0275:初体験

「これでしばらくは大丈夫……かな?」


「水の魔道具もあるし問題無いな」


「ああ、簡易トイレも用意させるから。すぐに」


 こないだの避難で用意してあまり使用していない簡易トイレがあったはずだ。アレを地上でも使える様にして、下水に繋げれば即使用可能になるハズだ。


 それにしても……この人たち……というか、ガギルだけで無く、今回到着したノルドも含めて地下の事を明かすかどうか。その線引きをどうするか。うーん。こういうときは相談。


 イリス様、ファランさん、オーベさんに領主の執務室に集まってもらった。


「どうしましょうか?」


「誓約で差を付けて良いんじゃないか?」


 さすがファランさん。容赦なし。というか、この世界の人、命を賭けた誓約、多用しすぎ。そんなんでいいのか。


「戦ってみればいい」


 ……それで何が判ると言うのですか。我が君……。魔石の時の村とは違うのですよ?


「現実問題として、ガギルがここまで大量に、ひとつのヒームの都市に集まることがおかしいのだ。つまり、これまでの例で何か参考になるようなことは無い。新しい対応をしなければ、解決せんよ」


 オーベさんは投げやりだけど、一番的確で、使える意見をくれる。


 ちなみに、イーズ西の集落から来てもらった10名のノルドには「通常の密偵」をお願いすることにしている。冒険者として、各国に派遣させてもらう。


 マッサージは無いものの、モリヤ隊の下部組織といった境遇なので、やる気満々だ。彼女たちにも職業的に、オベニスに関する情報を他で話せない……という誓約をお願いした。


 次に北アビンのノルド、約八十名は……俺の奴隷となると強情なので、オーベさんに一喝してもらい、奴隷ではないが、一般市民としてイリス様、そして俺に忠誠を誓ってもらった。

 それで誤魔化した。ただ、この守秘義務は10名のノルドよりも格段にランクが上がっており、地下の施設に関する内容も含まれている。森に誓ってるし。地下の中でも内密に進行しなくてはいけない案件に関わってもらうことにしたい……と、俺が大事に秘密にしている部分に関わらせる……と言ったら非常に喜んでいた。


 さらに。モボファイ鉱山から避難してきて、完全にこの街の人間になっているドガルを初めとするガギル族。彼女たち、あ、まあ、ドガル以外は全員女の50名(小さい子どもの中に男の子もいると思ったんだが、中身は女の子だった)はオベニスの鍛冶ギルドを再構築させる為に、ヒーム族の鍛冶師とイロイロと話し合いをしてもらっている。


 偶然だが、モボファイ勢は女子中心、オベニス鍛冶勢も女子中心。


 ぶっちゃけ。ここに男が沢山いたら絶対にまとまる方向で進まなかった……という声が双方から頻繁に聞こえてきていた。この世界の男は……変にプライドが高く、地位や名誉にこだわる傾向にあるようだからな。アレかな……性的な部分で発散が少ないからか。


 ドガルは別に男というわけではなく、純粋に今回の件の活躍でモボファイの長となっているので、鍛冶ギルド副長に収まることは確定している。仕事に関してまだまだ(ガギル内でのランクなのでヒームに比べれば格段に上だそうだ)と言われていたこともあって非常に低姿勢で吸収力も高いのも大きい。


 と、そんな所に二百名が追加。さらに、この二百名、適応力という事では非常に低いと言わざるを得ない。


 長の二名とその周辺の者は現実を理解し、さっそくここの豊かさを感じたためか、非常に協力的に頑張っている。他に行く、他の鉱山を探して放浪するのはごめんだということなのだろう。


 正直、今のオベニスはこの国、いや、この大陸中でもあり得ないくらい活気で溢れている。自由に動き回ることを禁じられていても、その生活レベルが高いのは判るのだろう。まあ、そりゃそうだ。基本的に住民は便利な地下で暮らし、それが地上にあふれ出てきてしまっている。はしゃいでる心持ちが漏れ出している。目端の利く者であれすぐに気付く、バレてしまうレベルで。


 が、それ以外の多くの者、特に年配男の熟練鍛冶師は、これまでの鉱山の生活を引きずりすぎている。オベニスに適応しようという気概が全く見受けられないのだ。


「地下列車施設を見せましょう。それで何も変わらなければ……」


「そうですね。それでも反発があるようであれば、かなり細かい誓約を結んでもらうというのもありかもしれません」


「それも嫌がるんじゃ無いです?」


「ですが、ギルドに従わない熟練職人ほど厄介なモノはありません。運営がたち行かなくなります」


 ドガルと「元」鍛冶ギルドマスターのアーデリアに考えを聞く。まあ、ね。見せるくらいなら問題無いわけだし……悪い選択でなないと思う。




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