0236:南の森
南へ真っ直ぐ。メールミア王国の領地は目の前に見える巨大な森林地帯の手前まで。大きな街道が存在しないので馬車では無く「はやかけ」を駆使したミアリアに運んでもらってここまで来ていた。
というか、俺はイロイロと未熟というか歪なので「風裂」以外の風属性の術を満足に使えない。というか、なんとなく使えるのだけど、効果はなんとなくでしかない。さらに元の移動性能が低いので……魔術を使用しても遅いのだ。特に……ミアリアはあれ以来脅威の移動力である。追いつくわけが無い。
なので、背負子移動である。非常に格好悪い。が。妻の人達は競って背負いたがる……。恥ずかしい……。
でと。南に行くと。森。だ。いきなりズバッと森が目の前に広がっている。高さ二十メートルはあろう巨木……なんだろう。葉はヒノキとかに似てる気がするけど。が、イイ感じに密集して生えている。
これ……植生だっけ? 植物の生態系とかの話、自然にこんなクッキリとした境界線って生まれるものなのかな?
「人間の手が入ってるワケじゃ無いの?」
「神が決めたもうた境界……と言われています。森は全てを癒やします。ノルドは神がそれを定めた際に率いられた種族と言われています。さらにハイノルドは神の使いの末裔だと」
「ああ~だから、オーベさんの正体がわかったとき、空気が変わったんだ」
「はい。同じノルドを名乗っておりますが……ハイノルドの方と我々は根本が違います。というか、産まれたときからハイノルドに従うようになっていることを、知ってる……といいますか」
遺伝子レベルで組み込まれている……ってことなんだろうか?
「この先……かな。ミスハルから聞いたのは……この辺……だと思うのですが。森に入れば多分、すぐに反応があるかと」
と言いつつ、ミアリアが森に、無造作に足を踏み入れる。
「ノルド族は自分たちの森に誰か……異物が入ると気づくようになっているの?」
「自分たちの集落の守護範囲……というのがあるのですが、ほとんどの集落には魔道具が設置してあります。それで、自らの「しゅうい」や「感知」の様な効果が継続しているといいますか……説明が難しいのですが」
「そりゃ森の中で無敵を誇るわけだよね……」
森と言っても、アレだ、日本でよく見かける雑木林ではない。巨木が連なる……なんていうか、大森林っていう名の通りというか……アレか、屋久島の森のスゴイのっていうか。
何よりも巨大な根がゴロゴロと這っていて、足場が悪い。さらに、蔦なんかも入り組んでいる。ここで戦闘をするのは……重騎士とか、防御力優先の鎧を着ている人なんかは、動くだけでも大変だろう。ウロウロしていると、矢が飛んでくる訳で。その矢も、鎧と鎧の隙間を狙うくらい精密射撃だし。
うちの人たちの故郷である昏き森もかなり緑は深かったが、目の前の森は……その数段上というか、規模が違うっていうか。
「あ。来ましたね……」
「え? どこ?」
「えーと……あっちの方向から……もう少しすれば……」
と言われてそちらの方向を見上げてみるが、木々がざわめいているだけだ。ん? あの違和感……かな?
ミアリアが御辞儀をしたので、俺も良く判らないまま、言われた方向へ頭を下げる。……思ったとおり、「しゅうい」を使ってあったおかげで、何とか感じた違和感は、いつの間にかノルド族の形に変わっていた。スゲー距離あったと思うんだけど。あっという間に視認距離まで近づいて来ている。
「……昏き森の外交官の手の者か」
暗い……茶、いや、黒に近いのか? 色の革鎧。形が昏き森のものとはちょっと違うようだ。そもそも、髪飾りや衣装の形状もちょっとづつ違う気がする。多分、集落でも腕利きの狩人なのだろう。ノルドの男が二人、近づいて来くる。
男だが、かなりの色気。それにしても二人とも違ったタイプの美形。美形しかいない種族ってどうなんだろうか。イケメンの基準凄いんだろうな。
「あ、はい、昏き森の外交官、ミスハル、彼女の夫になります」
オーベさんたちに言われた通りに答える。オベニスの家宰とか、こちら側の肩書きを使うよりも、ノルドとの関係を的確に表明した方が納得も信用も速く得られると言われたからだ。
「……そうか。当代の、新しい外交官は人族の街に住む変わり者だと聞いていたが、彼女の夫はヒームだったか」
「ええ、そうです。彼女は今回の外交の旅で心身共に疲れ果ててしまったので、現在オベニスで休養を取っています」
まあ、疲労困憊な状態で……いたしてしまったので、ええ。いつもの長睡眠ってやつです。強制休暇的な。
「いや、ヒームとは小競り合いを繰り返しているからな。ノルドとの関係がハッキリと判らなければ信用が出来ない。というか……そちらの方がいれば大丈夫だとは思うが……ひょっとして貴方様はハイノルドに連なるお人でしょうか?」
おお。この人はミアリアのヤバイ強さに気がついたのか。まあ、そうだよね。破格の強さだからね……。
「いえ、私もお館様……このモリヤ様の妻の一人。それこそ、昏き森出身のただのノルドですよ」
「そ、それは……失礼した。ああ、名も名乗っていなかったな。私は、イーズ森域北アビンの集落の主席狩人、モダラーンだ。こっちは次席のゲイローン」
「ショウイチ・モリヤです」
「その妻、ミアリアです」
モダラーンはともかく、ゲイローンくんは俺が気に入らないらしい。まあ、そりゃそうか。ヒーム族なのにノルド族の嫁を二人も……まあ、もっと居るのは伏せておこう……。
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