0314:拘束
移動する際に、ほぼ、倒れたままだった「戦乙女」……彼女たちの惨状を眺めるに付け、腹が立って苛ついて仕方なかった。
だが俺が潘国軍本隊に向かうと、ついやり過ぎてしまう可能性が高いというか、そんな王を止められなかった罪として、潘国全土を問答無用で焦土と化す(出来ないけど)……くらいにヤバイ精神状態だったのを察せられて止められた。
普通に会話出来るし、戦争準備もしているのに、完全に目が死んでいたらしい。
まあね。そんな愚劣な王を放置していた愚かなだけの一般国民、女子供関係なくぶち殺してしまうわけだからね。さすがにそれはダメだよね。この世界では向こうの世界でできる普通の事が出来ないのだから。
あとさらに、早急に、彼女たちの隷属の術を解除できないか探らなければならない。そのためにも俺がいないとイロイロと試せないということでさっさと帰還することにしたのだ。
ただでさえ今はオーベさんが不在だ。彼女が帰還するまでに、俺が出来ることは一通り試しておく約束になっている。
ちなみに、俺らの仕掛けた罠と、イリス様たちの攻撃で致命傷を負ったような子はいなかった。当然の様に栄養失調気味で、過労、疲労は酷かったが。
が、全員、俺の癒しの術で体は完璧に回復するレベルだろう。槍で穴が空いていたり、斬りつけられて十センチ近い切り込みが入っている娘もいたが。その辺の治療はどうにかなる。それこそ。ファランさんの肩に空いた大穴を見ているからか、大丈夫大丈夫と気にならない。
ただ。心が。精神的に辛い目に合いすぎて、心が回復しづらい娘は多そうだ。
彼女たちは何時、隷属化されるか判らない現状、迷宮の罠から生み出された特別製(イリス様が外せなかった)のロープで拘束されている。更に手に手錠、足枷も、はめられている。それをはめる際に……何人か、目に力がある人には。
「隷属の術が解けるまでだから、我慢して欲しい」
と、説明した。その際にちゃんと反応があったのは、件の宇城美帆里さんのみ……だった。
彼女たちがそれなりに回復できるのか出来ないのか……は判らないが、とりあえず、早急に手かせを外して自由に行動できるようにしてあげなければならない。命令できる者を殺した場合、その命令権が自動で血族に移行するのであれば、それを全部殺すしかない……訳だし。でも、それをするにはかなり時間がかかる。
今回の会戦前、この話を聞いた直後に、ミスハルには潘国の都へ、召喚魔術紋を破壊するための任務に就いてもらっている。多分、問題無く潜入し破壊できるだろうから、破壊前に紋を写すようにも言ってある。
それを持ち帰ってもらうことで、オーベさんなら何らかのことが判るハズだ。召喚に関してはあまりに情報量が膨大過ぎて解析に時間がかかるらしいが、隷属の術の紋は、現在も使われているモノが幾つも存在するので、詳細がわかるハズ……と言ってたし。
「そう……ですか。ありが……と……ございます」
彼女の口からは理性的な言葉が、やっと紡ぎ出された。無駄に喋るなとか、そういった命令が生きている……のかもしれない。実は、現在も彼女たちには「命令主の元へ戻れ」という命令が生きているようだ。微妙に弱まっている様でもあるが、落ち着かない様だ。
本当は万が一の為に手錠はしょうが無いにしても足かせは……と思っていたのだが、勝手に足が動き出してしまうのであれば仕方がなかった。良かった、オーベさんのアドバイス通り、足かせも持って来ておいて。
まあ、そんな事情もあって、俺たちは即オベニスへ、地下迷宮へ急がなければならなかったのだ。
オーベさんが最後に思い出した「隷属の呪文の種類によって変わるかもしれないが、迷宮の中ではその効力が弱まる傾向にある」……という文献の内容を信じて。
「命令主が、まあ、その話では奴隷商人だったが、街にいて、隷属の術で縛られた冒険者が迷宮に入ると、その命令が非常に弱まり反抗する……ところまではいかなかったモノの、自分の意志で行動することが出来たという。元々、命令主の元から大きく離れると命令が弱まる傾向にあったのだが、迷宮ではそれが顕著だったようじゃ。隷属の術に関してはレアすぎて、今でもその属性に関して良く判っていないしな」
僅かな望みだったとしても、可能性があるのなら試してみるしかない。というか、どうにかしないと彼女たちの命に関わる。
彼女達をこれ以上、辛い目に合わせたくない。正直。俺のワガママかもしれないけれど。もういいだろ。なあ。
もう、既に十名が亡くなっているのだから。
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