0238:ガギル族

 北アビンのノルドの集落は~まあ、昏き森の集落と大して変わらないというか、大体同じ様な規模で、同じ様な生活スタイルのようだ。狩猟と採取を中心に、森の恵みで生活を営んでいく。


 人口は増えもせず、減りもせず。高齢化、少子化は問題だろうけど……活動出来る期間、妊娠できる回数が多いので……そこまでは到っていないのだろう。


 以前、オーベさんか誰かに聞いた一般的なノルド族の集落……で間違いないようだ。まあ、そんな貧困ではないが裕福でもない、余裕もないギリギリの集落にいきなり余計な消費者が大量に現れたら、問題も起こるだろう。


 ここに着いてすぐ、この集落の長、バガローンさんを紹介された。名前似てるなぁ。えっと、つれて来てくれたリーダーの方が主席狩人のモダラーン。次席のゲイローンがヒーム族嫌い。で、バガローンさんが長。


「我々、イーズ森域のノルドとガギルは盟約を結んでいる。お互いの土地を荒らさない。巨大な敵には一緒に立ち向かう、何か有った場合、助け合う。この三つだ」


「素晴らしい条約です……ですが、その量が多くなるほど厳しいですよね。多分」


「なので、現在はノルドの他の集落からの支援で、どうにかなっている。が。それも永遠には続かない」


「そもそも、ガギルは鉱山が無ければ生きられない。ここには鉱山はないのだ」


 えーと、盟約は相互不可侵と、外敵排除の際の協力、緊急時の救援か。っていうか。


「そもそも……なぜ、ガギル族はこちらに?」


「それは……詳細不明なのだ。何かに襲われて逃げてきたというのだが……どうにも的を得ない」


「本人たちに聞くが良かろう」


 その時、小さい……大体身長150センチくらいの大人……顔付きは大人だ。ヒゲが無いが俺の中のドワーフと合致しないでもない男……と、女が入ってきた。というか、小さくてちょっと筋肉質なヒーム族……じゃないのか? って目の色が違う。凄まじく碧い。なんだろう。神秘的じゃないし……ちょっと病的? まあでも、判りやすくていいか。


「バガローン殿、今日は何の用だ? ビエリンドの薬草が必要なのだ。採りに行かねばならぬ」


 代表っぽい、ガギル族の男がバガローンに話しかける。


(ビエリンドの薬草……ということは、病人がいます。重傷で長期の療養が必要な場合、その草から作られる長き癒しの薬がないと、非常に苦しむのです)


 ミアリアが感覚共有で情報をくれる。うん、ありがたい。


「ドガル殿、こちらは外交官殿が手配したヒームの交渉役だ」


「交渉役?」


「こんにちは。メールミア王国オベニス領総務部長のモリヤと申します」


「あ、ああ、だが、私は……まず」


「病気、怪我の方が?」


「ああ、非常に重い傷で……日々の癒しの術だけでは耐えられないのだ」


「判りました。話は後にしましょう。その怪我をした方……いえ、現状、急ぎで治療しなければならない人のいるところに連れて行ってくれませんか」


「ん?」


「モリヤ殿は……癒しの術を?」


「ええ、まあ、多分、それなりに」


「ドガル殿、診ていただこう。どう見ても、ここにいるガギルは無理をしすぎている。このままでは、怪我をした者だけでなく、今、看病している者も倒れてしまうぞ?」


「だがヒームなど……」


「それなら、我々ノルドの方が因縁は深い。数十年前にも子供を攫われたりしたからな。だが、モダラーンはこのモリヤ殿は他のヒームとは違うと言う。私もそれを信じることにした。なので、この集落に招いたのだ。ガギルは我々よりも追い詰められているのではないのか?」


「……ああ。わかっ……た。だが、数が多いぞ?」


「症状を診てみないと判りません。が。全力を尽くしましょう」




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