0304:最悪回避

 確か……キャプテンの名前は……宇城うしろ美帆里みほり


 さすがだ。隷属状態でイヤイヤだろうがなんだろうが……槍を持ち背を伸ばして立っているだけなのに、もの凄く様になっている。

 自然にモデル立ちしちゃうんだろうな。化粧もしてないだろうに……表情は壮絶……そこにどこか哀愁というか、儚さも加わっていて、美しさはパワーアップしている気もする。


 多分だけど……風呂とか満足に入っていないハズだ。やだろうなぁ……強制とはいえ。本当に。


 ああもう、想像するだけでイライラする。しかも今、何か理由があるのか、対峙したまま……詳細鑑定できたくらい……三十分以上、立たされている。


宇城美帆里 隷属

界渡り 女 力541 躯325 器587 敏540 知324 精241


言語理解

統率強化

疾風迅雷

魅力強化


武芸2

→槍術5


隷属の呪い


 鑑定した。


 おおう。予想よりは……シンプル……というか、想像してた茂木先輩……ほどじゃなかった。良かった。ホッとする。これは最悪の事態は避けられた。と思う。


 だが。同じ界渡りでも、俺とは大違いだなぁ。なかなか……どころか。これ、嫁ーズが居なかったら本気でやばかっただろ。


 イリス様とファランさんだけだったら……と思うとゾッとする。このレベルが三十三名あそこにいるのだから。


 あの集団が紅武女子で、インターハイ帰りに消えたメンバーなのだとしたら、彼女が筆頭、彼女以上の強者はそうそういないハズだ。確か生徒会長だったし。


 しかし。マッサージを受けた状態のモリヤ隊を超えるステータス……。さすが界渡り、勇者ってことなんだろう。


 少しだけなんていうか、声が聞こえた。命令が届いたのか……槍を構える。


 いや、「戦乙女」全員が武器を構えた。進軍……開始か。あの命令……は風の術の拡声かなんかで増幅しているのだろうか? 


 アレをどうにかしないと、こちらの思惑通りにはいかない。


(今の戦乙女への命令……魔術だった?)


(ハッキリとは確認出来てませんが、多分、風の術「拡声」ではないかと)


(やはり、音声認識なんだな。隷属の術ってやつは。さて。彼女たち、殺し合うなら一対一で勝てると思うんだけど、捕らえるとなるとやっかいだと思う。多分、モリヤ隊一人で二人を押さえられれば良い方だと思います。イリス様を中心にとにかく防御に徹してください。ミアリア。お願い。前線指揮官らしきヤツラ、偉そうなヤツラを軒並み最速で潰して)


(了解しました)


 うちの最大戦力はイリス様なのは変わらないのだが、スライム悪魔くん(名前なんだっけ)を倒したおかげで、「隠密行動」できる最大戦力は現状、ミアリアとなっている。かなり遠回りだが、迂回した彼女はものスゴイ速さでヤツラの左手後ろから急襲をかけてもらう。


 しかし……本当に、「戦乙女」の彼女たちを捨て駒にしか考えて無いというか、そういう戦略しか立てていないんだな。いや、そもそも、戦略を立てていないのかもしれない。ここまで兵站を無視して進んできたクソ侵攻だ。


 彼女たちで本陣の護衛させようとか考えていないのは……本気の馬鹿だしな。


 まあ、そうか。


 そもそも。一番最初にやらなければいけなかったのは、彼女たちに本気を出させるためにも、精神的な懐柔から始めないとダメだったわけで。それはそれで上手く行かなかっただろうけどね。


 今、本陣に「戦乙女」が一人でも残されていれば、ミアリアだけでなく他数名をあてなければならなかったのに。


 こちらの、王国側の戦力は寄せ集めた王立騎士団……約六百。他領の騎士団も幾つか間に合っているので、総計すれば千といったところだろうか?


 黒ジジイの策略による偽装紛争のせいで、後始末をしていた関係上、各所に戦力を散らさざるを得なかったのだ。それこそ、王国北西部に偏っていた戦力をある程度分割して、手薄になっていた南西部や、大氾濫を導く魔道具周辺の魔物討伐など、治安維持部隊としてやることは山積みだったのだから。


 逆に、この草原に千の兵が集められたのは僥倖といってもいいだろう。情報収集をノルドたちに任せたおかげで、我が妻……モリヤ隊もほぼこの戦場に投入できている。


 さらに、全体を率いるのは「砦返し」クリアーディ女王。新王立騎士団の騎士総長は「多層」のバール。西南戦争でその名を挙げた二人だ。士気は高い。


 そして……その女王の尖兵は……あの「荒れ狂う鬼」だ。先頭を切って敵の視線を惹きつけ……最大の威圧で敵の精神を粉砕する。


 その凄まじい効果は……潘国軍にも有効だったようだ。


 予定通り、戦線が硬直した。



 



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