0230:移動手段

 で、そうなってくると問題は地下迷宮都市内の移動だ。


 ひとつのフロアが広いのはいいが、端から端まで歩いて移動ってのはちとツラい。


 大通りには、茂木先輩が迷宮の罠として使っていた動く歩道を設置することにした。スピードはそこそこ。歩くよりはマシだろう。動く歩道を走るのは禁止にしないと。事故が怖いからな。


 危険性を考慮して、歩道の端、右を奥へ進む、左を手前へ進む。乗り降りにコツは必要だが、まあ、どうにか出来るだろう。


 これで疲れないで移動できる……けど、時間はかかるよなぁ。正直、普通に走った方が早い。


 大量の荷物を運びたい場合も問題だな。トラックなんて贅沢は言わない。馬車レベルで構わないんだけど。


 ただ。馬はなぁ。この世界のこの時代の主な移動手段でもあるんだけど、糞がね。どうしても。衛生的に避けたいんだよな。折角各宅にトイレがあるんだから。


 最初が引っ越しだからなー。物流大事だよな。


 と、端末を眺めていたら、なにこれ。線路とトロッコが! もしやと思い、調べて見ると、鉄道車両、機関車、貨車、蒸気から電気までよりどりみどり。ただ可動部分のメインは……魔石なのかな? 旧山手線や、旧東上線、新しい新幹線……黄色いヤツもあるじゃん……茂木先輩……あんた……鉄ちゃんでもあったのか。


 ……その他のサンプルに飛行機も自動車も一切無い……のを考えると、これ、本当は鉱山で使われてた軌道にトロッコっていう鉄道の元祖、祖先みたいな施設から進化させた……のかな? 多分。凄いな。あ。鉄道馬車もある。


 これはもう、俺の考えた夢路線しかないでしょ。物資の運搬も貨物で解消だな。って! コンテナもある! さらに、魔道具で動くクレーンを搭載した車両もある! コンテナ……いいな。輸送してそのまま、積み重ねて保管も可能だから、倉庫の節約にもなる。


 コンテナか。この世界で使えば物流革命だな。これ、迷宮の外でも使えるようにできないかな? あ、いや、このコンテナは貨車用か。ある程度コピーして、規格統一で鍛冶ギルドに作らせればいいのか。アタッチメントで馬車に取り付け可能なモノを作れば、使いやすいハズ。


 確か、アルミニウムよりも軽くて、鋼並の強度を併せ持つ、なんとかって便利な魔法金属があるんだよな。カーボンっぽい素材もあるとか言ってたから、比較的楽にできるのかな? ってどれくらいの量を押さえられるかが問題だけど。


 冷却の魔道具なんかも高価だけどそれなりに流通してるし、組み合わせれば保冷コンテナも簡単なのかな。運用するのにクレーンが無いことを考えないと……簡易クレーンを用意するとか? うーん。


 でと。路線はと。まずは大きな環状線。と小さな環状線。さらに、その環状線同士を繋ぐ支線。そんなもん……かな。


 あ! コンテナの下の欄に猫車や大八車発見! うお。これ……タイヤがゴムで、なんか油圧系のサスペンションも付いてないか? サスなんて、板バネ式ですら、この世界で一度も見たことがないぞ? そもそも概念がないんじゃ。


 茂木先輩……多分、自分で使うのに創り出したんだろうな。で。指輪の収納のおかげで大して使うこと無く終了……と。


 だって、もしもこの世界の誰かが、この大八車を見て触って使っていたら……今の馬車があんなままなのはおかしいもの。スゴイ、揺れるし。ちょっと道が悪いと跳ねるし。王都に行ったときの内臓が揺れる不快感は……忘れがたい。あれ、降りてからも数日続くしな。酔いが。


 って……あれ? これをこうして、あれをああすれば……ちょっとイロイロと試してみたいことも増えてしまった。後で鍛冶ギルドに投げよう。茂木先輩、凄いなぁ……。


 階段の位置も考えないとなんだよな。地上から地下への階段は、いくつでも設定出来る。が、当然、多くすればするほど、防衛面では脆弱になってしまう。とりあえずなー。不満はあるかもしれないけど、一般の入り口は大階段ひとつにまとめようかな。オベニス中央から下へ降りるヤツ。


 で。領主館とギルド支部からの裏階段。さらに南門辺りに領守備隊、騎士団の本部を建設して、そこにも繋げるか。変更も簡単だからその辺は適当でいいか。


 人と物資の移動は、動く歩道と鉄道と大八車。これでいいよな。というか、この地下完全に平坦なんですよ。雨降ったら……っていやいや、迷宮じゃん。ここ。というか、ある程度の湿気はないと……と思ったら、そうか。川とか水路を用意すればいいのか。最低限、池とか。


 迷宮の部品の中に、泉や川を発見。あ。妖精の泉……聖なる泉……設置するためのポイントは多めだけど、これ、冒険者のHPを回復したりしてくれるんじゃないの? 一般の人が飲んだらどうなるのかな? 一番高いのは英霊の泉……か。まあ、それを~迷宮奥に設置して。その周りは森にして川を引いて、街中は水路に。傾斜がないから、水路内を掘っていって、最終的に貯水池に流れ込むようにして~溜まりすぎたら、落とし穴に流そう。


 そうそう、罠の落とし穴は、深さを設定しないとそこに落ちたモノは無限に堕ち続けることになるらしい。端末で調べたら詳細が表示された。アレだ、「指●物語」であったな。永遠に墜ちるって。多分、この詳細説明、茂木先輩向けに神様が用意してくれたモノだろう。要注意って事で。というか、説明されないと、もの凄くヤバイものだって判らなくて、ついうっかり自分が墜ちちゃったりもしそうだし。


 で、この穴、生きているうちは堕ち続けるだけなんだけど、死んだり無機物の場合は、即どこかに消えてしまう。何それスゴイ怖いんだけど。リサイクルじゃないけど、迷宮に吸収されてしまうようだ。もの凄く少ないけどポイントに変換される。効率はそんなに良くないけど、無限ゴミ捨て場ってことか。ブラックホールとかホワイトホールとか。怖すぎ。


 生活排水はここへ流せばいいわけだし、ゴミもここでいい。でも怖い。まあ、この落とし穴を設置する場合は土属性の柱を格子にして、迷宮産の結界の魔道具とかで近寄れなくすればいいか。間違っても誰かが墜ちたりしないようにしておかないと。




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