレベルが高かったな」
「やっぱり……」
会長は大財閥の偉い人の娘で、既に一部の企業を任せられているなんていう噂もある。休みになると世界中を飛び回っているので、薙刀の練習が唯一、彼女の本当の休みだ……なんていう噂を聞いたことがある。
薙刀の練習してるんだから、休めてないじゃんと思った記憶があるが~その会長が一流だというのだから、あのベッドは本物だというコトになる。
というか、多分だけど、この屋敷の施設設備は前の世界の一流どころを集めている様なレベルじゃないかと思う。キチンと教育されたメイドさんがいるし。その気遣い方はちょっとあり得ないランクだと思うし。
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