0316:迷宮めし

 個人的に何一つ文句が無かったのでこれまで気にしていなかったのだが。


 この世界は基本中世ヨーロッパ系ファンタジーなノリ(ノリって言うな)なので、当然、麦中心、パン中心、パンが主食の世界だ。大麦でも小麦でもない……中麦? みたいな麦だ。大粒なモノはオートミールやエールに、小粒なモノを粉にしてパンが作られる。ライ麦……もあるのかな?


 元々……食事は「作ってもらったのなら」どんなモノでも美味しくいただける派なので、拾われたときから屋敷に料理人がいて、自分で作らないで良い以上、これまでなんの問題も感じ無かった。一年間コンビニローテーションで問題無かったブラック勤務の体験もあるし、海外で数週間同じメニュー地獄(カリー)も体験している。


 まあ、他の日本人を俺基準で考えるのはあまり良くない。特に、人によっては主食であるお米……ご飯は重要で、欠乏状態次第ではそれだけで心が不安定になる人もいるわけだし。

 

 実は。オベニスのすぐそばを流れる川沿い。麦では無いすすき……の様な、米の様な植物が植生しているのはなんとなく判っていた。新市街の開発地域からはちょっと外れているし、良く確認していなかったのだが……。時間が出来次第、調査しなければ。


 いきなり同邦が増えたことで「日本食」に対して意識が向いたのだが、オベニスの市場では当然の様にイロイロと足りない。


 そもそも、メインになる食事は肉を焼いたモノだ。味付けは塩。俺が乾燥したハーブを粉々にしたものをまぶして香り付けをしたら、とんでもなくビックリされた。いやいや。そんなレベルじゃないだろう。

 というか、料理を開発したとかそういうもんじゃない。その後も、ワインを濾過したり、丁寧に冷やしたりしただけで褒められたし。ああ、ローストビーフモドキを作った時も褒められたか。


 ちゅーか。胡椒とか手軽に手に入ればなぁ。胡椒っぽい調味料はあるが非常に高価で、オベニスだと領主館で出される食事くらいにしか使われていない。アレって南で生息するんだっけ? インド? 南アメリカ? 俺の知識チート役に立たんのう……。


 ハンバーグ……は作れるだろうけど、味付けは塩中心になる。ソース、ケチャップ……何よりも醤油、味噌が無い。


 ああ、もうね、俯きっぱなしの彼女たちがあまりに……あまりに無惨で。出来ることはなんでもしてやろうと思ってしまったのだから仕方ない。


 と、そこで気がついた。アレ? 迷宮フロアの植物……いじれたよな。鉱山フロアが作れたんだから……田畑エリアが作れないのかな? と。それっぽい項目あったような。すかさず跳ぶ。


 あった。


 さすが茂木先輩。稲の育成用の田んぼもあるし、畑も問題無く用意できる。種とか苗があれば何でも作れる……のか? というか、薬草の苗もあるな……。


 ってあれ? 塩、砂糖があるのは、知ってたけど……材料となる食材だけでなく、それをさらに加工したモノ? もあるじゃん! 


 弁当とかオムライスとかカレーとか……料理されたモノがあるわけじゃ無い。でも、なぜか、マヨネーズとかタルタルソースはあるのだ。どういうシステム? これ。


 まあ、正直、ちょっと、消費するダンジョンポイントが高い。けど。こ、米、醤油、味噌もある! 当たり前の様に……日本酒もある……しかも銘柄? 数種類。八兆山とか、城善如水とか……ダジャレな名前が付けられている。じ、自分の舌を頼りに生み出したんだろうか? すげぇ。


 これらを使えば……こ、コンビニが……捗る……な。これ。


 判りにくかったが、植生の項目に……野菜や果物もあるし、設置可能な魔物の下の方に、動物があり、さらに、魚の一覧も書いてあった。


 まず、どの魚が淡水か、海水かを確認しないとだけど……鮭……っぽいのがいる。コレ、海と川、湖のある階層を作って、そこに設定すれば養殖が可能ってことだよな。


 名前は違うけどイロイロと配置できる様だ。魔物とは別枠なんだな……。


 茂木先輩……迷宮編集の使い方を間違えたんじゃ無いだろうか? まあ、難しかったのかもしれないけど……ダンジョンポイントがあれば無敵と言って良いわけだし。この辺、明らかに、自分が食べる、自分が迷宮で生活するためだけにしか使用された形跡がない。


 地上に生活している人たちを迷宮で暮らさせる……なんていうのは、俺が結果的にそうなっただけであって、最初から予定して組み込むのは難しいってことか。そうか。そうだよな。


 確かに、完成している食品、飲料をそのままダンジョンポイントで大量に購入し続けるのは厳しい。消費ポイントが大きすぎるのだ。とはいえ……とりあえず、早急に必要な三十三人用の食事であれば……問題無いか。


 だが、永遠にってのは、いつかマイナスになるだろうからまずいな。


 専用のフロアを用意して……えーと。とりあえず、この設定は結構細かくやらないとみたいなので後回しでいいか。後で……田畑の階層、水産、畜産の階層を設定して、公共事業として未だに増え続けている流民たちの仕事としよう。


 や、やばい……この都市制作系SLG楽しい……とか言っちゃうのは不謹慎なのか。


 ああ、やばいやばい。そうじゃない。今はまずは、日本食だ。とりあえず……早急にイロイロ用意出来るのはありがたい。彼女たちが喜んでくれるといいが。





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