0227:ダッシュ

 なーんて感じで、全部やりっぱなし、投げだしでさっさとオベニスに帰還した。


 で。すまん。ちょっとやり過ぎたかもしれん。


 えっと。宝物庫からね、お宝っぽいのは全部、俺の収納にぶち込んで持って帰ったんですよ。まあ、あの、宝物庫っていうのは宝物、宝物を置いておく場所であって。ええ。そんな、元の世界の知識でですね。うん。


 そしたら。この国の宝物庫っていうのは、財宝庫であって、文字通り金庫であり。王国の文字通り金庫であって、貨幣、つまりお金は全部そこに納められてたんだって! ビックリ! 


 言ってよ~と言ったら、「お館様が怖くて言えなかった」「情け容赦ないなと思っていた」「本気で怒ってるんだなと思っていた」とのこと。うん。あの癒しの術による、全く癒しじゃない拷問がね。ええ。我が妻たちに若干トラウマとして残っているようでね。


 ということで探したら。あったあった。宝箱が……五百くらい。爆笑。というか、国家財産を宝箱で保管て……ああ、そうか。ファンタジー世界か。


 仕方ないので、というか、このままだと一般人の生活に多分に影響が出そうだったので、貨幣は使いやすいように重ねて、紙で巻いて返してあげた。


 そういえば、紙。実はオベニスの主力交易品として紙を売り出している。俺の様な中途半端知識チートしかない人間でも大丈夫……というかね。うん。迷宮がね。生み出してくれるの。ダンジョンポイントと引き換えに。


 なぜなら、茂木先輩が漫画家だったから! ダンジョンポイントで様々な紙を交換できるように創意工夫してくれていたから! 笑。ありがとう先輩! ちゅーか、ついでにちゃんと、紙も伝道しておいてくれれば……ってよく考えると、引きこもって作画練習をしてたんだもんな。そうだよな。無理か。


 そんなわけで、紙などの消耗品もかなりの勢いで生み出して、倉庫に保管している。で、上の貨幣を巻いた紙も、迷宮から持ち出せる特性を付加してある。


 元々、迷宮から様々な魔道具などのアイテムが持ち帰られているのに、なぜ、迷宮内の罠などの施設は持ち帰れないのか? と怪しんでいたら。ありました。そういうチェック項目が。制作の際に、そのチェックを外すと、迷宮の外へ持ち出せるアイテムが生み出されるのだ。


 とはいえ、当然、迷宮にあるアイテムを無制限に外へ持って出れるようにはしていない。混乱とかそういうレベルじゃ収まらない気がするし、幾ら我々がオベニスを守るとはいえ、全世界に攻め込まれたらさすがに怖い。


 とそんな迷宮アイテムなんですけど。紙は元々の消費DP(ダンジョンポイント)が少ない。正直、とんでもなく少ない。トイレットペーパーなんて16個でDP1だし、通常のA4のコピー用紙(みたいなモノ)は500枚の束がDP1だ。これ、見合ってるのか? ちゃんと対価に合ってるのか? と思うんだけど、設定、調整したのは多分、茂木先輩だ。文句の言いようが無い。専用スキルのない俺には詳細がいじれない。


 で、このA4コピー紙を外に持ち出せるようにすると、消費DP1がDP10になる。うん。このDP10っていうのは……多いか少ないかだと多いんだろうけど、でも、地下にみんなが避難生活していた頃から毎日ね、1000DPくらいは増えていたので、問題無く外出し可能で生産出来るのだ。他にも色々な紙が存在し、同じくらいの低DPで持ち出し可能アイテムとして生産することができる。


 今回、貨幣を巻いたのも包装紙としていいかもと思っていた色の付いた薄めの紙だ。


 まあ、この迷宮生産システムは万能では無い。この「チェックを外すと消費するDP」がモノによって大きく違う。三十倍から四十倍、文化的にかけ離れている物……例えば、魔力を電気に変換して駆動? するAIロボット(多分、敵ユニットとして配置出来る)何かは、元が数万DPの上に、持ち出しには千倍以上のDPが必要となる。さらにその上、完全な電力駆動だとさらに倍、ドンドンってなことになる。


 現時点で、電気を普及させる気はゼロだからいいんだけどね。だって魔力の方が便利なんだもん。


 ただ産業の育成はしないといかんよな〜。面倒だけど。俺に何かがあったとしてもちゃんと紙が供給されないと困る。ということで、地下に製紙工場、実験場も用意しようと思う。この世界、現状かなり粗くて書きにくいが、紙は存在しているのだ。それを改良できれば……。


 俺に紙を作る細かい知識……なんて当然ない。知識チート的にさっぱりだ。でも、特定の木の樹皮を細かくして、繊維質にして、それを水でふやかして、何度か濾過……だっけかな? して型にはめて、乾燥させれば和紙っぽい紙は出来るハズだ。多分。


 藁とか竹とかでもいけるんじゃないんだっけ? なんか混ぜるのがスゲーポイントでかいとか、そういう朧げな記憶しか無いけど。

 細かく粉砕するのを、風の魔術でやればかなり細かくするのも楽だし、水と混ぜたり、かき混ぜたりするのは、水や土の魔術で、いろいろ出来そうだ。


 てなわけで工場生産はする……んだけど研究実験、検証してもらわないとだから、時間がかかる。で、そうなるとしばらくは現状のまま……なので、最終的にダンジョンポイントに頼らざるを得ない。どれくらいのタイミングでそこから脱却できるかどうか。人手もまだまだ足りない気がする。



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