0284:ガギルは旅立った

 ということで、地上と地下の役割分担というか、区域分けは出来たと思う。これまで貧富の差で区分けされていたことを考えれば住みやすさは雲泥の差だろう。便利という一言で全てを集約させた。


 ま、こうやっても、いつの間にか貧富の差で棲み分けというか、区域差は生まれてしまうものなんだと思うけどね。オベニスには前領主の件もあって、爵位を持つような貴族系の役人はいないので、何の文句も出てないだけで。というか、もしも今後、爵位持ちがオベニスに屋敷を……なんて言って来たら、普通に地上部分にスゲー高い土地賃貸料を支払って、そこに屋敷を建ててどうぞということになる。


 ぶっちゃけ、貴族よりも先に、現状、オベニスは景気が良く、商業ギルドはかなり儲かっているので、商人が屋敷を欲しい……なんてことになる気がするけど。 


 しかし、本当に世界が狭い。城砦都市という限られた空間を如何に取り合っていたか……っていう。さらにそこは外からの刺激も少ないし、だからといって内部は安全で安心出来たかといえば、大氾濫で街が潰れていることからも判るように、常に危険と隣り合わせっていう。


 鉱山区は予定通り、一晩で全てのガギル族を地下二階へ降ろした。イロイロと言いたいことはあるっぽかったが、とりあえず、黙らせた。


 鉱山区での棲み分けや生活のルールなどの細かい部分はガギル族でやって欲しいと伝えた。折角、単一種族で一階層を独占状態なのだから。これまであまり好印象を抱いたことがない(主に人攫いとしてしか見たことの無い)ヒーム族と混じってガヤガヤやるよりは楽なハズだ。


 それよりも「魔物に襲われて壊滅したモボファイ鉱山の住人、約50名を含めて、約二百数十名のガギル族は、新しい鉱山に向かって出発した。


 彼らは、モボファイのガギルの様子見と、難民を吸収するために立ち寄った……「オベニス領には窮状を助けられ、特に世話になった者が十数名定住することになった」というかなり苦しい言い訳をモリヤ隊のみんなにキチンと流布してもらう方が大変だった。


 差別ではないが、ガギル族が鍛冶に秀でており、奴隷として手に入れたりすればトンデモナイ財産を築くことが可能だということはヒームの社会に知れ渡っている。なので、「なぜ、オベニス領主はみすみす、ガギル族を手放したのか?」とか「少なくとも助けた五十名は帰すべきでは無かった」など、様々な風評も広まってしまったためだ。


 そこで恩を感じているガギル族と親密になったので、今後も極秘で大規模な交易を行う予定である……という噂も流しておいた。当然だが、地下二階、鉱山区からは大量の高品質な武具防具、金属製品が生み出され始めているし、くる予定だ。オベニスではそれをいつでも入手、販売出来る様に準備しているという詳細情報も加えてみた。信憑性が増してくれるんじゃないだろうか? 


 鉱山区に配備されたガギル族は、早速、簡易的な炉を建設し稼働し始めた。正直、鉄だろうがなんだろうが、集落近隣の坑道で採掘が可能になっている。なので、鉱山はそれほど大きくしてないし、鉱石は一定時間経過すると、徐々に復活するようになっている。さすが迷宮。不思議仕様。といいつつも、その辺はダンジョンポイントを消費しているので、不思議でもなんでもないんだけどね。


 多分、……居住区でダンジョンポイントを稼いで、それで鉱山区にチェックを外した鉱石を配置。それをガギルが採掘→精製→鋳造、鍛造→製品化→転移の魔道具で居住区へ。ということになる。


 ガギル製作の武器防具はオベニスの主力商品として各地、各国へ輸出されることになる。これがまた……過去にある程度安定して流通に乗ったことのない商品だけに……やばいくらい殺気立っている。特に、買い付けに来ている商人達が。


 うちの領は以前から、女「ごとき」が領主となって、とか、冒険者が成り上がって貴族になったところで、貴族の格を下げるだけだ。しかも女が……と言われている(もっと酷い感じらしい)。


 最初はあの黒ジジイの策だったらだろうが、今はもう、彼はいない。にも関わらずその噂が消えないという事は、そういう倫理感が当然の世の中だということだろう。

 で。そんな風なことを言っている貴族派閥……の長が治める領から「お抱え商人」がやって来ていた。笑。これまで散々馬鹿にしてたのに! そんなに欲しいのかよ!


 はい。売りませーん。ざんねんしょう。


 最初の太客は、当然、王家だ。というか、王立騎士団ね。再編されて大変だとかいう。人材不足でどうにもならないとか。そんなお困りの騎士団さんに、せめて剣くらいは一流どころを装備して欲しい……ということで、ミスハルに商談を持ちかけてもらったところ。女王の隣に居た副官の人……新騎士団総長か。が、熱く盛り上がって即決定したそうだ。

 

 だってね。超絶格安で設定させて頂いたんですもの。普通のヒームが造った剣の市販価格の1.5倍程度。これまで……大体、数十倍、百倍していたものをそんな程度の金額で購入出来るなんて! お買得ですよ! いまなら、王家の紋様も入れ込めちゃう!


 お買得! だね!



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