0303:かわいすぎるなんとか。

 彼女たちは一目でやつれて……いた。


 全体的に。病んでいる。


 でも、正しいと思う。鎧は白く目立つ上に、傷や凹み、矢による穴なんかも見える。返り血……だろうドス黒い染みが散見している。


 くそ~ま、まだ、ちいさい子もいるじゃないか……。


 俺、まだ……まともだ。本当に、特に、弱者、そして女子どもを虐めるヤツは許せない。許せない。


 ん? アレ? 見たこと……あるぞ? 髪の毛もちょっと乱れてるし、薄汚れてる感じだけど……見たこと、いや、多分ネットで見たことのある顔が……! あっという間に、モリヤ隊の幾つもの視点を通して「戦乙女」達の見た目情報が集積される。


 紅武女子か! 


 大型の馬車、車輪しかない馬車だから、大型のバスだとは思っていたけど……召喚された女子の学生……っていうのは……あの、紅武女子……だったのか……。


 俺がこっちに跳ばされる……二年くらい前か。弱小薙刀部が全国大会で活躍する……という漫画が原作の実写映画がそこそこヒットした。主人公率いる弱小薙刀部は当時人気だった若手の女優やモデルが頑張っていたんだけど、ライバルとなる全国優勝強豪校は「ガチ」のインターハイ王者が出演していた。


 なんでも、映画監督が女性でその学校の出身だったということと、その強豪校の二年生キャプテンが「可愛すぎる薙刀チャンピオン」としてそれ以前にネットでは有名で、高校卒業後、大学進学と同時にモデルデビューが決定していた、事務所付きの素人さんだったため、だった気がする。


 さらに、その学校の広報宣伝的な部分もあったと思うし、薙刀界をもっと盛り上げたい……みたいな事も言われていたような気もする。薙刀は……歴史的な経緯もあるせいか、現代日本では男子より女子が主力の武道だしね。


 なんで、女子学生好きでも薙刀好きでもない俺がこんなに知っているかといえば。実は数少ない知り合い、友だちかな、唯一の。と、映画館に二度も見に行ったからだ。知り合いは怒号応援上演とかで十数回見たとか言っていた。


 この映画、とにかく、とんでもなく、薙刀の試合が熱かった。後半に十分間程度の最終決戦、まあ、試合のシーンがあるのだが、撮り方、カットワーク、演出、表情のカットイン、まさに絶妙。初見時、友だちの付き合いでしかなかった俺が、薙刀を習ってみたい、道場通ってみたいな……と思ってしまったくらい、熱かった。


 当然、評論家や業界関係者からも非常に評価され、賞レース期限ギリギリ最後の上映スケジュールだったにも関わらず、その年の日本アカデミーなんとかとか、映画関係の賞を総なめしていた。


 その激熱の薙刀の試合シーンを「実際に」行っていたのが、この強豪校の薙刀部と、全国選抜の薙刀選手だった。まあ、つまり、主人公側は代役だったのだが、そこそこ似ている感じに化粧もしていた様で、違和感は感じなかった。何よりも、試合が素晴らしかったのだ。


 特にその可愛すぎる薙刀チャンピオン、キャプテンの所作は……素人でさえ、震えが来るほど安定していた。試合中でもほとんど乱れない姿に、特に女子からの宝塚的な人気が凄かった覚えもある。


 が。まあ、そこまでなら無い話ではないというか、普通にある芸能界の大手事務所、映画会社と私立高校がガッツリ手を組んだ例なんだと思う。


 で、重要なのはここからだ。


 その薙刀強豪校……実際の名前は私立紅武女子学園という。映画から約一年後。この紅武女子の運動部を送迎していた大型バスが、消えた。


 インターハイが終了し、上位入賞者が強化合宿(実は御褒美で某リゾートホテルで休暇、エステ三昧だったなんて報道もあった)を行った後、学園に戻る途中で……バスが……高速道路を走行中に忽然と消えてしまったのだ。


 行方不明となったのは、運転手一名と、運動部所属の女子学生四十三名。その中には、例の「可愛すぎる薙刀チャンピオン」も含まれていた。


 事故等ならまだ理解出来るが、一切の手がかりを残していない失踪事件に、某大国の陰謀だとか、宇宙人の誘拐なんて荒唐無稽な説が沢山上がっていた。


 俺も不思議なことがあるもんだなぁ……とは思っていたが。


 真実はここまで荒唐無稽な展開だったとは! というか、俺より後に出現した? 一年前に消えたのに? どこで休憩してたのだろうか? 白い部屋で神様に会ったりしていたとか? 召喚勇者だからなぁ。俺とは違うだろうけど。


 とにかく。俺より前に跳ばされたのに……俺より後にこの世界に着く。疑問は多々あれど、ぶっちゃけ茂木先輩の例もあるからな……。あっちなんて、どんだけ前なんだよっていうね。こっちへ迷い込んだ年代は似たようなもんなのに。


 ……時間軸がぐずぐずなのかな……その辺。それも有り得るのだろう。




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