0231:事後結果

 とまあ、そんな感じで、ある程度地下施設の準備要項をまとめて、人を全部外に出して、いじくって、基礎的な居住建物を配置して。書類にしたら。あっという間に地下へ住民がドーンと流れ込んでいったっていうね。


 さすが優秀なうちの行政官たち。たった数日ですっかり引っ越しも終了し、地下都市は住居区として機能し始めてしまいました。はくしゅー。


 なんでも、俺達が王都へ行ってた間に、整理券などを用意して、居住入居順番などを決定してあったのが大きい。


 さらに、地上部分の復興も開始しているが、主に商店や宿屋、さらに歓楽街などが中心だ。この地を訪れた商人、冒険者は地下へは移動出来ない。

 流民、棄民は別で、滞在者がいなくなった大テントに収容している。まあ、ある程度管理された貧民街……ってことね。


 まあ、わかりやすく言えば、地上部分は「出島」だ。地下へ余所者を入場させないための巨大な関所だ。


 余っている地上の土地は全て、まとめて領で買い上げている。特に面倒だった火災現場。アレは全部買い上げて、俺が土の魔術で整地してしまった。そのうち、耕して畑にしてもいいかもしれない。


 そして。機能的に居住区の地下都市が動き始めたら。なんとダンジョンポイントは溜まりまくるようになっていた。元々のオベニスの住人は、ことごとく収納したのが原因だろう。


 さらに、流民棄民でも、信用度が高い者や、関係者等は優先的に地下への移住を可能としてる。


 まあ、住居施設はこれまでの約三倍のキャパがあるので大丈夫だろう。


 ダンジョンポイントがスゴイ勢いで増えている理由は住人が増加し、そこで活動し始めたのが一番大きいと思う。なんていうか、職人街で職人達が仕事を開始し、生産性が向上したのと同時にポイントがドンと増えた。


 さらに住居施設のクオリティのスゴサ、魔道具のスゴサが理解され始めたのもあると思う。なぜなら、いったん引っ越し、区画整理、建造物整理、新住居設定、再入居と、かなり面倒なことになったのにね。


 増加はあれど、住民数の減少が起こらなかったのはスゴイよなぁ。


 結構居なくなるとみたんだけど。タダでは無くなりますよ? と事前告知し、家賃等の詳細も提示した。でも減らなかった。


「自分の稼げるお金から引かれるなら……」


「仕事も紹介してもらえる上に、住居も用意してもらえるなんて」


「貧乏人はもの凄く安く、金持ちは結構高くなる変動家賃ってのが気に入った」


 えーと。なんとなくちゃんと理解していない人もいるようだけど、まあ、複雑な税制や福利厚生、いや、基本的人権の無い世界だからな~。貧民窟から移ってきた人たちも、かなり身ぎれいに出来るようになってきている。個別に使えるシャワーって偉大だわ。石鹸も。見た目って大事だよね。


 単純に街として、ランクが上がった気がする。元々水道、下水道があるおかげで他都市と比べてキツくは無かったオベニス(地上)だけど、特に貧民窟では糞尿の匂いはしてたしね。

 

 とはいえ、それだけでは無かった様だ。


 まず一つ目は地下列車だ。魔力で稼働する客車、貨車……で、それほど洗練しているモノでは無い。魔道列車も小さめで無骨なディーゼル機関車的なデザインのモノを選んだし、それほど迫力も無いと思う。当然だが、スピードも最大で時速四〇キロ程度だ。


 が。この世界で「列車」という、馬車を大きく長くした乗り物が動いているのは、ここオベニス地下だけなのだ。それはもう、列車が動いているのを見ると、住民全員が立ち止まって見てしまうくらい、観光名所、地元の誇り的な存在になってしまっているのだ。


 ただ、まだ。利用者はそれほど多いわけでは無い。なのであの乗客ぎゅうぎゅうのラッシュは発生していない様だ。


 単純に、最初から自分がそれに乗って移動する……街の中での移動で乗り物を使う……という利用用途が良く判らなかったようだ。

 公共交通機関的な考え方を理解出来ているのは馬車を頻繁に使い、乗合馬車や隊商などのシステムを駆使している、行商人くらいだった。

 一般人はこの地下都市の大きさくらいの距離は平気で歩く。まあ、その程度の認識で問題無い。今回の様な、いざという時に早急な物資の移動に使えればいいだけだから。馬車代わりに。


 でも列車。大人気。


 こういうのは当たり前なのかもしれないけど(ラノベなんかじゃ一度も読んだ事が無かったけど)、大きな何かが動いているっていうのは、何か心を動かすみたいだ。


 男子にも女子にも、鉄ちゃん的な要素が生まれつつあるようだ。特に男子は巨大な乗り物に弱い。仕事が休みになると、停車場などに列車を眺めに来る人も多いそうだ。列車を眺めながらお弁当なんていう、ピクニックもありだよね? と言ったら、この世界、ピクニックがなかった。綺麗な景色を愛でる前に魔物に食べられちゃうからね。


 と、考えると、この迷宮、この世界初のリゾートとして、自然などの景観を楽しむ施設になり得るのか。まあ、もう居住区にしちゃったからなぁ。


 茂木先輩が手を入れていたのは、ここ地下一階から五階。地下二階を農耕区にするのはやめて、自然区とかにしようかな。


 ってそんなことしたら、ダンジョンってバレバレだ。無理か~。



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