0305:女子学生vs人妻エルフ前哨戦

 全軍が威圧のせいで動きを止められてしまったビジュリア潘国軍。


 これ、今、長距離届く弓とか、弩砲とかあれば全滅も可能なんじゃ無いだろうか? と、一見無敵な威圧だが、実は、連続使用、二度目三度目と繰り返していくとその効果は低下していく。


 特に強者、強ければ強いほど威圧の効果から抜け出すのも早いし、二発目三発目の掛かりも悪い。しばらく動きを止めるレベルの効果は……最初だけと思った方がいいのだ。ってここまでの威圧はイリス様にしか使えないしね。


 全軍停止、というか弱兵が立っていられなくなったせいで……白い鎧が妙に目に入る。兜は着けてない。「戦乙女」をアピールするためか、囮として目立たせるためか。


 革製……ではないか。幾つかの金属版を組み合わせて、厚い布の鎧に貼り合わせた感じだろうか? 金属鎧の裏に布を貼った感じじゃない。下は袴というか、キュロットスカートだろうか。これにも金属板が微妙に貼り合わせてある。その中はトラウザとかそんな名前の脚鎧。一見キルトというか、そんな感じなんだけど、中は鎖帷子っぽい部分もあったりして、多分重たい。色以外、装備自体はよくあるモノだ。


 彼女たちは大きく分けて前衛と後衛に分かれる様だ。まあ、前と後ろというか。そりゃそうだよね。近距離武器の使用者と、遠距離武器の使用者だ。


 というか、ザッ見て……弓を装備しているモノが十数名。術は……うーん、いないな。魔術士はいないのか。と思って簡易鑑定をして……見返してみる。


 これは……思ったよりも育成出来てないってことなんだろうか。……いや。


 召喚時に強化されたモノだけを頼りに、戦い続けているってことか。……まあ、それは仕方ないか。鑑定が無いので何かキッカケと共に気付けなければ、宝の持ち腐れなのは、この世界の仕組みなんだから。


 現場指揮官からの再三の命令、指令により、「戦乙女」と呼ばれている、私立紅武女子学園選抜運動部チーム(俺予想、多分確定)の方々三十三名がようやっと活動を再開した。威圧の効果からやっと解き放たれたようだ。


 見事に彼女たちだけが前進してくる。走るわけでもなく……どちらかと言えば、ダラダラと歩いてくる。うーん。やる気無い……んだろうなっていうのが伝わってくるけど……。

 これまであまり敵にやり込められたこと、危機に陥ったこともないんだろうな。相手の隙を付くとか、不意を~とか、そんな余計なことは考えなくてよかったんだろう。


 あ。でも……さらに疲れてもいるようだ。顔付きを見ているとダラダラしている主原因は疲労困憊の様だ。顔色も悪い。まあそりゃそうか。命令されてるとはいえ、走って行って敵を斬る意味が無いもんな。


 正面から殴って潰す。この世界の強者はそれが可能だからなぁ。こうして見ていると……うーん。騎馬戦かな。運動会の。そんな感じ?


 強者入りの戦争は、ゲームの世界というか、少なくとも俺の知ってる戦争では無い。だけど。この世界では、名乗りを挙げるのも、指揮官が戦先頭を駆けて敵陣に突っ込むのもまだまだ当たり前みたいだし。時代として考えれば、別にそういうものなのだろう。


 戦略は当然として、戦術すら、歴戦の将軍の頭の中くらいしか確立していないっぽい。行き当たりバッタリというか、強者次第というか、強者の使い方次第というか、まあ、ねぇ。どんなに不意打ちを仕掛けても、強者一人いればそれを跳ね返せてしまうシステムだからね……。


 逆に強者に不意打ちさせれば、凄まじく効果的だと思うんだけど、そういう捻った作戦は尽く卑怯と認識されてしまう。

 有効なら俺は使うけどなぁ。そんな評判なんてどうでもいいし。面倒くさい。卑怯と言う馬鹿には言わせておけば良いからね。


 そもそも、うちの妻とか「女」が闘っている時点で、オベニス軍は非常に評判は悪いのだ。


 まあ、メールミア王国なんていう傾国のクソ貴族にその辺の嫌味を言われてもあんまり気にならないからいいんだけど。


 って思ってたんですけど。


 なんか女王が、うちの陰口を呟いた貴族を打ち首にしたらしいです。何それ怖い。そうする必要があったっていう事実が……この世界の未熟さ、危うさを直接伝えてきて恐い。


 それ以来、そういうのは収まっているそうだ。陰で言われてるんだろうけどね。


 戦術など無く、基本、敵も味方も、職種毎に固まって、攻撃を仕掛けながら正面からぶつかりあう。それにしたって、少しぐらい工夫しても良いだろうに……。


 弓を武器にしている「戦乙女」……が七~八名。あ。槍を投げようとしているのもいるな……。槍投げの選手だったのかな? あの時バス毎消えたのはインターハイ入賞者ばかり、その帰りだったわけで。


 基本、全国大会を勝ち抜いた一流、日本で上位の選手しかいないハズだからなぁ。それが界渡りしたことで、超絶強化されているわけだから。うん。凄まじいわけで。俺ももう少し強化されてればなぁ~最初にお漏らしすることも無かっただろうに。


 後衛の矢が……こちらの前衛に届き始める。スゴイ飛距離だ。こちらの世界のヒームの弓使いが魔術を使わずに矢を射ると、大体……百五十メートルくらいだろうか? 確か……地球世界でも、競技としての弓の的までの距離は大体百メートルだったし、全体的にそう変わらない。


 が。今、それほどの数ではないとはいえ、両者の距離は……四百メートル近く離れている。この辺の弓の実力は……うちの妻たちと互角……か。



-----------------------

おすすめレビューに★を三ついただけるのが活力になります!

ありがとうございます!

さらに、おすすめレビューにお薦めの言葉、知らない誰かが本作を読みたくなる言葉を記入して下さると! 編集者目線で! マネージャー目線で! 

この小説が売れるかどうかは貴方の言葉にかかっていると思って!

やる気ゲージが上がります。お願いします!


■宣伝です。原作を担当させていただいております。

無料です。よろしくお願い致します。


[勇者妻は18才 第1話] | [ゆとり]

#Kindleインディーズマンガ で公開しました。

Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CMQ54KSC


そして、自分は手伝った程度ですが、こちらも。


[メロメロな彼女 第1話] | [ゆとり]

#Kindleインディーズマンガ で公開しました。

Amazonで今すぐ無料で読もう!⇒

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CMQ5QN37


単行本一巻、二巻もよろしくお願いします。

https://shitirokugou.booth.pm/items/5722996 #booth_pm







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る