0154:自己制御

「戻りました」


「お帰りなさいませ」


 セタシュアが出迎えてくれる。というか、この娘……なんで、俺が戻ってくるって判ったんだろう? さらに、なんで中庭から食堂に入るって判ったんだろう? 


セタシュア・シエレ

ヒーム 女 力19(91) 体39(75) 器30(41) 敏20(08) 知65(11) 精184(20)

聖印降臨、魔力制御3(63)→光3(47)、癒4(85)


 ……留守番中にファランさんから猛特訓を受けていたらしいのだが、御主人様のお役に立てるのであればとこちらもゲロを吐きながら頑張ったらしい……。


 重い……重いよ?


 しかし。それにしたって尋常じゃ無いですよね。この成長。光と癒しに偏っているとはいえ、魔力制御も既に3だ。あっさり俺は抜かれている……ガーン。いや……俺だって風裂の同時発動でかなり頭は重かったし、成長したと思ってたのに。上がりにくい魔力制御をそこまで鍛えるなんて。


 さらに癒し系に偏ってはいるものの、スキルレベルのアップ具合もおかしい。特に聖印降臨のおかげのようだが。


 あ。セタシュアの胸元には聖痕と呼ばれる、神の印が出現しているそうだ。見てない。見てないから。


 この聖痕があると、癒し系の呪文の効果が大幅に変わるという。実際、ファランさんが側にいて、慎重に行動しているのでバレてはいないらしいが、重傷の患者さん、難病で既に手の施し様の無い人も癒しているそうだ。


 ぶっちゃけ、聖痕のある人は聖者、聖女と呼ばれ、宗教系国家などに見つかると、確実に、国家ぐるみで拉致監禁事案だそうだ。というか、過去の事例に従うと、セタシュアをよこせ! やらん! と争奪でガチの戦争となるらしい。


 このまま成長してくれれば、部位欠損の復元や蘇生なんていう伝説級の癒し系の呪文を使えるようになる可能性もある(という)。まあ、確かに……戦争時にその手の術が使える回復役がいたら、異常に安心出来るだろうなぁ。だって大怪我しても直して、即前戦に復活可能なんて……ゾンビ戦法、超TVゲーム的な戦い方だもんな。ズルイ。


 そんな実はヤバイ状態のセタシュアさんなので、まずは魔力制御を上げてその能力を隠し、あくまでうちのメイドとして扱うことで話は落ち着いている。本人は「御主人様のお側にいれれば」らしい。


 正直、オーベさんくらいの高位魔術士であったとしても、若干違和感を感じる程度に隠せているらしい。まあ、魔力制御を上げないと戦争になる、死ぬとか言われれば必死にもなるか。


 ……最大の問題は……なぜ、そうなったか、だけどね。セタシュアの超強化は俺のアレを舐めながらいたした……から……というか、多分、舐めたのが大きいんだろうなぁと思う。


 マッサージは。その人がそれまでにしてきたこと、やってきた物を増幅というか、足してゆく形で強化するんだと思う。なので、能力値も段階的に上がるし、スキルの追加もいきなりではなく、過去に自分が試してみた、訓練してみた覚えのある能力が追加されているようだ。

 

 が。アレは。


 マッサージ……のさらに上……の様だ。なぜなら、セタシュアのスキルは最初から、ある程度のレベル、経験値が入っていた。うーん。俺のせい……なんだろうなぁ。ちゅーか、唾液も関係アルのかな……とか。イリス様とのキスはそういう効果もあったのかな、とか。


 これを迂闊にみんなに言うと、簡単に、試してみようという話になりそうなのが、ちょっと怖い。いや、良いのかもだけど怖い。悩む。


 性欲の解消、恋愛の先、別になんでも良いと思うんだけど、相手が自分とある程度同じレベルの道徳観、倫理観、価値観……各種情報を備えていない場合、どうしても引け目を感じてしまうのは仕方ないだろう。それこそ、そういう行為を行う事はこんな事になるんだ……という部分が想像も出来てない相手は、前の世界で言う、判断能力の足りない、未成年、子供を大人の理論で手込めにするのの強化版……的な気がしてしまうのだ。


 こちらの世界では、相手は大概、既に大人なのも難しい。変に気を使っていると、馬鹿にしているのか? ということになってしまうし。


 と、とりあえず、現状では更なる強化は必要とされていない。何かあった時のために強化はできる限り行っておいた方が良いというのは分かるのだが、俺の子種云々は、それ以前に俺が興奮しないといけないわけで。それを彼女たち公認の上で、上手いこと処理していく自信がない。ヘタレですまん。


 なので、俺が我慢すればいいだけならそれで済ませておこう。パプテマス白吉先生と迷宮部屋という強い味方も得たことだしな。


 そういえば。女騎士はオークに弱い説とか、奴隷が性的に酷い扱いを受けている演出とか……この世界では全く通用しないよな……。向こうじゃオタクファンタジーの定番だったのに。だからなのか、パプテマス白吉先生の作品に……ファンタジーエロ系は無かったな……。そりゃそうか。笑。


 まあ、個人的にリアルにそんなのに遭遇したら吐いてしまいそうだしね。



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